俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

賭博

2010-06-25 16:37:00 | Weblog
 角界が野球賭博で揺れている。暴力団の資金源になるのだからこれに手を出すのは悪いことだ。
 しかし根本的問題が置き去りにされている。賭博という行為が果たして悪いことなのかどうかということだ。もし悪いことなら国や自治体がほぼ独占的に利権を握っている公営ギャンブルを即刻やめるべきだ。
 ギャンブルは儲かる。参加者ではなく胴元が必ず儲かる仕組みになっている。これを国や自治体がほぼ独占していることが大きな問題だ。宝くじもトトも競馬も競輪も国と自治体が利権を握っている。競艇だけはどういう訳か笹川ファミリーが絡んでいるようだが公営というタテマエだ。パチンコでさえ警察の利権になっている。
 こんな儲かるビジネスを「公」が独占しようとするから暴力団が参入する。禁じられた儲かるビジネスに裏社会が積極的に参入するということは、禁酒法時代のアメリカでマフィヤが勢力を拡大したように、歴史的に証明された事実だ。
 ギャンブルは民間に開放されるべきだろう。自由競争になれば配当率も上がり、まともな企業が参入してサービスも良くなる。それに暴力団の財源にもならなくなる。
 もし賭博そのものが悪いことなら国と自治体は即刻撤退すべきであり、悪いことでないのなら独占せずに民間に開放すべきだろう。儲かる事業だからと独占しようとすることが諸悪の根源だ。もしかしたら無駄の多い今の仕組みよりも、賭博で利益をあげる企業から税として徴収したほうが、国や自治体としても儲かるようになるかも知れない。

信仰と布教

2010-06-25 16:24:29 | Weblog
 日本での戦国時代から江戸時代に至るまでヨーロッパのキリスト教会は宣教師を世界中に派遣していた。
 地球が球体だから宣教師はアジアや南米にまで派遣できる訳だが、彼らは地球が丸いということが聖書の記述と矛盾しているとは感じなかったのだろうか。
 あれほど地動説を異端として弾圧したキリスト教が、地球が丸いということをなぜ承認できたのだろうか。地動説はあくまで仮説なので否定が可能であるのに対して、地球が球体であることは既に現実として認めざるを得なかったということだろうか。
 宣教師はどんな思いで布教に赴いたのだろうか。聖書とは違った現実に基づいて渡航することは、自ら聖書を否定することに加担することになるとは考えなかったのだろうか。
 宣教師が自ら地動説や進化論を日本人に教えていたことは記録にも残されている。どんな思いでこんな邪説を異教徒の地で教えていたのだろうか。
 案外、宣教師はキリスト教の嘘に気付いていたのかも知れない。嘘であろうと今更宣教師という職を捨てる訳には行かない。それは失業という現実的な問題だったのかも知れない。それにしても嘘のために故郷を去り辺境の地に赴かねばならないとは恐ろしいことだ。

有益な嘘

2010-06-25 16:12:08 | Weblog
 事実を知らせることが社会に害を為すことがある。しかしその有害性は一時的なものであり、長期的には有益なものとなるだろう。地動説や進化論は西洋人を一時的には混乱させた。しかしそれを受け入れることで文明は進歩した。
 有益な嘘もある。しかしその有益性は一時的なものでしか無い。宗教による魂の救済は嬉しい嘘だ。しかし所詮は嘘だから真の救済にはならない。
 嘘が小さな嘘に留まるなら目くじらを立てる必要は無いかも知れない。しかし嘘は他の嘘を必要とする。嘘は嘘によってしか立証され得ないからだ。小さな嘘を正当化するためには大量の嘘が必要になる。そしてやがて巨大な嘘の体系となる。宗教や形而上学がその典型だ。
 巨大な嘘を嘘と思わずに生涯を奉げた人は少なくなかろう。仮に途中で、嘘かも知れない、と疑っても引き返すことは容易ではない。最早、嘘の中で生きることしか選択肢は無くなっているかも知れない。
 宗教団体で地位を得てしまった人は嘘に嘘を積み重ねる以外には生き様が無い。教義を疑うことは教団に対する裏切り行為になってしまうからだ。