「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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ミンスクにおいて、こどもの疾病がどのようになっていくのか。2008年の報告です。

2011-12-22 03:05:25 | 福島第一原発と放射能

島田市、大阪市。ガレキ問題に揺れる自治体でおこなわれる講演会では、住民が講演会の後に積極的に、みんなで話し合い、新しい方向性、エネルギーを向けようとする力が感じられました。本当によいことだと思っています。ぼくの講演会という側面から、いろんな人たちがつながっていく状況を踏まえると、新たな物語の始まりを予兆する気さえします。記者会見前に起きた出来事は、不信感と、そういうことをおこなう人々や組織のことを考えると、繰り返し嘔吐しそうな感覚にとらわれていたのですが、夕刻の講演会に集った皆さんの力を見ていると、ここから何かをはじめたいという感覚がよくよく理解できることと思っています。こういう落とし穴にはまり込まされているときに、山本太郎氏の突然の援軍は心強い限りだと思います。本当にありがとう。
本日は午後から三田市で講演会をおこないます。周辺の方はぜひおいでください。放射能ガレキをかんがえるためには。立ち上がるしかありません。
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木下黄太講演会 in 兵庫三田
  
日時:2011年12月22日(木) 13時~15時 (12時半開場)
 
講演会終了後、残って頂ける方々とミニ交流会をする予定です。参加者同士、お話したい方は是非ご検討ください。
 
場所:兵庫県三田市 中央公民館 3階講座室
参加費:500円
 
案内事項:
・定員50名ですので、kodomo311kenkou@auone.jp 宛てに、予約をお願い致します。代表者のお名前、ご住所、当日の連絡が可能な電話番号、参加人数を記入してください。
・託児はご用意できませんが、お子様連れでの参加もお待ちしております。
・公民館の駐車場スペースは大変限られております。できるだけお乗り合わせの上、お越し頂けますよう、ご協力宜しくお願い致します。
 
主催:関西・子供の健康を考える会


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ミンスクにおける子供の疾病について驚く報告。2008年のものです。ミンスクは放射線管理地域に入っていません。およそ300Bq/kg程度の汚染エリアだろうと思われます。東京23区よりも汚染は低いとみられます。

 

http://d.hatena.ne.jp/eisberg/20111219/1324309477より

 

 

ミンスクにおける子どもの疾病経過


2008年4月20日(日)23:26発表


チェルノブイリ – 17年後


「汚染されていない」地域において明らかな疾病の増加


1997年から2001/2002年にかけて、ミンスク市のある病院が異なる家庭環境の子ども達を対象に定期的な健康調査をおこなった。長くミンスク市に住んでいる家庭の子ども(ミンスクグループ)と、チェルノブイリ事故後にミンスク市に移住させられた家庭の子ども(移住グループ)を比較した。

いずれのグループでも、疾病の増加は愕然とするほど明白である。移住グループの子ども達における影響は、より深刻である。

このことは以下のデータが裏付けるものである。

 

腫瘍の頻度 (0〜14歳までの10万人の子どもを調査)

             1997  1998  1999   2000  2001
ミンスクグループ    299.4    298    427    503    496.7
移住グループ   1068.8    1004.7  1015   903    1106

 

気管支喘息の頻度 (0〜14歳までの10万人の子どもを調査)

            1997  1998  1999  2000   2001
ミンスクグループ    675    790    909    1000    1118
移住グループ     1058     979   1176   1006    2000

 

 

 


慢性疾患を患う子どもの数(%)

             1997   1998    1999   2000   2001
ミンスクグループ   15.5%   16.7%   21.0%   22.2%   23.6%
移住グループ     29.0%    33.2%    40.1%   43.7%   50.5%


身体障害児および身体障害の前段階の子どもの数(%)

              1997  1998  1999  2000    2001
ミンスクグループ    0.9%    1.2%    1.1%   1.16%   1.3%
移住グループ      1.3%     1.4%     2.4%  2.7%   3.0%

 

完全に健康な子どもの数(%)

              1997  1998  1999   2000     2001
ミンスクグループ   6.4%    4.5%    3.8%    3.5%      3.7%
移住グループ      3%     3%      2%      0.9%      0.3%

 

以上のデータについて、移住グループの子ども達の非常に多くがミンスク市で生まれているにも関わらず、ミンスクグループの子どもよりも病気になる頻度が高いのは何故かという疑問が沸く。

これは、年齢の高い子ども達は幼少期に原発の近くに住んでいたため、また、年齢の低い子ども達は成人したチェルノブイリ被害者の子ども達であるためと考えられる。

また、移住グループの子ども達は学校の長い休みの間、汚染された地域に住み続けている祖父母や親戚の家で過ごすことが多く、経済的困窮から汚染地域の食品を大量にミンスク市へ持ち帰っていることも原因と見なすことができる。

しかし、ミンスク市その他の「汚染されていない」地域出身の家庭の子どもたちの健康状態が継続的に悪化しているのは何故だろうか。1986年の事故当時に、ミンスク市とその周辺は放射性降下物の影響をそれほど受けなかったとされているが、それは間違いなのだろうか。ミンスク市およびその周辺で売られている食品は、当局が主張しているように安全ではないのだろうか。

 


以下の調査結果は、両方のグループの子ども達を合わせた数字である。子ども達の健康状態が悪いことを上記データに加えて証明するものである。

 

様々な疾患の増加(%)

                   1997          2001
骨および筋肉の病気    1.3%            2.9%
心臓疾患              13  %           22  %
眼の異常              17  %           24  %
腫瘍                  4.9%           10  %
内分泌障害             6.4%            8.7%

 

悪性腫瘍および脳腫瘍の頻度 (10万人の子どもを調査)

          1997    1998   1999   2000   2001
悪性腫瘍      57       73      77      104      121
脳腫瘍        15       20     25.8      46       56

 

奇形および先天性の心臓疾患 (10万人の子どもを調査)

        1997    1998   1999    2000    2001
奇形      1191     1366   1374    1683    1906
心臓の欠陥  706      895    950    1287    1504

2001年にこの病院で生まれた856人の新生児のうち、完全に健康だったのはたった3人だけだった。

 

甲状腺疾患(甲状腺炎)および甲状腺にしこり (1000人の子どもを調査)

          1997    1998   1999   2000   2001
甲状腺炎    0.48      0.5     3.4    6.76    29.4
甲状腺しこり 0.96      1.8     3.4     4.0    25.9


これらの驚愕的な数字は首都ミンスク市で得られたものである。この事実を報道するベラルーシの新聞、ラジオ、テレビはない。ベラルーシ政府は、チェルノブイリ事故の影響は克服したとしている。4月にミンスク市でこの問題の管轄機関を訪れた「チェルノブイリの子どもたち」に対し、当局はそれを何度も強調した。最新の調査状況に関する情報は公表を差し止められている。

もう一度強調するが、ミンスク市は汚染されていないと見なされている地域である。モギリョフ州やゴメリ州などの放射性降下物に重度に汚染された地域で比較調査をすれば、どれほどの結果が出るであろうか。


エーファ•バルケ

(翻訳 Eisberg)

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江東区の講演会は定員のため受付終了です。定員を当初より百人以上増やしましたが、これ以上は不可能ということです。