チューリッヒ工科大学の研究者を中心とした研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された多天体近赤外撮像分光装置(MOIRCS)を使い、ビッグバンから40億年後の宇宙に存在している、既に星形成活動を終えた銀河を観測した結果、大質量楕円銀河がビッグバンの40億年後の状態から、さらなる星形成活動が生じることなく、現在に至ったことを明らかにした。
同研究チームは、一度に多数の天体のスペクトルを取得できるMOIRCSの強みを活かして24個の銀河について効率的にデータを取得し、それらをすべて足しあわせることで200時間の観測時間に相当するスペクトルを合成した。
その結果、観測した銀河の年齢が10億年であり、また金属量が太陽に比べて1.7倍、アルファ元素(酸素、ネオン、マグネシウム、ケイ素、硫黄、カルシウム、チタンなど)と呼ばれる星形成の継続期間の指標となる元素と鉄の比が太陽に比べて2倍程度であることが、この合成スペクトルの分析から分かった。
このような遠方銀河において、恒星のアルファ元素と鉄の比を求めたのは初めてのこと。これによって、銀河が星形成をおこなった期間が10億年より短かったことが分かった。