5月7日(月) のち
地区の小学校の遠足だった。普段なら何も関係なく、あっ、そう、で済むのだが、ちょっと事情が違った。遠足の目的地の手前で、トイレ休憩に、集落の公会堂を使用させてもらいたい、との要請があった。使ってもらうのに、鍵を開けてだけおけばよいと云う訳にはゆかない。当然、集落の役員として、公会堂に立ち会う必要がある。行きと帰りの二度使用することになるので、朝と、午後とに鍵を開けて、待っていることになる。全校生徒全員の課外活動だとのことで、職員も含めると、150名弱ほどになるとのこと。現区長は、こう云うことには気くばり派だ。集落から、子供たちにジュースのプレゼントをしようということで、150本の缶ジュースも、公会堂の冷蔵庫を占拠している。
その上、今日夕方には、母も、ショートステイから、帰ってくる。
そんな訳で、9時ころから一時間弱。2時半頃から一時間弱。公会堂に出て行く。まとまった仕事はできないからと、家で機械類の清掃、点検。代かき用のハローを洗浄して、トラクターから取り外す。トラクターも洗浄して、水田の泥水の中での過酷な作業の後なので、足回りのグリスアップ。ロータリーを取り付けて、これからの畑や、最後の田んぼの耕起に、すぐ使えるよう、準備する。
ちょっとのんびり過ごす、田植え終わりの五月晴れの一日だった。
5月6日(日) ときどき いちじ
今朝も早起き。昨日植えた圃場に行き、田植機を移動させる。最後に控えているのは、最大の難所。昨年も、田植機が自立走行できなくなり、トラクターで引っ張りながら、脱出させた田んぼだ。今までに、何度もそんなことがあった田んぼだ。昨日の、早苗饗の時も、去年手伝ってもらった近所の仲間が、家の周りに控えていてやる、と言っていた。私も、じゃあ、緊急用の待機命令の発令だと、そんな会話が出る位有名な田んぼだ。
残っている田んぼは二か所。8時過ぎには、問題の無い田んぼの方から植え始める。そして、最後。昨年とは植え方を変えるので、大丈夫だと思うが、無事植え終わるように、と念じながら、機械を圃場に入れる。変則的だが、最も危険の無い方法で、ターンして植えて行く。効率は悪いし、植え残す面積もできるし、見た目も悪い。しかし、もぐらすよりはよほど良い。最後のターンをして、最後の直走植えで、脱出。済んだ。今年は何もなく終わった。12時になるだいぶ前だった。
午後は、機械の回送。終わったと云っても、まだ除草剤も使わない水田の田植えは残っている。5月20日頃の植え付けを予定して、育苗中だ。しかし、まだだいぶ先なので、田植機は洗浄しておく。泥だらけのままだと、格納庫にも入れられないから。高圧洗浄機で水を吹き付けて泥を落とす。その作業中、空が曇り、雨がパラパラしてくる。機械を屋根の下に入れ、田んぼの見回り。植えるときは、浅水にしてあるので、水手を高くして、少し深水になるようにしてくる。田回中は、合羽を羽織るほどには降った雨。しかし、断続的だったし、今はもう上がったようだ。役に立たない雨。
さて、今日は本当の早苗饗。風呂に入って、一杯やろう。
5月5日(土) ときどき
今日も早起き。今日は、受託の水田もある。田植え後の水管理や、草刈は委託者が行うが、それ以外の機械作業を請け負うと云うやり方だ。だから、苗には、初期の殺虫剤は使用する。苗箱に50gほどの微粒剤を振りかける。こんな作業でも、40箱ほどだと、結構時間を取られる。機械は、早朝に移動しておく。その後、家事を済ませ、苗を積んで田んぼに出かける。8時過ぎころからの植え初めとなる。
この地区が、最も能率の悪い地域だ。田んぼは、不整形だし、小面積の田んぼが多く、その上に、点在している、と悪条件ぞろいである。直進して植えるより、くねくねと蛇行したり、くるくるとミズスマシのように回るような機械操作。機械を移動しては、てくてくと歩いて軽トラの所へ。そして苗を運んでから、やっと植付の始まり。こんなような作業だから、40a弱の植え付けが終わったのは、12時を大きく回ってからだ。空箱を片付けて、急いで家に帰る。機械の移動は明日まわしだ。
2時からは、早苗饗である。私の田植えはまだ終わらないが、地区の農家組合の行事である。以外の全農家は4月中に植え終わっている。自己流の私の稲作とは無関係で、5月5日を早苗饗の日として、数年になる。そして、楽しく、酔っ払って帰ってきた。
5月4日(金)
雨も上がり、5月の晴天は、暑いほど。
4時過ぎに起床。ほんのりと赤みかけている。さあ!、きょうはがんばるぞと、 深呼吸。苗の点検。水ををとしているので、乾きかけている所もある。そんな苗には、水を掛ける。そして、田んぼの点検。水手を調整。そして、アルミブリッジの縁にアングルを取り付ける。適度の長さにアングルを切り、ドリルで穴をあける。ボルトナットで、取り付ける。試してみる。ただのおまじない効果だけかもしれないが、少しは気持ちが楽になるような感じだ。具体的効果もあるようで、アングルを乗り越えるようなことはなさそうだ。
こうなると、あとは田植え。機械の移動、苗運び、機械の運転。ひたすら、この繰り返し。二地区、75aほどに、150箱近くの苗を植え付ける。夕方は暗く、植えた苗が見えにくくなるほどの時間まで。15aだけの田んぼしかない地区、これを終わらすと、終わらさないのでは、機械移動の無駄が残るか残らないかの違いがある。と、ひたすら目を凝らしながら。そして、真っ暗の帰り。
5月3日(木)
雨が降り続いた。東からの強風は、夜の間も吹き続いた。たいがいのことでは、夜中に目の覚めることはないのだが、今回ばかりは、何度か目が覚め、吹き続く強風の音を聞いた。やはりハウスの天井のことが、心配だったからか。こんな天気だからと、30分ほど遅く起きたが、やはり、一番に、ハウスを見て、ホッとした。雨の暗がりで、苦労したかいがあった、と。午前中も強風だったが、段々に弱まり、雨もときどきは、小降りになるが、止むことはなく、強弱を繰り返しながら、まだ、小雨が続いている。
予定通り、籾すり。玄米在庫がわずかになり、不安だったが、田植合間の嵐を利用できて、この点では、良かったのかも。臨時注文は、断らざるを得ないかくらいに、差し迫っていたので。
予報は、南部では、夕方には上がる予報だったので、機械を車に乗せるときの、アルミブリッジを細工しようと考えていた。機械は、前進で車に乗せ、後進で下ろす。下りの方が怖いのに、さらに後進である。他の機械はクローラーだったり、タイヤ幅が大きいから、何ともないのだが、田植機だけは、下ろす時に本当に怖い。車輪は細い上に、車距離が広くアルミブリッジの外側に近くなる。また、水田の泥土の中を直送するために、遊びを大きくとってあるのだろう。固い上を走る時は、ぶれが大きい。ちょっとしたことで、方向が変わりやすい。アルミブリッジの縁を乗り越えそうになり、冷やりとして、ブレーキを踏むこともよくある。幸い、この5年ほど、落とすことなくやってきたが、先日、下ろす時に、かなり苦労し、何度もブレーキを踏みやり直すことを繰り返した。若い時より、判断力も、瞬間の反能力も落ちているはずだ。本当に怖かった。田植機を下ろすことに、ものすごく恐怖を感ずるようになった。田植機の移動が怖い。何か方法はと考えた。
アルミブリッジの外の縁が高ければ、乗り越えることなく、縁に沿って擦れながらでも、下りれるのではないか。縁が高いという安心感で、不安が弱まれば、ある程度余裕を持って操作できるだろう。と考えた。縁にアングルを取り付けてみよう。5㎝でも縁が高くなれば、相当違うのでないか。でも、この雨では、電動工具を使う作業は無理だ。段取りだけを済ませ、明日早朝の作業にしようと、部屋に入った。
5月2日(水) のち
夜間、降らなかったようだ。朝も降ってはいない。しかし、午前中から降り始めるような予報になっている。なんとなく持ちそうだが、まあ、中止と決めたのだからと、納得させる。近場で、機械を走らせて行ける所なら、これは、半日もうけものと、植えることもできるが、機械をトラックで運ぶような所は、運びました、はい、雨が降ってきて中止です。となったら、とんでもない無駄になる。
大雨の予報なので、田んぼを回り、水手を低くして、満水にならずに、ひたひたぐらいになるように、調整してくる。そして、植えながら、ちょくちょくストレーナーの掃除をするようでは面倒なので、燃料タンクの内部を掃除しておこうと、機械の分解に取り掛かる。機械店の職員に聞くと、タンクの中に、ある程度の量のボルトやナットを入れ、灯油か軽油を少し入れて、降り洗いをすると、かなり錆びは落ちると云う。早速にやると、さすが、中のさびはほとんどなくなる。これならと、最後の洗い。ん?。灯油が漏っているようだ。何のことはない。タンクは錆びて薄くなっていて、錆を落としたら、穴が開いてしまったのだ。
さあ、大変だ。燃料タンクが無ければ、機械を動かすことはできない。タンクの形状は、機械ごとにすべて違うし、構造的にもいろいろある。部品取り寄せは時間もかかるし、今年が限度の機械に、よけいな経費を掛けても無駄だ。我が家の機械類のタンクを調べると、管理機のタンクはなんとか同じ構造のようだ。形は違うし、容量も小さいが、なんとかなるかもと、取り外して、田植機の燃料タンクの場所に合わせてみる。ボルトナットでは取り付けられないが、針金で縛り、田植機のカバーをちょっと切れば、収まりそうだ。取り付け終わり、ガソリンを入れ、始動。ホッとする。
もう3時を回る頃。昼ころから降り始めた雨は、かなり強くなり、風も強まっていた。明日の午前中は、籾すりをと、準備をして、6時ころ、強まる風雨に、ちょっとハウスの様子を見に行く。天井の換気用開口部がめくれている。雨が入り込んでいる。強風で、かなりに膨れ上がり、ちょっとやばそうだ。急遽、マイカ線を掛けたして、開口部のもちあがりを防ぐため、強く張る。もう暗い暴風雨の中、ようやく、なんとかもってくれるだろう状態にして家に入る。風向きが東風。めったに吹かない強風だが、このような風向きの嵐の時が、被害が大きい。まだまだ続きそうな風が心配だ。
5月1日(火) いちじ
今日からショートステイ。送りだしてしまえば、私の時間が待っている。幸い、雨は降ったとしても、小雨程度で、長く続くことはなさそうだ。機械は、圃場にあるから、苗を運べば植えることができる。軽トラックの荷台に苗コンテナを載せ、固定する。苗代ハウスの出入口は、きれいに草は刈られている。迎えが来る前に、苗を積んでおく。
9時半過ぎには、送りだせた。田んぼに向う。田植機に苗をセットして、植え始める。機械に不安を持ってはいたが、順調にスタート。これなら大丈夫そうだと、うなずいていると、プスン、エンジンが止まった。不安が現実になってしまった。キャブレターもあれほどていねいに分解清掃したのに。なぜだろう。原因は、その手前だった。燃料タンクの内部が、かなり錆びているようだ。ガソリンが、その錆を運び、燃料コックのストレーナーに詰まるようだ。ときどき、掃除をしながらの作業となる。なんとかなりそうだ。午前中は、こんなギクシャクスタートだった。
昼上がり。天気は、悪い予報に大きく変わったようだ。明日の雨は、大雨になりそうだし、3日も、開いた傘マークだけになったと云う。明日、明後日は、無理かもよ、と連れ合い。まあそれならそれで構わないさと、昼食後も、少し休む。午後は順調に進み、4時過ぎには、家の周囲の50aほどの田んぼは、植え終わる。機械は圃場においたまま、車で、帰る。
インターネットのピンポイント予報。いくつか見てみたが、やはり明日の雨は、田植を中止せざるを得ない雨のようだ。そして、3日も、続く雨。天気には勝てない。諦めることにしよう。苗の状態も、あせる必要はないと云っている。ただ、5日には、農家組合の早苗饗。できたら、その前に片づいていたら、ぐらいに思っていたのだ。周囲には、田植は、5月に入ってから始めるとも、話していた。終わらなくても、早苗饗はやってくれとも。
明日も植えるのなら、次の圃場に機械を運ぶのだが、休むので、機械は、自走で、家まで持ってくる。
4月30日(月) いちじ
田植機の点検、結構時間がかかってしまう。家での作業だからと、米の精米なども、ながら仕事でやろうなどと思ったのも、間違いだった。機械の点検整備は、オイルなどを使うから、油仕事。精米に行くときには、手洗いが必要だ。しかも、機械油だから、普通の石鹸だけでは落ちない。特殊な洗剤で、時間を掛けて洗う。たんびたんびだと、手洗いも一つの時間だ。
田植機は、シーズンに壊れて、急ぐからと、新品に取り換えた農家が、放っておいたものを、ただ同然でもらって来て、修理して使っていたもの。それも、もう何年にもなる。毎年、かなり手を加えて、使っていた。昨年使用後、もう駄目だろうと、露天にそのままにしておいた。今年、新しい機械を導入したいと、思っていたが、その余裕はできなかった。もう一年使おうと、点検を始めたのだから、そう簡単に、使えるようにならないのは、当たり前のことだった。それでも、なんとかなるだろうとなったのは午後も遅く。圃場に運んでおく。
育苗ハウスの周りが草だらけ。苗の積み込みによいように、入口周りの草刈をして、一日が終わってしまう。
誕生日の今日に、植え初めなどと、ほくそ笑んでいたが、甘い考えの、一晩だけの糠喜びだった。