俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ハイリターン

2010-10-12 16:17:25 | Weblog
 街頭でマイクを握った男が言っていた。「ユニクロの柳井社長は大金持ちだが我々は時給800円で扱き使われている。こんな格差を許してはならない。」・・・馬鹿か?と思った。
 労働者として、否定してはならない社長が少なくとも二人いる。一人はアルバイトから伸し上がって社長になった吉野家の安部修仁氏でもう一人は一代で国際企業を作った柳井正氏だ。彼らはジャパニーズ・ドリームの体現者だからだ。
 柳井氏は「一勝九敗」という自伝にも書いているように9回も失敗を重ねてようやくユニクロで成功した苦労人だ。失敗を続けている間は借金取りに追われて夜も眠れぬ生活を強いられたことだろう。彼は失敗を糧にして成功した日本では珍しいタイプの成功者だ。
 彼はハイリスク・ハイリターンを選んだ。失敗すれば借金塗れになることを恐れず果敢に挑戦して現在の地位を得た。私のような安全志向の人間はこんな生き方などしたくない。普通に働いて普通に稼ぎたいと思う。
 もし柳井氏のように稼ぎたいのならローリスク・ローリターンの時給800円の生活を今すぐに捨てて自ら起業するべきだろう。ローリスクのままでハイリターンを望むのは厚かまし過ぎる。
 結果の平等を求める人は経過の不平等を見ようとしない。ハイリスクな事業に挑戦することがどれほど恐ろしいことか知らずに結果だけを見て、格差だ、不平等だと言う。ハイリターンを望むならハイリスクに耐えねばならない。練習も碌にせずに誰でもプロ野球選手になれると考えるような馬鹿が増殖しているように思える。

政治主導

2010-10-12 16:01:32 | Weblog
 政治主導が良いのかどうかよく分からない。国民によって選ばれた政治家が、国民の審判を受けない官僚を統率すべきだという民主党の主張には一理あるとは思うが少なからず不安だ。
 国会議員は決してあるジャンルのプロとして国民が選んだ訳ではない。言わば素人の代表だ。素人がプロである官僚の仕事を主導できるとは思えない。政治家がすべきなのは専門馬鹿に陥り勝ちな官僚を、素人の視点からチェックすることであり、素人が主導したら滅茶苦茶になりかねない。
 裁判員制度においても裁判員が主導すべきではない。プロである裁判官が専門馬鹿ぶりを発揮しておかしな判決を出さないようチェックすることが裁判員の仕事だろう。
 政治家という大衆の代表がすべきことは省益に偏り勝ちな官僚の仕事をチェックすることであって、政治的権力を笠に着て好き勝手なことをするべきではない。
 政治家は権力を持つ分、責任も持たねばならない。つまり官僚に対する指揮権があるならそのことの責任を自ら被らねばならない。たとえしぶしぶ承認した事案であろうと承認した以上は政治家の責任だ。
 国民から大きな反発を招いている、中国人船長の釈放問題は、釈放したということではなく、釈放したことの責任を検察に押し付けようとしていることに対する怒りだ。
 これは有害食品を販売したメーカーの社長が、現場の怠慢として自らの責任を認めないようなものだ。民主党政権のやり方はこれと同じで、公約とは全く裏腹に全然政治主導ができていない。主導とは責任を負うことだ。

脳の活性化

2010-10-12 15:48:30 | Weblog
 運動をしなければ筋肉や骨が衰えるように、考えなければ脳の機能は低下する。脳の機能を低下させないために脳トレとして単純計算に励んでいる老人がいるが、それは本当に有効だろうか。計算は確かに知的活動ではあるが、計算能力だけを維持しても知性が維持できるとは到底思えない。せいぜいケチでセコい老人を濫造することになってしまうのではないだろうか。総合的な思考力こそ人智の粋でありそれを維持するために努力すべきだろう。
 私はジョークとパズルによって脳を活性化することを提案したい。ジョークとパズルこそ最も高度な脳の働きを支援するものだと思う。
 なぜジョークとパズルが脳のために良いのか。これらは固定化した思考法を否定して新たなシナプスの結合を促すものだからだ。
 年齢を重ねると思考回路が硬直化する。新しいものごとであろうとも既存の知識の中で位置付けようとする。これが老人の頑固さや偏狭さに繋がる。
 勿論、ジョークとパズルは若い人の脳にも有効だ。若いうちから訳知り顔で「所詮そんなものだ」と語る人の硬化した脳はジョークとパズルによって軟化すべきだろう。
 楽しみながら新たなシナプス結合を作ることは、古いシナプス結合の強化を図るよりも遥かに脳のために有益なことだと思う。