俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

歴史

2010-03-19 15:59:04 | Weblog
 人は自らの意志や行動を自分で決めねばならない。多くの場合その選択は自らの経験に基づいて決められる。選択の基準は「多分これが正しいだろう」という判断に基づく。しかし偏った経験に基づいて選択するからその選択は必然的に偏ったもの・誤ったものとならざるを得ない。我々はもっと歴史から学ばねばならないだろう。
 ドイツの鉄人宰相ビスマルクは「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」と言ったが至言だと思う。
 確率の基本に大数の法則というものがある。ある事柄を繰り返せば、回数を増やすに従って規則性が見出されるという法則だ。例えばサイコロを1回だけ振るなら何が出るか分からない。正に「出鱈目」だ。しかし1万回振ればそこに法則性が現れる。
 経験された事柄はたった1度振ったサイコロのようなものだ。法則性は見られない。偶然性に支配される。しかし歴史は人類による試行錯誤の積み重ねであり法則性が見つかる。例えば借金に借金を重ねた国がどんな末路を辿ることになるかは思弁ではなく歴史に尋ねるべきだ。
 議論では結論が出なくても歴史は証明してくれる。社会主義の欠陥については机上で空論を交えるよりも、ソ連崩壊のプロセスを検証したほうが何百倍も役に立つだろう。

負の負担

2010-03-19 15:48:22 | Weblog
 会費を集めた宴会の会費が余った場合、良心的な幹事ならメンバー全員に還元する。しかしメンバーの一部による二次会に使ったり自分へのご褒美に使ってしまうこともあるだろう。
 もし金が足りなかった場合、メンバーからの非難に耐えて追加徴収をすることになるだろう。幹事一人が犠牲になることは滅多に無かろう。
 バブル崩壊までの日本は前者だった。経済が成長していたから税収は豊富にあり、権力者の間で余剰金が分配された。
 バブル崩壊後は後者だ。不足した金は国民から広く徴収することになる。今のところ国債で誤魔化しているがいずれは増税となる。
 注意して欲しいのは、余剰の場合は少数者で分配するが、不足の場合は多数者に負担を圧し付けるということだ。好景気の間、政官財は利益を山分けして、不況になれば国民に追加負担を迫る。何とも不公平な話だとは思うがどうにもならない。できるだけ負担が公平になるよう国民が見張るしか無い。あるいは追加負担を圧し付けられる前に海外に逃げ出すか・・・

EU

2010-03-19 15:34:05 | Weblog
 昨日、大西洋・地中海のクロマグロの輸出を禁止する案が否決された。日本では可決を危惧する声が聞かれたが、私はEUとアメリカ以外は1国も賛成しないのではないかと思っていた。
 EUとその他の国では「輸出」の意味が違う。EU域内での取引は輸出入には当たらないからだ。つまりEUは幾ら輸出入を規制しても域内取引は自由であり、EU以外の貿易だけが禁止される。こんな不公平な仕組みは無い。
 EUは輸出規制をすることで域内取引を活発化し、域外の取引を抑制する。つまり域外諸国の経済を停滞させてEUの一人勝ちを狙える立場にある。
 ずる賢い欧米人は今回のクロマグロ禁輸を通じて「PIGS(ポルトガル、イタリヤ、ギリシャ、スペイン)」の救済を狙ったのではないだろうか。勿論クロマグロだけでPIGSを救済できる訳ではない。クロマグロを足掛かりにして次々と禁輸品目を増やしてEUとアメリカによる覇権とアジア・アフリカ・南米諸国の停滞を狙ったと考えるのは極東のアジア人の僻みだろうか。
 日本のマスコミは「マグロが値上がりする」と感情的に騒ぐだけでEUのエゴイズムと論理的矛盾を指摘する声は全く聞かれなかった。残念なことだ。