俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

美を競うスポーツ(4)

2012-08-17 15:14:12 | Weblog
 「私のお尻がもうちょっと上にあったらメダルが取れていたかも知れない」
 昭和39年(1964年)の東京オリンピックで女子体操個人総合で6位に入賞した池田敬子選手の試合後のインタビューでの発言だ。何せ48年も前の子供の頃の記憶だから正確ではないかも知れない。また当時私は単純に「お尻が垂れている」と解釈したが真意は「足が長かったら」と言いたかったのかも知れない。
 金・銀は無理だっただろう。1位のチェコのチャスラフスカ選手と2位のソ連(現ロシア)のラチニナ選手の力量は頭抜けていた。3位以下は僅差だったように思うから容姿で負けていなければ銅メダルなら取れていたかも知れない。
 当時の日本人は現代人よりも胴長・短足だった。正座によって足の発育が妨げられ栄養も不充分だったからだ。
 しかし足の長さは普遍的な美だろうか。それは西洋人が優れていて東洋人は劣っているという偏見から生まれた美醜観ではないだろうか。曖昧な記憶だが、源氏物語には非常に胴の長い美女が描かれていた。谷崎潤一郎の小説ではロダンに胴長の美を賛美させていた。胴長・短足を「醜」と決め付けることには賛同しかねる。

仮病

2012-08-17 15:04:15 | Weblog
 しばらく前までは新型鬱病も発達障害もアスペルガー症候群も存在しなかった。これらは最近「発見」された精神病だ。精神病理学がグシャグシャの状態なので仮病が非常に容易になった。精神病は内臓の病気とは違って検査数値ではなく自己申告に基づいて診断される。例えば「頭が痛い」と言えば頭痛症候群と診断される。心臓病なら心電図で異常を確認できるが、脳波計を使っても殆んどの精神病は検証できない。
 仮病が最も使い易いのは鬱病と睡眠障害だろう。「気力が出ない」とか「眠れない」といった自己申告は、入院でもさせない限り検証不可能なので申告どおりの病気と診断される。
 生活保護を不正に受給するためにこれらの仮病は有効だ。働かないのではなく精神病のために働けないという口実があれば健康な人でも受給できる。上手く行けば障害年金の受給者になり生涯労働から解放される。働きたくない人にとっては天国のような甘い社会だ。

老人優遇策

2012-08-17 14:53:47 | Weblog
 消費増税は国民が平等に負担すると政府は言うがこれは嘘だ。年金生活者の負担は小さい。
 年金は物価スライド制になっている。だから物価が上昇すれば年金は増額される。消費増税をすれば税込物価が上がる。すると翌年には年金が増額される。年金生活者は1年だけ我慢すればその翌年には年金の増額によって実質的に元の状態に戻る。従って増税分を負担するのは現役世代だけということになる。それだけではない。年金が増えた分まで負担させられる。年金が増加すれば当然、社会保障費も増える。社会保障費を賄うためといういつもの理屈で、所得税などを増税し各種控除を減額し、更に保険料を値上げするだろう。
 消費増税は年金生活者を保護し現役世代だけに負担を強いる酷い仕組みだ。国民を欺いてでも老人を守ろうとするのは、多数者であり暇なので投票率も高い老人の票を政治家が狙っているからだろう。