俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

B級グルメ

2010-04-06 14:16:14 | Weblog
 高ければ旨いのは当たり前で、安ければ不味いのもやむを得ないが・・・・。
 私は長年、吉野家の「旨い、安い、早いの三拍子」が理解できなかった。安いと早いは分かる。しかしなぜ「旨い」と言えるのか分からなかった。
 昔、初めて東京に出張した時にやっとその謎が解けた。東京には2種類の飲食店しか無かった。高くて旨い店と安くて不味い店のどちらかだ。安くて不味い店と比べたら吉野家の牛丼は旨かった。尤も、最近では関東でも安くて旨いチェーン店が増えているようだ。
 一方、大阪には安くて旨い個店が沢山ある。その多くは薄汚い店だ。設備投資を最小限に抑えることによって無駄な支出を無くしているから安いと旨いが両立できるのだろう。内装に投資しなければ素材や技術に投資できる。
 関西ではグルメ本の評価は低い。気取った店よりも薄汚い店のほうが安くて旨いからだ。大阪は日本一のB級グルメの宝庫だろう。探せば安い・旨い・汚い(=内装などに金を掛けない)という三拍子揃った店は沢山ある。残念ながらB級グルメの名店を見つけるためには自分で探すか口コミに頼るかしかない。こういう店は固定客だけで充分経営は成り立っているので宣伝費は一切使わないから。
 但し、汚い店が必ずしも安くて旨い訳ではない。汚い・安い・不味い店も少なくない。それでも綺麗・高い・不味いよりはマシだろう。

違いが分かる

2010-04-06 14:02:13 | Weblog
 コーヒーの味に敏感な人がいる。各店の味を識別してランク付けをする。ちょっとした違いでも分かるらしい。少なくともコーヒーに関する味覚・嗅覚が他の人よりも鋭いから違いが分かるのだろう。
 ワインのソムリエも信じられないほど鋭い味覚と嗅覚を持っている。音楽家も一般人とは全然違った鋭い聴覚を持っているようだ。
 同じように、賢い人には人の違いが分かる。賢い人には人それぞれの知的レベルが区別できる。まるでコーヒーを飲み比べるように識別してランク付けできるらしい。一方、愚かな人には皆が同じに見える。どの人も自分より賢そうだということでいずれも100点で同レベルになってしまう。
 法人には人事部門がある。この担当者は決して最優秀の人材ではない。最優秀者はもっとクリエイティブで利益を生む部門に配属される。人事担当者は概して保守的・管理主義的・権威主義的だ。大して優秀でない人事担当者が自分より優秀な人をどうやって評価するのだろうか。理解できない筈だ。
 彼らは結果によって判断する。結果なら後付けだから誰にでも評価できる。あるいは組織間・組織内での評価を鵜呑みにする。自分達よりも賢い人の評価だから信用できるという理屈だろう。
 しかし人事部門がこんな低レベルで良いのだろうか。優秀な人事担当者がいれば組織はもっと活性化するのではないだろうか。

新党

2010-04-06 13:46:37 | Weblog
 自民党の一部による新党作りは実に奇妙な動きだ。反民主・半自民の自民党分派のような理念無き新党など本来あり得ない。訳の分からない新党ではなくいっそのこと「老人党」を作ったらどうだろうか。70歳前後の彼らが先輩老人として団塊の世代を含む老人全体の地位向上を図るという図式ならよく分かるし、老人の数は非常に多いので支持基盤も磐石だ。
 これは決して老人のエゴではない。若死にする人以外は誰もが老人になる。老後の生活の充実は全国民の悲願とも言えよう。
 格差が一番大きいのは老人だ。定年の無い政治家や経営者がいる一方、経験も知識も知恵も豊富でありながら定年退職を強いられた人も大勢いる。彼らは自嘲気味に「サンデー毎日」と呟いている。もし格差是正が社会正義なら高齢者のこの格差こそ是正すべきものだろう。
 60歳定年制はタテマエ上では見直されたことになっている。しかし実態は全然違う。リーマンショック以降、年功序列制により高給取り(実は若い頃の給料の後払い)の高齢者が企業から狙い撃ちされている。リストラのメインターゲットは高齢者だ。
 病弱や痴呆症の老人には介護と福祉を、健康で勤労意欲もある老人にはそれに相応しい職を与えて納税させることこそ国益に適う。高齢者の自立と支援を最大のスローガンとする老人党なら、訳の分からない新党よりも広く国民の支持を得られるのではないだろうか。何せ、誰でもいずれは老人になるのだから。