福島の学校の問題について、政府決定の撤回要請署名がまわっています。僕も署名しました。
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/20-4449.html
賛同受付フォーム 【緊急声明と要請】子どもに「年20ミリシーベルト」を強要する日本政府の非人道的な 決定に抗議し、撤回を要求する。
署名フォームは以下の通り↓
情報を、さらにお伝えします。まず親しい官邸のスタッフから、福島県内の学校について、どうして日弁連会長ののごく真っ当なメッセージがほとんど、メディアを通じて世の中に流れないのかと言う話がありました。官邸を動かすためにも、世の中に情報を伝えてくれと言うのが彼の言い分です。現在、僕はこのブログが最大の手段になっておりますので、掲載します。日弁連の宇都宮会長は昔、何度か取材はしていて、サラ金の問題解決などに具体的に最も動かれた、大変優秀な弁護士です。宇都宮さんがトップの体制なら、このような真っ当なものを出してくれるのは本当によくわかります。僕自身は、もはや学童疎開しか方法はないとまで考えはじめていますが、宇都宮さんのような段階を踏んだ真っ当な考えは、尊重するしかありません。ごらんになった方も多いかもしれませんが、掲載します。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110422_2.html
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「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」に関する会長声明
4月19日,政府は「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を発表し,これを踏まえて,文部科学省は,福島県教育委員会等に同名の通知を発出した。これによると「児童生徒等が学校等に通える地域においては,非常事態収束後の参考レベルの1~20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安と」するとされており,従前の一般公衆の被ばく基準量(年間1mSv)を最大20倍まで許容するというものとなっている。その根拠について,文部科学省は「安全と学業継続という社会的便益の両立を考えて判断した」と説明している。
しかしながら,この考え方には以下に述べるような問題点がある。
第1に,低線量被ばくであっても将来病気を発症する可能性があることから,放射線被ばくはできるだけ避けるべきであることは当然のことである。とりわけ,政府が根拠とする国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)は成人から子どもまでを含んだ被ばく線量を前提としているが,多くの研究者により成人よりも子どもの方が放射線の影響を受けやすいとの報告がなされていることや放射線の長期的(確率的)影響をより大きく受けるのが子どもであることにかんがみると,子どもが被ばくすることはできる限り避けるべきである。
第2に,文部科学省は,電離放射線障害防止規則3条1項1号において,「外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3 ミリシーベルトを超えるおそれのある区域」を管理区域とし,同条3項で必要のある者以外の者の管理区域への立ち入りを禁じている。3月あたり1.3mSvは1年当たり5.2mSv であり,今回の基準は,これをはるかに超える被ばくを許容することを意味する。しかも,同規則が前提にしているのは事業において放射線を利用する場合であって,ある程度の被ばく管理が可能な場面を想定しているところ,現在のような災害時においては天候条件等によって予期しない被ばくの可能性があることを十分に考慮しなければならない。
第3に,そもそも,従前の基準(公衆については年間1mSv)は,様々な社会的・経済的要因を勘案して,まさに「安全」と「社会的便益の両立を考えて判断」されていたものである。他の場所で教育を受けることが可能であるのに「汚染された学校で教育を受ける便益」と被ばくの危険を衡量することは適切ではない。この基準が,事故時にあたって,このように緩められることは,基準の策定の趣旨に照らして国民の安全を軽視するものであると言わざるを得ない。
第4に,この基準によれば,学校の校庭で体育など屋外活動をしたり,砂場で遊んだりすることも禁止されたり大きく制限されたりすることになる。しかしながら,そのような制限を受ける学校における教育は,そもそも,子どもたちの教育環境として適切なものといえるか根本的な疑問がある。
以上にかんがみ,当連合会は,文部科学省に対し,以下の対策を求める。
1 かかる通知を速やかに撤回し,福島県内の教育現場において速やかに複数の専門的機関による適切なモニタリング及び速やかな結果の開示を行うこと。
2 子どもについてはより低い基準値を定め,基準値を超える放射線量が検知された学校について,汚染された土壌の除去,除染,客土などを早期に行うこと,あるいは速やかに基準値以下の地域の学校における教育を受けられるようにすること。
3 基準値を超える放射線量が検知された学校の子どもたちが他地域において教育を受けざるを得なくなった際には,可能な限り親やコミュニティと切り離されないように配慮し,近隣の学校への受け入れ,スクールバス等による通学手段の確保,仮設校舎の建設などの対策を講じること。
4 やむを得ず親やコミュニティと離れて暮らさざるを得ない子どもについては,受け入れ場所の確保はもちろんのこと,被災によるショックと親元を離れて暮らす不安等を受けとめるだけの体制や人材の確保を行うこと。
5 他の地域で子どもたちがいわれなき差別を受けず,適切な教育を受けることができる体制を整備すること。
2011年(平成23年)4月22日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健 児
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同じ官邸スタッフから、今月出たばかりのIPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、官邸ホームページにあがっている「チェルノブイリ事故との比較」との違いについてどう思うのかと聞かれました。
官邸のホームページは以前の記事でリンクしていますが、ものすごくレベルの低いものです。IPPNWは核戦争防止国際医師会議で、核戦争を医療関係者の立場から防止する活動を行うための国際組織です。1980年の設立。83カ国、20万人の医師が参加し、1985年にノーベル平和賞を受賞している団体です。この中身をある程度は読みましたが、一定以上信頼度のおける報告だと僕は思いました。
僕と官邸スタッフの結論は同じで、恐らくこの報告書に基づいて、福島第一原発でも、より何が東北・関東エリアにおきるかを想定していかないとどうにもならないのではないのかということです。官邸の中の大半の人はまったくそんなことは考えてもいません。この報告は、ファイルで全てが読めますが5Pから11Pにサマリーがあります。
http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/pdfs/chernob_report_2011_en_web.pdf
部分訳はピース・フィロソフィー・センター(カナダ・バンクーバー)が掲載されています。大変、参考になります。
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html
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資料が貰える話です。ICRP勧告ですので、内部被曝などの考慮が十分でないという異論もあるかとも思いますが、日本アイソトープ協会が送料負担のみで無償配布してくれるようですので、参考資料としては、手元にあった方がよいと思いました。
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ICRP勧告日本語版刊行 無償配布のお知らせ
ICRP勧告日本語版として「Publ.96 放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護」を刊行いたしました。このPubl.96は、放射線テロ発生時の被ばく防護措置に関する専門的助言となっていますが、今回のような放射線事故による緊急事態にも有効であることから、当協会では、当面の間、同書を無償配布することにいたしました。
ICRP勧告(日本語版)
「ICRP Publication 96 放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護」
B5判98頁 2011年4月29日発行
【内容案内】
放射線攻撃後に予想される緊急時シナリオは,放射線事故から生じうるものと多くの面で似ている。本書は,放射線緊急時における被ばく防護措置に関する専門的な助言であり,様々な人々――緊急事態に対応する作業者と救助者,妊婦と乳児,子供,公衆――を被ばくから守る基本的な考え方,被ばく回避の段階的対策と判断規準,被ばく後の健康影響,飲料水・食品・日用品の汚染管理,被害者への治療を含む総合的な内容となっている。各種規制のガイダンスレベルも多数掲載した,放射線緊急時対応プログラムに必要な全体像が理解できる1冊である。
http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15086,76,html
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