「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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推進側代表学者OB見解も「状況はかなり深刻で広範な放射能汚染の可能性を排除できない」

2011-04-02 14:14:37 | 福島第一原発と放射能

 

 下記の記事に出ている人々は、あくまで推進側の中心的な学者の、OBグループです。反対派側の人では全くありません。吉岡先生や小出先生が話していた中での最悪想定に近いことを推進側の中心的な彼らが喋りはじめている現実をどうして、政府やマスコミは、認識しないのか僕にはさっぱり理解できません。何度もお伝えしていますが、事態は一向に改善の様子がありません。水を入れ続ける方法論だけでは解決しない事まで、推進側から、あからさまに認めはじめているということです。小出先生ともいまさっき話しましたが「私が前から述べていることと同じ事を言いはじめているだけですね。もう汚染は広がっているのだから。さらに、僕の考えている最悪想定と同じようなことに言及しはじめているだけですね。わかりきった話なんだけれども」と。

 広範な放射能汚染というのは現在の数十キロゾーンの話ではありません。吹き上がる高度と風向きによっては、100キロから250キロゾーンも汚染される可能性があります。最悪想定は絶対にあり得ない話ではなく、あり得る話だと、彼らは伝えています。こんな明瞭な話をなぜ「思考停止」しつづけるのでしょうか。退避ゾーンも広げないと判断することが、多くの被害をもたらす可能性があるのに、なぜまともに判断しないのでしょうか。僕は許せないです。

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原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言(読売新聞) - goo ニュース

原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言

2011年4月2日(土)01:42

 福島第一原子力発電所の事故を受け、日本の原子力研究を担ってきた専門家が1日、「状況はかなり深刻で、広範な放射能汚染の可能性を排除できない。国内の知識・経験を総動員する必要がある」として、原子力災害対策特別措置法に基づいて、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって緊急事態に対処することを求める提言を発表した。

 田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、石野 栞 ( しおり ) ・東京大名誉教授ら16人。

 同原発1~3号機について田中氏らは「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう」と警告。また、3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要があると指摘した。

 一方、松浦氏は「原子力工学を最初に専攻した世代として、利益が大きいと思って、原子力利用を推進してきた。(今回のような事故について)考えを突き詰め、問題解決の方法を考えなかった」と陳謝した。

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ブログのタイトルを変更しました。今回の情勢の中で、考えた末の決断です。以前から、僕個人ブログとして再出発していましたが、今回、僕自身の名前をはっきり出すことにしました。長井健司の署名にご協力頂いた皆さんに一応ご報告しておきます(このブログは元々、長井健司殺害に抗議する署名活動から始まっていますので)。


原子力は古臭い技術という認識を持つべきです。古臭い技術に僕らは追い詰められています。

2011-04-02 00:54:58 | 福島第一原発と放射能

 「原子力は、昔の技術で、劣ったものです。」吉岡先生がおっしゃていました。確かに良く考えれば、四十年以上前の技術ですし、原爆のことを考えれば65年も前の技術です。技術の根幹的な原理はそのころから、大きく変化をしていないと思いますし、そのため、冷却をおこなえなかった時の、全く違うレベルの技術的対応はなく、ひたすら冷やすことがメインテーマとなります。ただ、冷えないのですよ。ハッキリ言って。これだけ注水しても注水しても、すぐには冷えません。冷え切るのには、専門家に伺っても早くて一年という単位を口にするばかりです。もちろん徐々に冷えていくとは思いますから、最初よりは低くなりますが、それでもなかなか冷えません。冷えきらないと、要は危険がなくなると明確にいえない状態がずるずる続くのです(もちろん、現時点での最良シナリオです)。このままの状態というのは多かれ少なかれ、放射能が出続けている状態で、それは人体にとってよいことは特にない状態が、少なくとも冷え切るまでは、安心できるレベルにはないということです。もちろん、環境というのはいろいろな不安な要素で左右されるものですから、放射能だけを過大に評価すべきではないというお話をする人がいるかもしれません。しかしながら、他のものよりも、明らかに自然界に存在しているよりも過剰に放射能を受け止めなければならないことを明確に認識してほしいと思います。古臭いというか、劣った技術の問題に僕らは追い詰められているのです。

 福島在住といわれる方から書き込みがありましたので、きょうの線量をベースに僕の考えで仮定の式を組み立ててみて、どのくらい被曝するのか考えてみたいと思います。もちろん、仮定ですし、人間はどのようにでも動くからお前の言うことは当てにならないと思われても仕方ないですが、一つの仮説としてこのようなことを僕が考えてみたいと思います。きょうの福島市内のモニタリングポストで1時間当たり2.63マイクロシーベルトを観測したそうです。仮にこれが発生時からずっと継続すると仮定します。2.63マイクロシーベルト×24時間=63.12マイクロシーベルトになります。ただし人間は大半は室内に居ると仮定して仮に一日のうちに三分の一程度屋外に居る想定で考えると63.12×0.3=18.936マイクロシーベルトになります。外部被曝です。村田医師の空気、食料、水からの内部被曝は、外部被曝の四から五倍程度という仮定に基づいて仮に四倍としてみます。18.936×4=75.744マイクロシーベルトが一日の内部被爆になります。一日あたりの総被曝は、外部被曝と内部被曝を足すと18.936+75.744=94.68マイクロシーベルトになります。これが一日ですから、一ヶ月で計算すると94.68×30=2840.4マイクロシーベルトになります。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトなので、一ヶ月に2.84ミリシーベルトくらい被曝するという想定が出ます。この段階で公衆被曝のレベル年間1ミリシーベルトはもちろん超えているのですが、これが三ヶ月続くと、2.84ミリシーベルト×3=8.52ミリシーベルトになります。これは、妊娠可能な女性(妊婦ではない)の放射線従事者で、三ヶ月で5ミリシーベルトの被曝を超えてはならないという放射線従事者の法定基準を楽々と超えていく可能性があります。この法定基準は元来はかなり厳格なもので、公衆被曝の年間1ミリシーベルトを守れないことはぎりぎりあきらめるとしても、この三ヶ月5ミリ基準は一般国民への限界としか思えません。もちろん、ずっと続くかどうかは未知ですし、放射能についての想定はいろんな考え方がありますから、僕の想定や考え方の通りにはいくとは思いません。しかしながら、僕が突飛でものすこ゜くおかしな考えをしているようにも思えないのですが、皆さんいかがでしょうか。すでに、福島市内の方でもこのような状態ですから、もっと線量の高い、福島県内のエリアは言うまでもありません。東海村の臨界被曝事故の時と比較すると(周辺住民のみのためもっと手は早かったですが)、政府の対応は後手どころの騒ぎではありません。僕には本当に理解できません。特に妊婦や妊娠可能な女性と子どもだけでも何か策を講じられないのかと思います。自分で決断しないことが自分の人生のポリシーである菅直人総理にはもちろん届かないでしょうが。むなしいです。

 同じ方法で今度は東京でもやってみます。本日は新宿のモニタリングポストの数値が0.099マイクロシーベルト×24時間×0.3=0.7128マイクロシーベルトが一日あたりの外部被曝。内部被曝は、0.7128×4=2.8512マイクロシーベルト。外部被曝と内部被曝をあわせて3.564マイクロシーベルトになります。三ヶ月だと大体320マイクロシーベルトで収まります。一年だとおよそ、1300マイクロシーベルトになり、1.3ミリシーベルトになります。東京でも一年間この状態が続くと、年間1ミリシーベルトの公衆被曝のラインはわずかですが突破します。ただ、これだと成人にはほぼ影響はないレベルだと思います。妊婦や子どもにはこれでよいとするかどうかは判断が分かれるとは思いますが。勿論、東京は現況のままで推移すれば本当によいとは思います。しかしながら、原子炉の状態によっては、違うことがおきることは、今後も十分にあり得ますので、あくまで原子炉がうまくいきつづける、最良のケースの場合の話であることをお忘れなく。

 さきほどNHKで見ましたが、福島県のアドバイザーになった山下俊一長崎大学教授が、福島県内の被曝について「心配する必要はない」と言い、半減期が長いが、セシウムは悪影響はないと言う趣旨の話をしきりにしていました。本当にそうなら喜ばしいですが、本当なのでしょうか。山下氏は1991年からチェルノブイリ原発事故後の国際医療協力にとりくまれたそうです。ただし、事故発生から五年後の話です。日本船舶振興財団つまり会長の故笹川良一氏、笹川プロジェクトによるものだそうです。

 この記事も木下黄太が書いています。個人として、ジャーナリストとして書いています。最近、ジャーナリストを名乗るなという意味不明な脅しが、あるところから、僕に直接届いてますが、あまりにも相手のレベルが低すぎるので、相手にするのも馬鹿馬鹿しい、きょうこの頃です。「お前は取材が甘い、ジャーナリストのレベルでない。」という感じのご叱責でしたら、とても歓迎いたします。