俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

冬のトマト

2010-04-02 15:11:00 | Weblog
 トマトは夏の野菜だ。それを冬に食べるためには、温室で栽培をするか、南国や南半球から輸入するかのどちらかしか無い。フードマイレージや地産地消といった戯言に踊らされそうになるが、実際には温室栽培と輸入とどちらのほうが地球環境のために悪いだろうか。CO2排出量に限るなら圧倒的に温室のほうが有害だろう。
 温室栽培のためには四六時中暖房をせねばならない。大きな温室ほど大量のエネルギーが必要だ。
 一方、輸入する場合、大型貨物船で運ぶならトマト1個当たりの石油使用量は1ccにも満たないだろう。
 こんなことを考えていると環境問題に関する議論は本当に上滑りだと感じざるを得ない。なぜ温室が問題にされずに温室効果ガスが問題にされるのだろうか。温室のほうが明らかに有害だ。

内政と外交

2010-04-02 14:55:24 | Weblog
 仮にロシアと「3島返還」が合意に達したとする。それに反対する野党が「4島返還」を主張して政権を奪った場合、その新政権はどうすべきだろうか。4島返還の可能性を残した上で3島返還を推進すべきだろう。ロシアにいきなり4島返還を突き付ければ交渉は決裂して、少なくともその後50年は1島も返還されることは無いだろう。
 外交はギリギリの妥協で成立する。最もデジタルから懸け離れたアナログの世界であり白黒で割り切れるものではない。相互の利害を極限まで調整するのが外交だ。相手国の利益に配慮し過ぎることは自国の損失を招く行為であり背任に等しい。
 政権交代が頻繁に起こるアメリカではこと外交に限っては前政権の路線を継承することが不文律となっているらしい。それが国益に適うからだ。たとえ前政権が起こした戦争であり、新政権がそれに反対して政権を奪った場合でも、新政権が即時停戦をすることは無い。利益を最大にする条件での講和を模索する。そうしないと国益を損なうからだ。
 国内問題なら政権交代を機に幾ら見直しをしても構わない。ダムを止めたり税制を変えたり郵便局を国営に戻そうと全く構わない。それは国内の問題であり国内の誰を優先するかというコップの中での争いに過ぎない。
 しかし外交は違う。外交の失敗は100%国益(国民益)を損なう。こんな当たり前のことを鳩山首相は理解していないようだ。

野生動物

2010-04-02 14:43:15 | Weblog
 野生動物をペットにしようとしても多くの場合失敗するらしい。アライグマやタヌキの子をペットとして飼育していてもある日突然飼い主に対する敵意を剥き出しにして野生化してしまうそうだ。
 犬や猫あるいは豚などの場合、飼い主の命令を受け入れる。飼い主がしつけとして叱ることに対して不快感を示すこともあるが、給餌者という立場が忘れられることは無い。叱られてプイッと出て行った猫も空腹になれば飼い主に甘える。彼らは叱られるというデメリットと餌というメリットを秤に掛けることができる。
 しかし本来野生である動物の場合、思考の仕組みが全然違うようだ。餌は理解しても「給餌者」は理解できないようだ。そのため給餌者に対する恩は感じず、叱る者=攻撃する者=敵と認識するようだ。
 こんな野生動物のような思考回路を持った人間が職場や学校や家庭でも見られるようになって来た。一度叱られただけで親を敵と見なす忘恩の徒もいる。こんな「野生人」と結婚した人は不幸にしかなれない。たった一度の食い違いで心は離反してしまう。こんな相手とは一刻も早く離婚したほうが良かろう。