脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

『王国』(中村文則)を読む。

2012年04月14日 21時31分25秒 | 読書・鑑賞雑感
中村文則の作品は好きである。今時珍しく暗い文体の若き作家である。 その暗さとは、人間存在の陰影のような、実存の翳りなのだ。中村氏の ような作家は今日貴重であると思っている。 本書は、ある若い娼婦が二つの闇の勢力から命を狙われる話だが、彼女 は両方の相手と駆け引きをすることで、「女」を武器に命懸けの綱渡り を演じる。だがこの女性は、何処か自分の命を諦めているような、倦怠 を引きずってみえる。この辺 . . . 本文を読む