俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

歴史

2011-12-20 15:16:44 | Weblog
 冬は嫌いだ。寒いと行動力も思考力も衰える。
 こんなことを言うと「文明は寒さの克服から生まれた」と反論されそうだ。火の活用や衣服の発明は文明の源だろう。何となくそう信じている。しかし本当にそうだろうか。
 四大文明を考えれば決してそうではない。エジプト文明もメソポタミア文明もインダス文明も温暖な地で生まれた文明だ。ヨーロッパ文明も最も暖かい地域のエーゲ文明から始まっている。
 例外は黄河文明だ。これは寒冷地で生まれた文明だ。しかしほぼ同時期に長江(揚子江)文明があったらしい。麦に頼った黄河文明に対して長江文明は米文化だ。日本文明も長江文明の影響を受けているようだ。
 長江文明が軽んじられているのは歴史書が乏しいせいであって決して黄河文明に劣っているからではない。司馬遷という天才歴史家の「史記」があるから黄河文明は中国文明と同一視さえされている。長江文明が黄河文明に負けているのは優れた歴史書が無いということだけだ。
 卑弥呼の邪馬台国も魏志倭人伝に記載されているから重要な史実とされているが過大評価の可能性もある。古事記や日本書紀を鵜呑みにする人はいないだろう。文書を過大に評価すれば誤った歴史観を持つことになりかねない。

98%

2011-12-20 15:03:45 | Weblog
 人類とチンパンジーの遺伝子は98%が同じだそうだ。そんなものだろう。脳以外の内臓は殆んど同じようなものだろうし、外見も体毛以外は余り違わない。
 人間同士の遺伝子の差は当然もっと少ない。個体差は約0.1%だそうだ。それでもDNA鑑定が可能なのは異なる部分に注目するからで、昔のDNA鑑定は識別力が乏しかったから誤鑑定も少なくなかった。
 率に注目すればこうなる。しかしDNAの塩基数は約30憶個なので0.1%でも300万個にもなる。塩基3つが1組になるから100万個のアミノ酸が異なるということになる。
 これを殆んど同じと考えるか大きく異なると考えるかは主観の世界だ。それはチンパンジーと人類との違いをどう考えるかと同じような話だ。
 私はベースでの0.1%の差は大きいと考える。後天的なものは先天性によって導かれるからだ。先天性が少し異なれば後天的なものは大きく異ならざるを得ない。もし先天的に音階を理解できない聴覚を持っていれば音楽は理解不可能になるだろうし、色盲の人にとっては絵画の芸術性は全然違ったものになるだろう。
 土台がしっかりしていない建造物が危険であるように、先天性という基礎部分の違いは最終的には大きな違いとなる。

諸手当

2011-12-20 14:48:13 | Weblog
 公務員給与の問題点は本給だけを見ていても分らない。諸手当に注目する必要がある。よく指摘されることだが市バスの運転手や給食のオバちゃんが厚遇されているのは特殊技能に対する高額の手当があるからだ。窓口手当というものまであるそうだ。つまり不特定多数を相手にすることは危険や心労を伴うと見なされている。
 それ以上に問題が大きいのは役職手当だろう。公務員の場合、半分以上が役職手当を受給している。つまり誰でも長期間勤務するだけで役職手当が支給される。出世競争を勝ち抜いた一部の人にしか役職手当が支給されない民間企業とは事情が大きく異なる。40歳で役職手当を貰わない公務員は殆んどいないだろう。余程素行が悪くて問題ばかり起こしている人か病気勝ちで欠勤の多い人など以外は役職手当の受給者だろう。そして一部の自治体ではこういう人を救済するために「役無手当」まであると聞いたら絶句せざるを得ない。
 ギリシアで公務員の給料が問題になっているのも膨大な手当があるからだ。聞いた話なので真偽のほどは定かではないが、本給が20万円の人でも別に50万円ほどの諸手当があるそうだ。政治家と役人が結託するとこんなお手盛りの給与になるようだ。
 戦前の日本では政治家も公務員も公僕だった。少ない給料で公務に励んだから社会に対する貢献度は高かった。今では政治家と公務員は搾取者だ。国民の税金を湯水の如く使う特権階級だ。