俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

外見

2010-03-05 15:58:43 | Weblog
 人間は必要以上に外見を重視する。
 ある博覧会でテキ屋のオヤジがマスコットキャラクターの着ぐるみを着たことがあった。そのオヤジは本当に怖い顔をしていて、近づいただけで子供が泣き出したり引き付けまで起こしかねないような顔だった。ところが着ぐるみの中に入れば顔が見えない。だから子供達は大勢集まってこのオヤジに抱きついていた。もし着ぐるみを脱いだら子供達はそれこそ蜘蛛の子を散らすように逃げ出していたことだろう。
 倉橋由美子さんの竹取物語の結末は衝撃的だ。この竹取物語では原作とは違ってかぐや姫の希望に沿って姫が地球に残ることが許される。但し宇宙人の姿に戻った上で。宇宙船から降りたかぐや姫は護衛兵によって「この化け物め、死ね」と滅多切りにされる。姫は「ミカド、ミカド」と呟きながら息絶える。
 なぜ人間はこれほど大きく外見に依存するのだろうか。

地産池消(2)

2010-03-05 15:40:13 | Weblog
 地産池消の推進は豊かで健康な食生活を阻害する。
 ある特定の土地で作れる農作物は限られるから、地産池消に取り組めば毎日、地元特産のイモとかキャベツばかり食べるような栄養の偏った貧弱な食生活を強いられることになる。
 幸いなことに日本には様々な気候風土があり、それに対応して様々な食材が揃っている。この自然の恵みを最大限に活用しなければ勿体ない。
 特定の土地の産物に頼ることは危険でさえあり得る。ある土地で取れる米や野菜にはカドミウムが含まれているそうだ。こんな土地で取れる米や野菜ばかり食べていればイタイイタイ病にもなりかねない。産地を限定することはその土地特有の毒物の蓄積に繋がる恐れがある。
 地産池消よりも適材適所のほうが遥かに理に適っている。もし日本でバナナを栽培しようとすれば巨大な温室が必要になるが、そんな馬鹿なことをするよりは南国から輸入したほうが良い。米作に向かない土地で不味い米を作るよりはその土地にあった作物を作ったほうが良い。
 それぞれの土地で最も適した農作物を作って役割分担したほうが食文化も豊かなものになる。フードマイレージなどといった戯言に騙されることなく(次の、時間的には前の記事参照)日本中・世界中から集まったヴァリエーション豊かな食材を楽しみたいものだ。
 しかしなぜ地産池消のような不合理な主張がマスコミで採り上げられるのだろうか。得をするのは消費人口の多い都心の農家だけであることを考えるなら、農作物の質が悪いために売れない東京近郊の兼業農家のサラリーマン本人かその友人であるマスコミ関係者が己の利益のために話題にしている可能性が高いと邪推せざるを得ない。

フードマイレージ

2010-03-05 15:22:20 | Weblog
 フードマイレージは食料品の重さ×輸送距離で算出される。力(=質量×加速度)×距離で算出される仕事量に似ているので何となく科学的な数値であるかのように誤解され易いが、実はこれは似非エコロジストがでっち上げたナンセンスに過ぎない。
 アメリカから輸送するレモン1個のフードマイレージは巨大な数値になる。しかしこのたった1個のレモンを運ぶために必要とされる石油は1ccにも満たないだろう。たった1個のレモンを運ぶために船を動かす訳ではなく、何百トンものレモンが同時に運ばれているからだ。こんなレモンのフードマイレージを気にするよりは、乗船前に乗務員全員に大便を出させて重量を減らしたほうが何十倍も環境に貢献するだろう。
 こんな無意味な数字よりも宅配のほうが遥かに罪は重い。仮にレモン1個を宅配するならそのためには数トンのトラックを少なくとも数十m動かして停車させねばならない。レモン1個を宅配することは通常あり得ないが、産地直送の野菜を宅配すればどれだけのエネルギーがそのために使われることだろうか。
 レモンで問題にすべきなのはフードマイレージよりもポストハーベストだろう。輸送中のレモンが病虫害に会わないように大量の農薬(殺虫剤)がぶっかけられ、残留農薬の濃度がしばしば安全基準値を上回る。
 無意味な問題で騒ぐことは、宅配やポストハーベストなどの重要な問題を忘れさせるから最も反エコロジー的な活動だ。