家を潰して土地を売ることになってから、とにかく気持ちが落ち着か
ない。次に住む家が見つかってないこともあるが、家や土地というも
のは、アイデンティティなのである。自分そのものから自分が奪われ
るような、そんな理不尽な、不合理な不安のせいなのだと思う。
とは言え、そんなことで悩んでいても仕方ない。半年以内に立ち退く
ために、毎日衣類や本などの整理をしている。最初に取り掛かったの
は、母の着物である . . . 本文を読む
土曜日の夕方、某大手不動産仲介会社を通じて、都心にあるB社という
ディベロッパーと土地売却契約について調印をした。相続人のきょうだ
い一同の意思とは言え、祖父の代にこの地に居を構えて90年の歴史を
閉ざすと思うと、やるせない。カネの力に負けたと思うと更に情けない。
但し、契約条項の中には、ある種の不可抗力による、契約の白紙撤回と
いうのがある。土地を売却する場合、測量や境界画定の他にも、排水管
. . . 本文を読む
私の住む実家(敷地と駐車場)の売却が親族会で決まり、今週末には契
約調印である。母が物故して半年なのに、話が早過ぎる気がする。今
後の地価下落基調を危惧して、一部の親族が慌てているのである。私
の方は、半年以内に立ち退かねばならない。
土地の売買というものを経験したことがないのだが、仲介業者の話を
聴くと実に色んな事柄が絡み合うものだと知った。先ず我が家は、町
工場を戦中から営んでおり、土壌汚染 . . . 本文を読む