先日何で見たのかよく覚えていないのだけれど、詩吟で母音返しいうことが言われるがそれは良くないという意見があった。その理由は、日本語は必ず母音に変わる、子音で終わっても必ず母音に変わって行くのだから、母音に返せというのはおかしいということだったと思います。
そのことは詩吟をやる方ならだれでも知っていることです。しかし、詩吟の音階で主音「ミ」、副主音「ラ」で振り止めをしなければいけないところがある。アクセントの関係で、主音になる前に「ファ」、または「シ」の音が来ているとき,子音を引いて母音に返るのを待っているとリズムを崩すことになります(母音返しで一音下がるです)、意識的に母音にするとすれば、それは母音返しを使ったことになるはずです。この母音返しの取り方が一つの技法でもあり吟を生かすことにもなります。
コンダクターが出てくる前は、アクセントはそれほど重視されなくて、出だしなどはアクセントに関係なく「ミ」「ファ」と入って、母音返しで主音「ミ」に返すのが詩吟の音程だったのです。
コンダクターが使われるようになって、アクセントが音符の役割をするようになってから、詩吟特有の男性的な独特の情趣を醸し出す吟法が影を潜めるようになった。確かに詩吟も音楽ですから、正しい発声法で、正しい日本語の読み方などを求めるのは当然だと思うのですが、それに依って失われるものもあることを考えてみたい。
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