俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

人類最速

2012-03-23 15:14:17 | Weblog
 人類最速と言えばウサイン・ボルト選手の100m9.58秒を誰もが思い浮かべるだろう。しかしこれは驚くほど遅い。時速に換算すれば37.6㎞/hに過ぎない。これより速い速度は簡単に経験できる。落ちれば良い。落下開始後僅か1.1秒で秒速10.8m(38.8㎞/h)に達する。
 スキーは時速100㎞以上で滑れるそうだがジャンプはもっと凄い。フライングと呼ばれる競技では200m以上飛ぶ。多分100mほど落下することになるから滞空時間は約4.5秒(100=1/2gtt)、落下速度は秒速44.1m(158.8㎞/h)となり、これにジャンプ時の速度が加われば200㎞/h以上になるだろう。
 しかしこれらは落下という特殊な条件での速さだ。肉体が自力で出せる最高速度は野球の投手の160㎞/hと思われるかも知れない。しかし意外な伏兵がいる。咳をした時の空気は時速300㎞前後、クシャミでは時速320㎞ほどらしい。咳やクシャミが人類が自力で出せる最高速度であるとは何とも皮肉な話だ。
 声はもっと速い。秒速約340mだから時速約1,200㎞だ。しかしこれは人類の能力とは言えない。犬でも猫でも同じ速度を出せるからだ。これよりも遙かに速いのは禿頭の発する光で秒速30万㎞だが、これもやはり人類の能力とは認められまい。

支え合い

2012-03-23 14:57:21 | Weblog
 人は支え合って生きていると言うが、こと金銭に限れば支える側の人が一方的に支えさせられているように思える。
 雇用保険は最も極端だ。一生失業保険を受給しない人は決して低額でない雇用保険料が掛け捨てになる。その一方で何度も失業保険を受給する人がいる。
 健康保険ではしっかり健康管理をする人は負担ばかりを強いられて、少なからず自己責任とも思える生活習慣病患者などの医療費が軽減される。
 年金保険も多くの人にとっては必要の無い制度だろう。多くの人は老後に備えて蓄えている。年金保険という制度が無ければもっと沢山蓄えることができるだろう。
 こう考えると社会保険という制度は極めて不公平な仕組みと思える。一所懸命に働く人、健康管理に努める人、老後に備えて貯蓄に励む人に負担をさせて、そうでないどちらかと言えば迷惑な人に支給しているからだ。これが弱者救済になるのなら妥当性を持つ。しかし社会に巣くうダニの餌となっているのなら全く不当なことだ。
 もし酒や煙草が招く病気の医療費を酒や煙草を嗜まない人に負担させるならそれは不当なことだ。当然、飲酒者や喫煙者が酒税や煙草税として負担すべきだろう。実際のところ酒や煙草にはとてつもなく高い税金が掛けられている。酒や煙草は利用者が負担しているのに社会保険では非利用者が多くを負担させられている。これは奇妙な制度だ。

丸飲み

2012-03-23 14:45:23 | Weblog
 野田内閣は消費税増税に邁進している。二大政党制のもとで野党の主張を丸飲みすれば野党は反対し辛い。それは自己否定にも繋がりかねない。しかしこれは禁じ手だろう。公約を撤回するのなら選挙をやり直すべきだろう。国民は民主党のマニフェストを支持して投票したのであって、民主党に白紙委任状を渡した訳ではない。耳当たりの良い公約を掲げて支持を得ておいて、一旦権力を握れば平気で公約を否定する。これは詐欺にも等しい。こんなことが認められるなら選挙は無意味になる。
 野党案の丸飲みは必ずしも悪い訳ではない。子ども手当のように与野党が微妙な違いで対立しているのなら野党案を与党が支持することによって政策が実現できる。それは現実に基づいた歩み寄りであり大人の対応とも言える。しかし真っ向から対立する公約で野党案を丸飲みすることは許されない。それは民主主義の否定であり、選挙制度を形骸化する悪政だ。