ロシアへの接近路線をとり始めた日本
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タチヤナ フロニ 29.09.2011, 12:29
Photo: RIA Novosti
日本はロシアとの直接接近路線をとり始めたようだ。初めて現職の政治家、それも外務大臣が南クリル(北方領土)におけるロシアとの共同活動の可能性に言及した。
これまで日本で一般に受け入れられていた、この問題に関するアプローチは、4島における投資プロジェクトへの参加は、領土問題における日本政府の立場を台無しにするというものだった。
そのため日本は、そうした活動はロシアがこれらの島々を事実上所有しているばかりでなく、それが法的根拠を持つことだと間接的に認めることになるとして、南クリルの共同開発についてのあらゆる提案を斥けてきた。
これが戦後一貫した日本外務省の強固な立場だった。 それゆえ、南クリルでのロ日の共同開発はありうるとした、今回の立場は大きな注目を集めている。
ロ日問題の専門家ワレリイ・キスタノフ氏に意見を聞いてみた―
「ここ最近、日本がこれまでの固い立場から離れる用意があるとの兆候が見られていた。
最初に、そうした慎重な一歩が印されたのは、今年2月の当時の前原外務大臣のモスクワ訪問の時だった。
現在前原氏は与党民主党の政調会長という要職にある。
この機関は、対外政策を含め、新政権が戦略を作成する際に非常に大きな影響力を持っている。
もし玄葉外相の発言が、言葉の上ではなく実際のものとなれば、それは本当の意味で突破口を開くものであり、ソ連邦崩壊後のロ日関係における最も重大な肯定的前進と評価されるだろう。」
野田新政権で外相に就任した玄葉氏は、日本の高学年用歴史及び地理の教科書にある「北方領土はロシアにより不法に占領されている」という記述の適否をめぐり、現実的に対処した政治家でもある。
その玄葉氏が新政権の外相として、ロシアとの具体的な協力プラン作成の意向を持っていることは重要だ。
玄葉外相は、外交辞令もあるとは思うが、実務上のパートナーとしてのロシアの魅力を指摘し「現在ロシアは、経済成長と進歩を遂げ、自分の力に自信を持っている」と指摘した。
日本は、ロシアとの協力へ大きな注意を払い、両国関係改善の新しいバリエーションを模索する方向へと進みつつあるが、これは、それを促す多くの要因があるからに他ならない。
悲劇的な大震災の後、発生した福島原発事故により、日本は追加的・補完的なエネルギー源を必要としている。
まず第一に、石油やガスなどの化石燃料だ。又日本政府は、エネルギー・バランスに占める原子力の割合を減らす方針を打ち出した。
ここで再び、キスタノフ氏の見解を御紹介したい―
「今年6月、極東管区のロシア大統領全権代表は日本に対し、領有問題で意見が分かれる南クリル大陸棚での石油ガス開発を提案した。 北海道の目と鼻の先にある南クリルの大陸棚には、およそ3億5千万トンもの資源が眠っている。そこが実際に開発されれば輸送費が安く済み、このことは、日本にとって大変魅力的だ。 現在日本は、中東諸国からの輸入に大きく依存している。中東はご存知の通り今複雑な状況で、問題は、はるばる日本に運ぶ途中、タンカーが海賊に襲われるという事ばかりではない。今や南シナ海及び東シナ海で増大する中国の海軍力という脅威も存在している。南シナ海や東シナ海は、まさに石油やガスを中東から運ぶ際の通り道なのだ。 言うまでもなく、そうした現状が、日本に新たなアプローチを促したのだ。」
日本国内では様々な意見が出されるだろうが、こうした傾向は大変前向きでかつ創造的であり未来志向的だ。 袋小路に陥ってしまっているロ日間の「領土問題」解決に向け突破口を開く、重大なチャンスとなりうるのではないだろうか。
(写真上 ラヴロフ外相と会談する玄葉外相 9月22日)
クリリスク(択捉)島をビザ無し訪問した前外務大臣・前原氏
ソース ロシアの声
サハリンマン