俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

原発事故

2011-04-05 15:43:02 | Weblog
 すっかり原発事故のブログになってしまった。このブログでは理系も文系も、高尚なことも通俗的なことも分け隔てることなく取り上げていただけに不本意なことだがそうせざるを得ない。有史以来、つまり卑弥呼の邪馬台国の時代以来では関東大震災に次ぐ被災者を生み、規模では最大級の天災を目の当たりにして他のことなど書けない。
 そして多分将来、チェルノブイリとスリーマイル島と並んで3大原発事故と呼ばれるであろう福島第一原発の事故にも向き合っている。我々は正に歴史的大災害に直面している。
 分からないことだらけだ。なぜ原発事故に対する対応がこんなに出鱈目なのか、なぜ救援活動はうまく機能しないのか、なぜマスコミはこんな報道をするのか等々。あとからしたり顔で語ることは易しい。しかし歴史的大惨事についてリアルタイムで考え続けて自分に今できることを果たしたい。
 情けないことだが私の情報源はNHKと朝日新聞に偏っている。もっと情報力を高めたいとは思うが自力では情報を集められないのだから信頼性の高い情報源に頼らざるを得ない。危機を煽る週刊誌の記事は興味深いが信用し難い。
 実は私自身は常に様々なことに興味を持っている。その原稿は溜まり続けている。いずれボチボチ公開するつもりだ。

同心円

2011-04-05 15:29:33 | Weblog
 3月29日付けの「安全と危険」に間違ったことを書いてしまった。軽率にも「原発から30km圏外の野菜なら進んで買いたい」と書いたがこの考えは正しくない。放射能汚染は距離だけではなく地形や風などによって大きく影響される。途中に山地があれば汚染はかなり軽減される。同心円で表示することは誤った印象を与える。
 風評被害を防ぐためには汚染度を等高線で表示することも一策だろう。大気中の放射線量や野菜の放射能汚染度を等高線で表示すればどこが危険なのか一目瞭然だ。
 我々は汚染された野菜など食べたくないと思うのと同時に東北・北関東の農家を支援したいと思う。両方のニーズを充たすためには正しい情報を公開することが必要だ。
 正しい情報に基づいて危険と判断された農作物が廃棄されるのはやむを得ない。それは消費者の安全を守るために必要なことだ。
 安全な野菜を誤解によって廃棄することだけは絶対に避けたい。このことは生産者にとっても消費者にとっても更には国にとっても損失にしかならない。食料自給率が低いと嘆く農林水産省は今こそ農家を守るべきだ。
 農家を守ることと消費者の安全を守ることは二律背反ではない。利害は一致する。安全な食品と危険な食品とを峻別すれば済むことだ。情報の出し惜しみと曖昧さが風評被害を生む。

過ち

2011-04-05 15:11:33 | Weblog
 「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」(孔子「論語」より)
 1回失敗することは失敗とは言えない。その失敗を糧にすれば良い。
 しかし4度続けて失敗することをどう評価すれば良いのだろうか。これは救いようの無い阿呆としか言いようが無い。
 原発を1度爆発させたことは事故と言える。しかし4棟総てが危機的状況に陥ったことは構造的問題としか考えられない。
 2種類の構造的問題が考えられる。原発に機能上での欠陥があったか、東京電力と政府の対応に組織的欠陥があったかだ。多分、両方だろう。
 放射能汚染水対策も失敗の連続だ。コンクリートを流して失敗して、吸水性ポリマーと新聞紙とおがくずでも効果が無く、入浴剤を流したが流出ルートさえ不明のままだ。時間だけが虚しく過ぎ遂には汚染水放出という事態になった。
 「過てば則ち改むるに憚ることなかれ」(同)
 今回の原発事故を教訓にして大いに改めねばならないことは間違い無かろう。問題はどう改めるかだ。方針を誤れば東電の二の舞で失敗を繰り返すことになる。政党の壁を超えての大連立はいかにも挙国一致のようだが挙党体制さえ困難な菅首相にそんな力量があるのだろうか。形だけの大連立では烏合の衆から更に酷い継ぎ接ぎ内閣になるだけだ。今でも後手に回っている対応がもっと機能不全に陥るだろう。大連立の提唱は責任放棄でしかない。挙国体制の是非については戦前の大政翼賛会の失敗から学ぶべきだろう。