「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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速報「千葉・茨城で、母親の母乳からヨウ素131が検出」

2011-04-21 00:00:29 | 福島第一原発と放射能

 首都圏のお母さんたちの母乳からヨウ素が検出されました。千葉と茨城のおかあさんの母乳からです。 

 午後三時に、厚生労働省で会見を行われるようですが、僕もブログの読者から、メールで情報を頂き、このグループの村上代表と、直接お電話でお話いたしました。このグループは今回、はじめて立ち上がっているもののようですが、おかあさんたちに必要以上のパニックは招きたくないものの、事態の進行は国が対応しないことを許すレベルではなくなりつつあるという認識です。母乳を採取した九人のお母さんのうち、福島県と宮城県など五人のお母さんの母乳から出ませんでしたが、千葉と茨城県内の四人のお母さんの母乳から、複数、ヨウ素131が検出されたと言うことです。千葉県柏市に在住のお母さんから、1キロ当たり最大36.3ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されているようです。3/30に結果が出たそうです。また、茨城県守谷市在住のお母さんから1キロ当たり31.8ベクレルの数値が出たそうです。これの結果は、3/24のものです。さらに茨城県内の二人の在住のお母さんの母乳からも検出されたということです。ヨウ素のみで、セシウムは検出されていないと言うことです。僕自身もこの類のことは、必ずおきてくると思っていましたが、いざ伝わってくると、やはりショックです。シビアなことをまた、突きつけて皆さんには、申し訳ない気持ちですが、いちはやく情報を伝えることが、僕の仕事だと認識していますので、とにかくお伝えしたいと思います。今回の検出は、福島県内ではありません、千葉県の柏市と茨城県の守谷市です。このことは、首都圏での出来事です。水道のヨウ素の暫定基準が100ベクレルだから大丈夫というのはありえません。本来、母乳からヨウ素は不検出が当たり前ですから。

 日本産婦人科学会は「大丈夫」を繰り返していますが、実際に大丈夫である根拠を示していないと、村上代表は話します。たしかにICRP2007でも、母乳の実態は調査すべきで、乳児に対しても調べなければならないと話しているものですから、当然、実態調査はすべきことです。ECRRのような団体だと「大問題」と考えるレベルの情報です。

 村上代表は「この人達はたまたま私たちのグループと近いおかあさんたちで、ごく普通の人達です。もちろん外に出ているかいないかとか、生活スタイルで変化もあるから、一概には言いません。ただし、サンプル数が九人しかありませんので、もっと多くのサンプル調査をしなければいけません。福島県内の高濃度の汚染地域はまずもっと数値が高くなる可能性があります。ここが、調査対象の急務です。東京、神奈川などでも調査したいと思っていますが、今晩、問い合わせは殺到しています。」と。「とにかく木下さん、いろんな形で母乳のサンプル調査をしなければならない」と言うことです。危険な地域は急務と僕は思います。

 内部被曝を一番よくわかるためには、母乳でヨウ素の値を知ることが、もっともよくわかることになるのでは、と村上代表は言います。お母さんが母乳で測ると、子どもたち、お兄さんやお姉さんや小さな子どもの数値も分かるはずなので、具体的な対策がその数値で考えられるのではと、彼女は話します。「対策が立てられるのですよ」と話します。女性ならではの現実的な対応です。

 母乳というのは、メディアで、ダイオキシンのときにも、いろんな形で取り上げられて、皆さんの心に強く響くことであるのは、僕も認識しています。過去にダイオキシン報道を行ったときに、母乳からダイオキシンという情報がセンセーショナルになった記憶を思い出します。僕はそのときは、母乳をやめることには、割と反対をしました(母乳を飲むメリットの方が大きいと当時は思いました)。今回の数値は、本当にシビアなものです。ダイオキシンと放射性物質という違いもあります。何回も書いておりますが、内部被曝という問題を避けては通れないという今の現実で、これを突きつける話だと思いますので、この情報は重要です。子どもを、赤ちゃんを、この国は守る気概が有るのかどうかが、突きつけられると思います。

 さきほど、内部被曝に詳しい松井英介医師と話しました。「母乳がいつごろのものかにもよりますが、関東圏でのスパイクが3/15,16にあったことからも、このあたりとさらに数日後の降雨で、放射性物質が降下したことは間違いない。タイムラグがどの程度になるのか。母乳と言うのは、母体から血流がまわり、排出される先にあるルート。不溶性のものが特にそのまま出る訳ですから、そういう性質が反映されているんです。過去の有機水銀やダイオキシンのときにも同じ状態だったことからもわかります。母乳からの検出と言うのが、ひとつのメルクマールになります。脂肪や肝臓にあるものも、出ますので。この数値が、少なくないのは間違いありません。他の核種の検出はどうなんでしょうか」と。

  

 この団体のHPは設立直後なので、今は無く、関連団体のページより、同団体の文章を一部転載いたします。(部分的に転載しています)

http://hairoaction.com/?p=306

 

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私たちは、「本当に母乳に放射能汚染はないのか」という事を心配して、茨城県のお母さんたち5名、福島県3名、宮城県1名に母乳を提供していただき、放射能検査をいたしました。その結果、茨城県のお母さんの母乳の複数から、ヨウ素-131が検出されました。福島県の方の母乳は不検出(1名検査中)、宮城県の方の母乳も不検出でした。(セシウムは不検出)

実際に母乳の放射能汚染があった事は衝撃です。原因は、様々考えられますが、公開されている空気・水・野菜・原乳の汚染の高かった地域のお母さんたちの母乳は、もしかしたら赤ちゃんに与えるには高いレベルにあるかもしれないと私たちは心配しています。

今回母乳を提供してくださったお母さんたちは、赤ちゃんのためを一心に思い、勇気をふるって協力してくださいました。これからこうしたお母さんたちを支援 するために、母乳の調査を広く実施するとともに、万一数値が検出された場合でも安全なところへの一時避難や安全な食べ物や水、粉ミルクや他のお母さんから の母乳の提供など、お母さんが希望される事をバックアップするネットワークを作りたいと思います。

母乳調査・母子支援ネットワーク
発起人 村上喜久子・大賀あや子・宇野朗子・大石光伸・村井和美・河田昌東・向井雪子・黒部信一・高橋智津子・村上麻衣
カンパ先 郵貯 普通 12170 70089991 母乳調査・母子支援ネットワーク

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 本来ならば、国、厚生労働省、産婦人科医たちが取り組まなければならないポイントを、市民グループが先にはじめているというシビアな現実を僕らは直視しなければなりません。問題があるのかどうかさえ、不透明にしようとする流れの中で、おきている現実を世に問うことができるのかどうかが、問われているのだと僕は思います。危険は、今、そこにあるということをもう一度認識してほしいと思います。