俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

悪の否定

2010-04-23 15:56:53 | Weblog
 悪の否定は善だ。しかし悪と決め付けたものを全否定することは必ずしも善に繋がらない。
 民主党にとって自民党政権は悪だろう。自民党の政策を否定することは善の筈だ。しかし現実的にはそうならない。
 自民党が暴力団なら全否定しても構わない。麻薬を扱わない、恐喝をしない、売買春をさせない、ということなら国民も納得する。しかし自民党は暴力団ではない。国民のそれなりに多数者が支持する政党だ。確かに悪いことは沢山するがたまには良いこともする。これを全否定すれば民主党が悪いことをすることになってしまう。
 普天間基地返還はその数少ない善政だった。それを一緒くたにして否定するから収拾が付かなくなってしまった。最早、解決は不可能だ。沖縄の人には気の毒だが、こんな馬鹿な政治家がいたと、反面教師として長く語り継がれることになるだろう。
 前政権を悪の権化と見なす政策は分かり易い。しかし正しくない。「政治家らしく」是々非々の姿勢で対応すべきだっただろう。

環境の破壊者

2010-04-23 15:45:18 | Weblog
 チェルノブイリは今では野生の動植物の楽園になっているそうだ。放射能汚染が収まった訳ではない。ただ単に人間がいなくなっただけだ。
 動植物にとって人間は放射能以上に危険な存在だということだ。噴火や地震以上に人間が環境を破壊している。
 人類の増加が生態系を破壊している。有史以前にマンモスを食べ尽くして以来、毎年、多数の動植物を絶滅させている。比較的上手く自然と共生している日本でさえ、神の使いの筈のオオカミ(大神)を絶滅させ、ニッポニア・ニッポンの学名を持つトキまでも滅ぼした。アジもサバも乱獲が原因で激減させた。文字通り一網打尽にしてしまったのだ。
 動物と比べたら日本における植物との共生関係は少しはマシだろう。日本の森林面積は国土の約70%を占めており、世界平均の30%の倍以上だ。但し質的には大いに問題がある。育ち易い杉と檜ばかり植林するから花粉症大国になってしまった。これも公害の一種だと思うのだが一向に農林水産省の責任が問われないのは不可解だ。

競争する男

2010-04-23 15:27:41 | Weblog
 男は競争することが好きだ。男は一人で走るよりも誰かと一緒に走ったほうが早いそうだ。女にはそんな変な性質は無い。
 私のような唯我独尊のマイペース主義で競争嫌いの男でもこの本能からは逃れられない。私と同じぐらいの速さで泳いでいる人がいるとなぜかスピードを上げてしまう。不思議なことに普段より速く泳いでいるにも関わらず競っているほうが疲れない。アドレナリンが分泌されるのだろうか。
 確か柴田翔氏の「されど我らが日々」だったと思う。幼馴染の恋人と別れた男が彼女の回想文を読んで驚く。子供の頃から彼女は彼と一緒にいることを純粋に楽しもうとしたのに、彼は常に競争しようとしていたという内容だった。この本を読んだ当時の私にはこのギャップが個性によるものか男女差によるものなのか分からなかった。
 男が競争好きという本能を持つことは進化論的には意味がある。男同士が優劣を競えば、女性は伴侶の品定めが易しくなる。つまり男は競い選ばれる性であり、女は選ぶ性なのだ。
 男の競争好きが本能に組み込まれているとは言え、男は無駄に競争して「歯を食いしばり戦って死ぬ」(フォーク・クルセダーズ「何のために」)とは何と虚しい一生か。
 進化のためには必要な性質であろうとこんな迷惑な性質は自覚して克服したいものだ。男が本能に基づいて無駄に好戦的であるのなら国家の指導者には女性が就くべきだろう。そのほうが戦争の少ない平和な国際社会が築けるだろう。