鶴食うてよりことのはのおぼつかな いつき
西岡菓子舗の桜餅とつるの子を頂いた。嬉しい。九年ぶりの味。日本で食べた桜餅の中で一番美味しいとニックが言う桜餅。つるの子も本当に珍しく唯一無二の味。
俳句ガイドをしてた頃、明治のマッチ箱のような坊ちゃん列車が通った路地をお客さんと歩き、西岡さんへもよく立ち寄った。つるの子を食べると、組長の鶴の句を思い出す。つくづく不思議な句だよなあ。
悲しいニュース。ニックの親しい友デニスのお兄さんが、何と、轢き逃げ事故で亡くなった。ニックが、「出来るだけ普通に過ごそう。出来るだけ楽しく過ごそう。僕が彼ならそう望むはず。君は仕事をして、僕もチェロを練習して、夕方一緒に祈ろう。」と言うので、みんなでオフィスでご飯を頂き、姉夫婦や甥夫婦と俳句を作り、俳句を語って楽しく過ごした。
夕方、ベートーベンの後期弦楽四重奏(カヴァティーナと聖なる感謝の歌)をニックと一緒に聴いて、デニスのお兄さんの冥福を祈った。轢き逃げ犯は捕まったという。交通違反でパトカーから逃げている最中、モントリオールの宝のような素晴らしい指揮者ボリス•ブロットを無惨にはねて逃げたのだ。罪を憎んで‥‥‥とは言え、時には人を憎まずにはおれん。