俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

就職

2011-12-02 15:18:20 | Weblog
 1日から大学3年生に対する就職説明会が解禁になった。大学生の就職は相変わらず厳しいようだが、就職浪人をするよりは多少不本意でも早期に就職したほうが得だと思う。私は1浪・1留をしたので就職が2年遅れた。そのために生涯賃金が2,000万円以上減ったと思う。
 私の元の勤務先は55歳までに役員になれなければ冷遇される。ポストを返上して給与は3割ほど削られる。つまり殆んどの人が55歳の時点での給料がピークになる。同期入社で回り道をしなかった人と比べて私は2年早く給料を削られたし役員になるチャンスも2年短かったということになる。なお、この55歳で見切られる人事制度は定年が55歳から60歳に延長された時に導入されたものだから、大昔の定年延長の歪みが今でも残っているということだ。
 就職の2年遅れは単にスタートが2年遅れるだけでは済まない。遅れただけなら取り返すことができるが、勤務期間が2年短くなることは大きなハンディとなる。長く勤務すれば仕事に精通するし社内でも顔が利くようになる。本来、最も力を発揮できる期間が2年短くなるのだからサラリーマンとしては致命的だ。
 繰り返すが、就職開始が2年遅れることは単にスタートが遅れるのではなく、最も活躍できる時期であり同時に最も収入が多い時期が2年短くなるということを意味する。

不在証明

2011-12-02 15:03:32 | Weblog
 「存在しない」ということを証明することはほぼ不可能だろう。断定できるのは常に「今のところ見つかっていない」ということだけだ。論理のこの弱点に付け込んで多くの偽科学が横行して来た。超能力、UFO、ネッシー、雪男、神、河童、etc.etc.。
 逆に存在を証明することは易しい。たった1例あれば充分だ。ニホンオオカミが1匹でも見つかったら生存が証明されたことになる。存在証明はこれほど易しいのだから、ずっと存在が確認されていない神や超能力などが存在する可能性は殆んど無い。
 同様に有害の証明は易しいが無害の証明は難しい。塩酸が有害であることは簡単に証明できるが何ppm以下なら無害なのかは確定できない。確実に個人差もあるからだ。
 放射線の安全基準が定まらないのも同じ事情だ。特に放射線の場合は速効性だけではなく遅効性や遺伝への影響が考えられるから余計に難しい。はっきり言えることは過剰に警戒し過ぎているということだ。世田谷区のラジウムは何十年も前からそこにあったがその間にそれが原因で病気になった人は「今のところ」見つかっていない。また60歳前後の人は子供の頃に風上に位置するソ連や中国の核実験のせいで現在の数十倍の放射線を浴びていたが「今のところ」その影響は確認されていない。

テレビの弊害

2011-12-02 14:48:38 | Weblog
 テレビは情報を伝えようとしない、情動を伝えようとする。正確な情報を伝えることよりも感情を煽ろうとする。だからテレビのニュースばかりを見ていると阿呆になる。
 人間は情緒が刺激されると印象が強まる。逆に、情緒が刺激されなければ印象に残りにくい。印象に残らせるために、たとえ情報量を減らしてでも喜怒哀楽に訴えようというのがテレビ局の戦略だ。コメンテーターに起用される人は情緒に訴えるようにテレビ局から要請されるそうだ。
 テレビという情報媒体は圧倒的に優れた特性を持っている。映像と音を同時に伝えることができるからだ。特に映像は言葉と違って理性を介さずに脳に直接伝えられて感情を刺激する。映像は疑似体験として脳に植え付けられる。擬似体験のリアリティを理性によって克服することは難しい。
 人と人とのコミュニェーションが成立するのは理性を使って相手の主張を理解するからだ。どこに問題がありどうすれば解決できるかは理性に基かなければ考えられない。テレビ局がやっていることはその逆だ。理性的な判断を妨げるために情緒に訴える。結果的にはこのことが世論操作に繋がる。テレビは視聴者を理性的ではなく感情的に判断させるためにあらゆるテクニックを駆使している。日本のテレビは人を博智ではなく白痴へと導く。