ぼくはきょう報じられている事柄のうち、気になるのは浪江町の累積線量が、11日間で10.3ミリになったそうです。簡単な計算なので計算します。一年では、341.7ミリの累積被曝線量になります。これは外部被曝のみです。もちろん24時間外に居る場合ですから、僕の推定で外に居るのが三分の一程度と考えると、年間113ミリシーベルト外部被曝で浴びる可能性があります。さらに内部被曝を以前推計で示したとおり、四倍で換算すると、外部被曝と内部被曝の総計で、569ミリシーベルトになります。今回の作業員の緊急で引き上げた被曝限度が250ミリシーベルトですから、年間で楽々と突破いたします。すいません。このレベルで住民の皆様を長期間現地に置くメリットが、私個人には何も理解できません。「政府がウソをついているという類の陰謀史観をもっている木下黄太」と非難されているレベルの僕が言っている戯言にすぎないと聞いていただいても良いのですが(僕は官邸にも複数情報ソースはありますし、今も繋がりがかりありいろんなことを話しています。官邸の見立ては甘いと何回も断言しますが、ウソの数字を発表しているような陰謀史観は表明していませんが)、発表されているデータだけ考えても、とても大丈夫とは思えないと言うことです。僕が再三避難地域を拡大するべきだと話しているのは、まさにこういうデータから考えているだけです。避難地域の拡大は急務です。少なくとも五十キロエリアまでは早急な判断が求められると、改めて僕は思いました。本来は、迷うことなく、その判断をなされるはずなのになぜこうならないのか、それには理由があります。僕はその根幹的な理由の一つが菅直人総理のパーソナリティーにあると断言します。総理が最高決定権を有しているはずならば、総理の意向と判断で最後はいかようにでもできるはずです。それが、この現状であるのは、彼のパーソナリティに帰着することが大きいのです。
僕は20年以上前から、菅直人氏はよく知っています。前も書きましたが、あることで、公道上で彼に理不尽な振る舞いと言動をされることがあり、許せないと思いました。その日の夜に二人でサシで居酒屋で話しましたが、最初は偉そうにくだを巻いていたのですが、こちらがなぜあなたのいいぶんがおかしいのかと、理路整然と詰め続けたところ、最後は豹変して僕にあやまってきました。当時二十代前半の若造だった僕は、気鋭の市民型政治家の実像にいささかあきれました。次の日、「木下君と飲んで喧嘩して仲良くなった」と嬉しそうに彼が話していると聞いた瞬間、気分が悪くなりました。その後、僕の身近でいろんなつながりが、菅氏の周辺にあり、なんとなくの関係はありましたが、僕自身ご本人とは極力接触しないようにしていました。なんというのか心底、嫌な人に思えたのです。これが、僕個人の感覚だけなら、どうのこうの言うことではありませんが、いろんなところで同じような話を聞きます。もともと菅と最も親しい人と、次に親しい人と、三人で話したときにも「とにかく菅は俺たちの話も聞かない」「言うだけムダ」「あいつと一緒に酒を飲むとまずなるから飲みたくない」なとどと言う台詞が連発されます。菅に遠い人ならばよくわかりますが、菅に最も近いと考えられているような人々の中でも、常識としてこういう話がされます。
さらに、よく言われる「イラ菅」というのは、、当たり前の事柄で、とにかく気に入らないことがあると叱り飛ばして、相手を威圧するのが彼の手口です。というか、彼は基本これしかやりません。特に内部に対して、この「イラ菅」振りを発揮するのが、彼の日常です。彼に近い人々でさえ、そういう風に彼を見ているわけですから、官僚となると本当に大変です。別に官僚のえこひいをするつもりもありませんが、報告に言ったら、少し何か気に入らないとイラつかれるのが日常です。そうした場合にあなたが官僚だったら、どう考えると思いますか?官僚と言うのは良くも悪くも優秀です、そして為政者に気に入られようとするのが、官僚の本質です。この菅という人に気に入られるためには、ある種の気に入られるような報告をしなければならなくなるのが、今の官僚の立ち位置ではと、僕は推察します。官僚の中にはこのままではまずいから、どういう感じで接していくべきか悩んでいる人さえいるかもしれません。僕が知る限り、菅総理の周りはこんな感じです。そうすると、本当に彼の耳に入れなければならない情報が、特に耳障りの悪い情報が、彼の耳に届きやすい構造になっているとは、僕には全く思えません。
実は、僕の知る複数の官邸スタッフが、今回の原発災害に関して、菅にとっては、耳障りの悪い話を入れ続ける努力を継続してやっています。彼らは、最悪の事態を想定して、否そればかりか、現在の問題のある状態を認識して、菅総理に情報をあげているのですが、その話を切り出すたびに、イライラされ、さらに「原子力は自分が一番」的なワードを持ち出されて、むかつくような対応をうけることばかりなのだそうです。それでも彼らが僕にこぼすのは「もう、本当にこんなところ辞めようと思うけどさあ、木下君。俺が言わなくなったら、菅には誰も話をあげなくて、事態が最悪の状況になったら、俺は残りの人生をずっと後悔する。少しでも国民のために俺は明日も菅に言うからさあ、君も手伝ってくれ」と。僕も菅のことは嫌いですが、自分が嫌いだからといって、あきらめたくはないので、そうした人達の手伝いも、このブログ以外に続けているのです。最新の情報では、今の凪のムードを反映して、菅は耳障りの悪い話に対する反応が極めて悪いそうです。「話すとイラつかれて本当に気分が悪いんだよ」とこぼされます。自分が「原子力は一番」的な思い込みも、邪魔しているのかもしれません。こうしたことが、今回の政府の甘い見通しに反映していると、僕は思っています。
理解したくない人々に理解してもらうことは大変に難しいです。危険が有るのか無いのかは、最後はその人、個人個人の判断になります。僕はいつも自分が、そうした判断をぎりぎりの感覚で決断することにしています。どんなに「頭がおかしい」と罵られても、危険があるのなら、危険だと言い続けるのが僕の役割になっていると自覚しています。そして、為政者も同じように、危険が有るのなら、民を導くのが為政者の役割です。大きく強く深い決断が必要となります。そうし決断が、菅直人氏に可能であるのかどうかを僕たちは冷静にみていくしかありません。自分の安全のために。
このブログは木下黄太が、個人の責任で書いています。何かご質問がある方は、メールにお名前と電話番号を明記してください。必要があれば連絡しますので、連絡下さいと明記してください。可能な限り対応します。
「追記」
今日のニュースで東京電力の福島での会見と思いますが、放射能を含んだ水を海に垂れ流すことを説明しているとき、ほとんど泣いていました。このニュースの中で本当に実は奇妙な光景でした。ただ、なぜ、泣くのか、よくわかります。僕はあの泣き顔は演技ではなく、あの人の良心だと強く思っています。つまり、事態がどういう状況であるのか、あの人の泣き顔でも分かることは多いと思います。こうしたことは、テレビニュースにほんのわずかですが、映し出されることがあります。テレビを流している側が自覚していなくても、テレビを見ている人には、思わぬ真実が伝わることがあります。映像というのは、恐ろしいものです。ある意味すごいものです。この、緊迫した状況ですから、みなさん我慢して、ニュースで、確認し続けて下さい。そうしたことによって、何かが皆さんに伝わることで、今回の事態で、皆さんの安全について、寄与する場合もあると、僕は思います。映像と言うのは当事者や伝え手の意向を、簡単に飛び越えて、視聴者である皆さんに、思わぬ真実をもたらすことがあるのだということを、忘れないでいただきたいと思います。原稿の中身やスーパーされている文言に皆さんの信頼がない場合でも、映し出された一瞬の映像には、真実があるということ。これは、新聞や雑誌、ラジオにはないテレビ映像の強みであると、僕は、自分が今の立ち位置であっても、そう考え続けています。