「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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東京電力が政府の指示で事故収束の見通し会見を午後三時からおこないます。

2011-04-17 13:07:09 | 福島第一原発と放射能

本当に事故収束の見通しが出てくるのなら、望ましいですし、一定程度の放射性物質の漏洩は続くと思いますが、最悪の事態の回避なども含めて、事故収束の見通しが本当につくなら、嬉しい限りです。もちろん、本当に見通しがつくならということでは、ありますが。会見の中身を確認して、今の政府と東京電力の状況から、僕が危惧していることよりも、状態がもし良くなっているのなら、望ましいことです。会見後は、一度考えてから、更新する形にしようと思います。


官邸のホームページをみて、驚きました。

2011-04-17 00:06:56 | 福島第一原発と放射能

まず、下記を読んでください。

官邸のホームページの引用です。

 

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チェルノブイリ事故との比較
平成23年4月15日

チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO,
IAEA
など8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、
25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これら
の国際機関の発表と福島原発事故を比較する。

原発内で被ばくした方
*チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3
週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が
亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
*福島では、原発作業者に急性放射線傷害はゼロ、あるいは、
足の皮膚障害が1名。

事故後、清掃作業に従事した方
*チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシ
ーベルトで、健康に影響はなかった。
*福島では、この部分はまだ該当者なし。

周辺住民
*チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーヘ
゛ルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベル
トの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められ
ない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に
飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡
くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100
)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キロ
グラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。

*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト
以下になっているので、放射線の影響は起こらない。

一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、
広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響
(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に
検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は
明らかである。

長瀧重信 長崎大学名誉教授
    (元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療
協会名誉会長)
佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事
     (前 放射線医学総合研究所 理事長) 

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この官邸のホームページに記載されたペーパーは福島は実質チェルノブイリレベルではなく、チェルノブイリも直接の被害はたいしたことがないというお話だと思います。きょうも官邸のスタッフと話しましたが、官邸の中は、とにかく、危険を指摘する話を聞かないことが、正しい状態とされているといいます。細野補佐官が原発情報をまとめていて、彼が総合的に判断して大丈夫だというと、総理以下、大丈夫と追認する状況で、危機につながる発言をする人間が、ほとんどペシミストよりもおかしい人として扱われていると聞きました。同じように危機を訴える僕も、世間からまともに相手されていないレベルの人間ですから、二人で俺たちが本当におかしくなってしまったのかどうかだなと、半分笑いながら話しました。まあ、実体の背景がこうだから大丈夫という整然とした話があるようではなくて、一時のような混乱もないし、水は入れているから大丈夫だという説明をして、それが全体のコンセンサスになっている感じのようです。深く考えている様子はないし、いろんな危機意識を有している感じは、今の官邸の中にはほとんどない感じがするということなんです。

 こうしたことも踏まえて、九州大学の吉岡先生に、このホームページの中身を伝えたところ、「チェルノブイリの本当の実体は、あの時代背景のソ連できちんとトレースされていないの歴史的な常識だろう」と言葉を失っていました。「僕はこんな話を平然と官邸がホームページに載せるとは思わなかった。原子炉の推進側の学者がある程度きちんと反省をはじめているのに、まさかこんな話をはじめるなんて。原子炉の学者よりも、こういう人たちの方が何の実像もきちんと確認せずに話をしてきているのは、僕には常識ですよ。信じがたい」と。危険が本当に回避できている状況も不十分な中での不確かな発言。「三号機も一号機もどのくらいもつかどうかが、相変わらずぎりぎりの状況なのに、原子炉のことだけでもわかっている学者の方が、まだましだよ」とまで、言われます。「木下君、君と話すたびに絶望が深まるよ」と言われ、「いや、まあこういうのが今の日本社会だからしょうがないよなあ」と。さらに先生は「僕は楽観主義者で、まあ、もしも爆発しても、近い場所でなければ時間はあると思うよ。最短なら六時間くらいだけど、この前の感覚なら、一日か二日くらい都内でも時間があるんじゃない。それから逃げても間に合うと思うよ。殆どの人は、危機感が無いから、パニックもおこらないし、渋滞にもならないんじゃないかなあ。逃げる体制さえ、自分が整えておけば大丈夫なんじゃない。危機感が本当にある人は、たぶんほとんどいない。ほんとに、ごくごく少数。しかも決断ができる人はさらに少ない」ともおっしゃいます。

 ここ数日、「逃げる」ことについてブログの読者や知り合いからたずねられます。財務省のあるキャリアが尋ねてきたのには少し驚きました。「あなたのラインなら、自分で官邸に確認すれば分かるでしょう。僕なんかに聞かなくても」と言うと、「そんなことないよ。今の官邸から意味ある話が具体的にこないなんてお前もわかるだろう。俺の立場でも判断できる材料が無いから、お前のブログを見て、お前の判断が聞きたいんだよ」とも言われました。もちろん、現場の技術者たちにも正確な見通しは難しいでしょうから、そういう心情になる政府側の人間がいるのも分かる気がしますし、聞いてくる人の本音は、自分よりも、家族を守りたいという想いですから、物理的に可能な範囲では、誠実に答えるしかありません。それは、もちろん皆さんにここでお伝えしていることと、基本的には同じ事で、次に爆発事象が起きた場合にどうするのかということと、近隣のモニタリングポストが数マイクロに、突然上がりはじめるかどうかと言う事につきます。僕はこの場合は、自分の判断に迷いはありません。自分や家族を大切に思うなら、福島第一原発より遠くに逃げることしか、基本的な方法はありません。僕の信念は「人は放射能には勝てない」ということです。

 僕のような判断をしている人間は、異端でしょうし、昔なら非国民扱いされる人間であることは間違いないと思います(今でもそうかもしれません)。さらに、僕の恐れているようなほどの危機にならず、結果的に官邸の言うとおりに、ある程度の放射性物質の拡散でとどまり、原子炉全てが数ヶ月で収束することも、もちろん考えられます(この場合でも完全に封印するまでには数十年に近い単位にはなると思いますが)。こうした場合でも、内部被曝による晩発性障害が、一定以上は、出てくると僕は思っています。現在の政府の立ち位置ですと、これを認めるまでにも、長い年月がかかる事は言うまでもないでしょう。こうした状況の中でも、危険を言うことができるかどうかは、僕には問われていると思っています。言った事により、昔なら、殺害される可能性もありますから、そういう時代ではない中で、自分が言い続けることは、自分にとっては大切なことだと思っていますし、自分が関わってきた社会に対しての責任の果たし方だとは思っています。