POLARBEAR(ポーラーベア)実験グループが、世界ではじめて宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の光の振動の向き(偏光)の観測結果のみに基づいて、重力レンズ効果による偏光パターンを測定することに成功した。
POLARBEAR実験グループは、インフレーション理論のエネルギースケールを決定することなどを目標としており、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリ IPMU)、カリフォルニア大学バークレー校、同サンディエゴ校などの研究者で構成されている。
南米チリ・アタカマ高地に望遠鏡を設置して、我々が観測できる「宇宙最古の光」であるCMBを詳細に観測し、そこに現れる特殊な渦状の偏光「偏光Bモード」を調べることで宇宙誕生直後の姿や進化、その背後にある物理法則の解明を目指し実験が進められている。
今回の一連のPOLARBEAR実験によるCMB偏光観測の初期成果は、重力レンズ効果による小さな渦の偏光Bモードを世界で初めて観測したもの。4.7σ(シグマ)の有意性(99.999%以上の確率)での測定に成功し、将来のニュートリノ質量和の精密観測に向けた道筋を拓いた。