なんて事書いてるとまた叱られる。
シューマンピアノカルテットには泣かされた。大人にしかできない演奏と言ったら、若者に敬遠されそうだが、それでも本当だから仕方ない。94歳のギトリスにしか弾けない曲があるように、還暦をだいぶ過ぎた紳士達が何十年ぶりかに集まって室内楽をやれば、彼らの人生が凝縮された音楽が生まれても不思議はない。ハイフェッツの愛弟子、一番弟子と誰もが認めるヴァイオリニストでありながらハイフェッツ節を弾かず、彼自身の演奏を見出したピエール。ドロシーディレイ、ガラミアン、ハイフェッツを師と仰ぎ、NY音楽界の貴族的なヴァイオリニストでありながらアラスカの大地と生きる道を選択した魂の求道者ポール。ジェットコースターみたいな音楽家人生の果てに日本で尚研鑽を続ける生涯一チェリストニック。彼らと共演したピアニストの彰美いわく。
シューマンのあの合わせにくく書かれた曲を、どうしてあのように自由に、力を抜いて、素晴らしい音で演奏されるのか…そこへ辿り着いた方にしかわからない感覚なのだろうなと、想像することしかできません。。。
と言いながら、いつものように彰美は完璧に準備し、一音たりとも見捨てず、ピュアな魂の結晶のような音で、持てる力を全て捧げて弾きつつ、おじ様達から盗める物は盗んでくれた、と信じる。
9日の横浜コンサートを、今年一番のソウルフルなコンサートと呼ぶとすれば、7日の甲府コンサートは、ボクシングでいえば、年末に行われるダブル世界タイトルマッチと言えよう。日本人で唯一のチャイコフスキー優勝者(四国出身の!)上原彩子さんをお迎えして二大ピアノトリオといえるメンデルスゾーンとチャイコフスキーのピアノトリオをやった。私はカーネギーホールに帰ったような気がした。サントリーホールで田崎悦子さんとニックを聞いた至福の夜を思い出した。
また次回このようなコンサートが持てる。
その希望があれば、幸せに長生きできる。
樅楓舎の代表飯田裕先生ご夫妻とスタッフ全員がこれを成し遂げた。私とニックの愛と感謝を贈ります。ありがとうございました。
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