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ミセスローゼンの上人坂日記

句またがりバラバラ事件春の闇



今日のお題は春の闇。分ち書きの件がスッキリしないので色々と考えてみた。誰の事も批判してないっす。椿さんは絶対に悪くない。愛媛新聞も悪くない。俳句界も悪くない。事象が悪いだけです。



「句またがり」

今日の写真は私の数ある俳句の教科書の一つ。NHK出版の『岸本尚毅の俳句一問一答』。わからなくなる度に開く。今回、わからなくなったのは句またがり。句またがりって何? 110頁の引用を引用する。






新聞の入選句が分ち書きされて嫌だ。私が分ち書きして投句したと思われたくない。なぜ分ち書きが嫌なのか? それは、句の音律の響きを止められるから。そして、句またがりの句を分ち書きされると、ギロチンでぶった斬られたように見えるから。

で、例句を引くのに高浜虚子句集をめくってみたら、無いぞ、無いぞ、句またがりが無い。ようやく23頁目に登場した。





曝書風強し赤本飛んで金平怒る 虚子

これを五七五で間を空けて分ち書きしてみると。

曝書風 強し赤本 飛んで金 平怒る

ああでもこれは句またがりじゃなくて字余りなのか。その場合、

曝書風強し 赤本飛んで 金平怒る

と書かれるのかな。

その後ずっとめくって、29頁。

闇汁の杓子を逃げしものや何 虚子
闇汁の 杓子を逃げし ものや何 虚子

読み比べてみると、下五、「ものや何」が間が抜けて聞こえそう。

山吹の雨や雙親堂にあり 虚子
山吹の 雨や雙親 堂にあり 虚子

雙親という僧がお堂に居る、という風に意味を読み違われる恐れもありそう。



『俳句一問一答』に、句またがりのよい例句があった。


大寒の一戸もかくれなき故郷 飯田龍太
大寒の 一戸もかくれ なき故郷

「なき故郷」はひどいんじゃね? 句の音韻は余韻を失い、意味もぶった斬られる。分ち書きにされて句のクォリティを落とされるのが嫌なのだ、とはっきりした。

なぜ分ち書きが始まったか知らんけど、句またがりの句がだんだん増えて来た事は事実だ。時代に合わせて表記も整えていくのが望ましいと、私は思う。


「余談ですが」

最初の虚子の句の「赤本」は江戸時代の草双紙(挿絵の多い大衆的な読み物。糸で綴じた。)ですが、「金平」って何だろう? と思った。調べてみた。『娘金平昔絵草紙』の事かな? 読んでみたくなるぞ。







「おまけ」

愛媛新聞の「集まれ俳句キッズ」は分ち書きされてない。一行縦書き間なし。五七五が響き合い、気持ちいいっすね!






「おまけのオマケ」
頑張って「分ち書き」の事をニックに説明していたら、こう言われた。

ニック「わかるよ。無伴奏チェロ組曲一番プレリュード。あの美しいメロディーをスラーで弾かず、昔の人がそう弾いていたというだけで、ノコギリのようにギコギコ弾くチェリストがごまんといる。バッハの当時とは楽器も弦も技術も違う。時代と共に演奏も変化していいんじゃないかな。」















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