「人生最初の記憶」
生まれた村のお寺の保育園にあった滑り台が、私の人生最初の記憶です。その上で二歳の私は◯◯◯をしました。半分はアクシデントで、半分は任意で。何故ならば粗相をすれば(小では無理だが大なら)家に帰れるというシステムを、子供ながらに感づいていたのです。多分姉が私を家まで連れ帰り、真面目な姉はすぐ保育園へ戻ったと思います。母屋に祖母が見当たらなかったので、お部屋と呼ばれていた離れに居た祖父に後始末をして貰いました。サッパリした私は保育園へ戻らず、縁側に並べられた小さな鰯の形の疑似餌を見ていました。「これでイカを釣る。」と祖父が言ったのを覚えています。
「ニックの人生最初の記憶」
サンタバーバラの家には、周りを大きな石で囲んだ日本庭園風の池があった。僕はにこにこ笑いながら口を開けたまま石の上に転んで舌の一部を噛み切った。強烈な痛みと目の前の石の色や形まではっきりと覚えている。あれは二歳だった。
同じ頃、母が車庫からバックで車を出している最中に、僕は後部座席の窓から身を乗り出して落ちてしまった。母がすぐ気付かなければ僕は今生きていなかっただろう。