昨夜からの雨が残り、やけに肌寒い三月末日である。
窓から、裏通りの向こうに一本の桜が見える。
淡いピンクの花ビラが咲き誇り、見事に満開である。
今、雨も上がり、予報ではこれから北風が吹くらしい。
花はやがて吹雪くように散っていくのだろう。
白い花弁がほんのりピンクに色めいていく桜、
桜を眺めていると、愛らしくも儚い女のエロスをさえ感じる。
また、雨風に惜しげもなく散っていく姿は、
潔く精々しく . . . 本文を読む
ユーチューブを観てたら、70年代の「族」の集会、
エンペラーだの、極悪という暴走族の動画があった。
私は、族と右翼には直接の縁はなかったが、
昔の不良の方が、今の脱力系不良に比べて、
「真面目」な不良に見える。
マジで気合入れて、男気磨いて、威勢張ってたのだから。
不良なんで、女コマして、どうのってのもあったろうが、
昔の不良は、「男」として本物かどうかが問題だった。
今の不良って、タイマンも . . . 本文を読む
スギ花粉の飛散が本格的になってきた。
花粉症の症状も悪化してくる。
毎朝起きると、頭がボーとして眠たい。
花粉症の処方薬のせいである。
眠い。体がだるい。
鼻が詰まる。目が痒い。耳の奥まで痒い。
何事にも、やる気が出ないのである。
一昨日、所用で板橋の方に出かけた。
都営線の駅を降りて、大きな交差点の前で、
方向オンチの私は、地図を見ながらも、
環七通りを目的地とは逆方向に歩いていた。
その . . . 本文を読む
昔読んだサルトルの言葉に「人間とは無益な受難である」
というのがあった。表題はそれのもじりである。
車谷長吉氏の『物狂ほしけれ』(平凡社)の「徒然草独言」を読んでた。
「名利につかはれて、閑かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。」
高校の教科書で目にしたような、こんな言葉に今また触れてみた。
今のわが身を顧みると、欲しようとも、何の「名」も「利」も、
求めるべく身分ではないので、自然、名 . . . 本文を読む
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』(亀山訳、光文社文庫)をほぼ読み終えた。
この長編作品には、他の訳で過去二度挑戦したが、三分の一位読んで挫折していた。
世界文学としても最高峰の名作とされているが、何故かあまり感動がない。
大学生の頃、初めて『悪霊』(新潮文庫)を読んだとき、
この作家は大天才だと、驚いた思い出がある。
ポリフォニー(多声性)というらしいが、登場人物の一人一人が、
作家の手 . . . 本文を読む
最近、タバコを買いに行くと、自販機に封筒が取り付けてある。
手に取ってみると、「タスポ」という成人識別カードの申込書であった。
自販機でタバコを買う場合、タスポなるICカードが必要となるらしい。
このカードは発行手数料等は無料で10年有効だとあるが、
申し込みには、身分証明書のコピーと顔写真が必要である。
何でタバコを買う位のことで、顔写真まで
日本たばこ協会に送らねばならないのか。
顔認識機 . . . 本文を読む
ウチのジィジ(78)が運転免許の更新だとかで、
最寄の警察署に手続きに行ったらしい。
自動車学校で高齢者向けの実地教習を受けさせられ、
後は視力検査だけとなった処が、
視力が足らず、検査に通らずで、更新保留となり、
目の手術をするだの、ブツブツ言いながら帰ってきた。
ジィジは今なお、現役の工場労働者兼会社社長である。
若い頃、片目を溶接で焼いてしまったとかで、
片方の視力はほとんどなく、もう片 . . . 本文を読む
旧友Fが亡くなってから三日後、末の弟に男の子が産まれた。
弟の奥さんは細身の上、「高齢出産」の年齢でもあり、
だいぶ体調を崩しながらも、無事に元気な赤ちゃんを産んでくれた。
これで私の甥・姪としては、9人目になるが、この子で最後だろうか。
出産予定日は三月と聞いていたが、やや早めに誕生したようだ。
私は、なんだかFの生まれ変わりのような気がしてきて、
昔読んだイアン・スチーブンソンの生まれ変わり . . . 本文を読む