俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

化粧(2)

2013-08-20 09:14:19 | Weblog
 クジャクのメスはオスの尾羽の良し悪しによって選別する。これは「美」という理由だけではなく「健康」という意味も持っているらしい。寄生虫を抱えていれば優れた遺伝子を持っていても立派な尾羽を持つことはできないからだ。こうやってメスは健康なオスを選ぶ。
 人間のオスはメスの外見を重視する。これも単に美だけではなく健康という意味も持っているようだ。豊かなバストとヒップ、くびれたウエスト、赤い唇は健康の証だろう。
 プラトン(ソクラテス)は化粧を誤魔化しの技術として否定した。つまり充分な栄養と適度なスポーツによって磨かれた体は健康で美しい。しかし化粧で飾った体は健康でないのに健康であるように見せる、だからインチキだ、という理屈だ。自分がそうでないものに見せるという意味で「化物」だ。
 昔こんな裁判があった。結婚したが彼女はとんでもない貧乳だったのでこんなパットで誤魔化した結婚は無効だ、というものだった。結局、男が敗訴した。今では包装紙にくるんだままの商品を買う人は殆んどいないだろう。
 しかし最近の誤魔化し技術の向上は凄まじい。特に寄せて上げるブラの凄いこと。贅肉を寄せ集めて谷間を作る。男でさえそのブラを使えば胸に谷間ができるそうだ。
 韓国では美容整形手術が大流行だ。しかし豊胸手術が乳癌のリスクを高めるように他の手術も障害の原因となり得る。贋の美のために健康が損なわれているのなら正に本末転倒だ。この弊害の可能性はカネボウの美白化粧品よりも高いだろう。
 最早、身長と足の長さ以外は幾らでも誤魔化せる時代になった。これでさえハイヒールを使えばある程度は誤魔化せる。ここまで誤魔化しのテクニックが高度化すれば誤魔化されないことは不可能に近い。外見で選別することを諦めるべき時代になったのかも知れない。

海洋性気候

2013-08-20 08:46:21 | Weblog
 仮に地球温暖化が進んだとしても日本は余り影響を受けない。日本は広大な太平洋に浮かぶ島であり、暖まりにくく冷めにくい海水によって保護されているからだ。
 国内で猛暑になるのは内陸と大都市だ。前者は内陸性気候により、後者はヒートアイランド現象による。近畿地方で夏に一番涼しいのは何と本州最南端に位置する潮岬だ。潮岬はヒートアイランド現象の影響が少なくしかも海洋性気候だから、夏は涼しく他の季節は暖かい。
 今年41℃を記録した四万十市は市全体が暑い訳ではない。四万十市は平成17年に中村市と西土佐村が合併して誕生したが、暑いのは内陸に位置する旧西土佐村だ。旧中村市はこんな猛暑ではない。
 日本のような狭い国でさえ内陸部は猛暑になるのだから中国・アメリカ・インドといった大国の内陸部は凄まじい暑さになる。日本では余り報道されていないが、中国の内陸部では40℃以上の猛暑日が1週間以上続くこともしばしばある。中国の内陸部では猛暑に加えて大気汚染や水不足というトリプルトラブルを抱えているので、将来、人が住めない土地になるかも知れない。
 もしCO2が温暖化を招くとしても日本が率先してCO2の削減に取り組む必要は全く無い。日本よりも遥かに大きな被害を蒙る中国・アメリカ・インドが必死になって取り組まざるを得なくなるからだ。この3国が排出するCO2は世界の排出量の45%を占めているのだから、僅か4%の日本が半減するよりもこの3国が5%削減したほうが効果は大きい。もう1つの大国ロシアの排出量は5%のシェアを持つが、この国は日本と同様、温暖化しても余り困らないだろう。
 海に守られた日本はこの3国が命懸けでCO2削減に取り組む姿に対して高見の見物を決め込んでいれば良い。あるいはCO2削減技術を売って大儲けをしても何ら非難されることは無かろう。