俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

できレース

2012-07-20 12:40:02 | Weblog
 東電の値上げが、申請の10.28%から8.47%に圧縮された。このことについて政府を評価する人もいるだろうが、初めから「できレース」だったと思える。多分、最初から8.5%辺りを落とし所と決めた上での猿芝居だろう。
 もし東電が8.5%で申請すればマスコミの批判を浴びる。この場合、落とし所は6%台とせざるを得ない。そうならないために東電と政府による謀議があったと思える。大体、10.28%という申請が不自然過ぎる。10%と9%では印象が全く違うだけに9%台ではなく10.28%で申請したことに作為を感じる。政府と東電はグルになって8.47%の値上げを国民に押し付けたと思える。
 私の元勤務先でもこれと同じくだらないできレースをやっている。半期に一度ずつ設備投資計画を申請するが、この計画書作成に当たっては不文律がある。経費を多目に見積もることだ。
 なぜこんな馬鹿なことをするのか。それは経理部門の手柄にするためだ。経理が経費を削減して会社に貢献したという形にしたいからだ。私は新米の課長時代にこの不文律を知らなかったために失敗をした。関係部門と詰めに詰めて最安値で起案してしまったからだ。後で経理関係者からこっぴどく叱られた。その後は経費を水増しして起案するようにした。くだらない「できレース」だ。

生活保護費

2012-07-20 12:25:14 | Weblog
 最低賃金が生活保護費を下回る逆転現象が11都道府県で起きているそうだ。これは厚生労働省の発表であり実際にはもっと多いだろう。それは、生活保護を受ければ医療費は無料になるし各種保険も免除されるからだ。これだけ厚遇されるなら働くのが馬鹿馬鹿しくなる。
 だから生活保護費を減額せよとか最低賃金を上げよとか言うことは軽率だ。特に最低賃金の上昇は必ずしも労働者のためにならないことを見逃してはならない。
 なぜ最低賃金の上昇が労働者のためにならないのか。人件費は単価×数なので単価が上がれば企業の側では数を減らすことを考える。数とは雇用者数×時間なので、雇用者数か雇用時間を減らすということになる。つまり失業者かワーキングプアを増やすことに繋がる。
 むしろ生活保護費の支給の仕組みを見直したい。仮に上限が15万円の場合、10万円稼げば支給額は5万円に減らされるそうだ。稼いでも稼いだ分だけ減額されるのでは勤労意欲は高まらない。これを、稼いだ額の1割を増額する仕組みに変えれば、10万円稼げば6万円が支給されて収入が1万円増える。これならば勤労を促す。
 現在の生活保護制度は病気や高齢などで働けない人を支援するために作られた制度であり、働かない人は想定されていない。働かない人を働かせるための仕組みを作ることが急務だ。

多数者

2012-07-20 12:06:54 | Weblog
 多数決は決して民主的な手法ではない。多数者が自分達の欲求をゴリ押しするための仕組みだ。
 日本の学校にムスリム(イスラム教徒)がいれば迫害され続ける。ムスリムは定刻に祈らねばならないが無視される。給食は拷問に等しい。食べられる物は殆んど無い。
 日本人女性がムスリムと結婚してイスラム圏に住んだら夫の浮気を認めねばならない。服装は制約されるし酒は飲めないし自動車の運転も禁じられるかも知れない。これらは多数者によるルールの押し付けだ。
 イスラム圏では異教徒とだけではなくシーア派やスンニ派などの宗派間での対立もある。キリスト教徒も新教と旧教の対立が多くの戦争を招いたし、現代でも新旧教の対立がアイルランド紛争の一因だ。
 多民族が居住する地域では宗教や慣習の違いが対立を生む。話し合って解決できるレベルではない。食肉を例にすれば、豚を食うな、牛を食うな、鯨を食うな、タコを食うな、犬を食うななどと他民族には理解できない勝手な主張が横行する。こんな基本的なことでさえ合意することは難しい。他にも無数の相容れないタブーがあり妥協は困難だ。こんな状況での多数決は対立を煽ることにしかならない。日本のように比較的同質な社会ではある程度有効な多数決だが、異文化が併存する場合は、合意することなど諦めて相互の違いを承認した民族ごとのコロニーを作るしか無い。「同じ人間なのだから話し合えば分かる」という能天気なことを言う人は文化の壁を理解していない。