俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

情報公開

2012-06-19 14:20:30 | Weblog
 日本では必要な情報は公開されず、公開すべきでない情報が垂れ流されているように思える。
 オウム真理教の菊地直子容疑者の逮捕を知って高橋克也容疑者は逃亡を始めた。もしこの逮捕が報道されていなかったら高橋容疑者の逮捕はずっと早く簡単だっただろう。高橋容疑者を逮捕するまでは、菊地容疑者の逮捕は報道すべきではなかった。
 逆に原発事故関連の情報は異様に隠されている。汚染地図の隠蔽はSPEEDIの情報だけかと思っていたがアメリカから提供された実測情報まで隠蔽されていたとは驚きだ。3月18日と20日に提供された汚染地図では、高汚染地域が原発から北西方向に広がっており、被災者にとっては極めて重要な情報だった。SPEEDIの情報が公開されなかったのは推定値だからだと言われている。つまり推定に基づく不正確な情報を公開したら誤った対応を招きかねないという理屈だ。
 ではなぜ確実な実測値を隠蔽したのだろうか。「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」という理屈以外は考えられない。情報は支配するための道具に過ぎず、政府の基本姿勢は愚民政策だ。こんな政府の意向に沿うマスコミは御用新聞と御用テレビだ。

発癌性

2012-06-19 14:06:24 | Weblog
 大阪市内のある印刷会社で胆管癌の犠牲者が相次いでいる。印刷機に着いたインクを拭き取るための洗浄剤が原因らしく、他の印刷会社でも同様の被害者が出ているようだ。洗浄剤に使われていたジクロロメタンは発癌性があるとして2001年に使用禁止にされて今ではジクロロプロパンに切り替えられているが、その後も胆管癌の患者は途絶えていない。
 こんな明白な発癌性物質こそマスコミは大々的に取り上げるべきだろう。印刷会社という業界内での惨事ではあるが日本全国には多数の印刷会社があり、関係者は何万人もいるだろう。
 マスコミは概して偽の発癌性物質ばかり騒ぎ立てる。魚や米のコゲとかダイオキシンなどについて騒ぎ立てたがこれらは殆んどが濡れ衣だった。煙草の発癌性を騒ぐが排気ガスのほうが遙かに危険であることは報じない。
 発癌のメカニズムはまだ充分には解明されていない。そのためにマスコミは安易に「発癌性の疑い」というレッテルを貼る。無責任なレッテル貼りが許されるのは、「発癌性が無い」ということを証明することが極めて困難だからだ。コーヒーだろうと肉だろうと発癌の可能性を否定できない。しかし危険性の極めて乏しい物についてセンセーショナルに騒ぐのはやめて、本当に危険な物について詳しく報道すべきだろう。

猿真似

2012-06-15 14:26:50 | Weblog
 花咲爺やこぶ取り爺さんでは猿真似をした老人が嘲笑されている。私の愛読書のイソップ寓話にもこんな話がある。可愛がられている小犬を羨んだロバが小犬の真似をすれば可愛がってもらえると思って飼い主にじゃれ付いて怪我をさせてしまった、という内容だ。
 「人のふり見て我がふり直せ」という格言は正しい。しかし猿真似は愚行だ。肉食は体に悪いと日本人は何となく信じている。それはアメリカでの健康キャンペーンを鵜呑みにしているからだ。しかしこのキャンペーンは、一日平均300g食べている肉を150gに減らそうという内容だった。日本人は一日平均80gしか食べていない。アメリカでのキャンペーンが理に適ったものならば、日本人はもっと肉を食べたほうが良いということになる。
 追い抜き禁止のセパレートコースのプールには迷惑な初心者がいる。私がターンをしようとするとスタートをする。もしターンをすればぶつかってしまうので止まらざるを得ない。当初はなぜ彼らがこんな迷惑なことを平気でするのか分らなかった。実は唯の猿真似だった。彼らは上級者のやっていることをそのまま真似ているだけだった。上級者はすぐに初心者に追い付いてしまうので初心者との間隔を最大にするために初心者のターンに合わせてスタートする。同じことを初心者がやればぶつかってしまう。理由を考えずに猿真似する人の知的レベルは猿並みだ。

BMI

2012-06-15 14:09:29 | Weblog
BMIとは体重(㎏)を身長(m)の二乗で割った数値だ。この数値が18.5~25.0なら「普通」とされている。18.5未満がやせ型で、25.0~30.0が太り気味、30.0以上が肥満とされている。メタボリック・シンドロームとして目の敵にされているのは25.0以上の数値であり普通値の範囲内に収めることが奨励されている。
 但しこのことが正当かどうかは大いに疑問がある。世界中のどのデータを見ても25.0を少し超えた辺りの人が最も長寿だからだ。日本でも厚生労働省が2009年に発表した資料によると、最も平均寿命が長いのは男女共に25.0~30.0の「太り気味」であり、18.5未満のやせ型が際立って短命、普通と肥満は同程度とのことだった。
 どうして目標値を見直さないのか不思議でならない。データを見る限りでは20.0~28.0辺りを「普通」とするほうが妥当だろう。またメタボを問題視するよりも痩身こそ危険な状態であり医師による健康指導が急務だ。
 目標値は年代別に設けるべきだと思う。贅肉の少ない若年層は低めに、中高年は高めに設定したほうが良い指標になるだろう。中年の体重が増えるのは必ずしも贅肉が増えるからだけではなく、何らかの必要性があって肉を蓄えねばならないからのようにも思える。あるいは中年の体型こそ本来の人間の体型であり若年層がスリムなのは成長期における成熟前の特殊な体型、つまりカエルに育つ前のオタマジャクシのようなものではないかとも思える。カエルとオタマジャクシに同じ数値目標を与えるべきではない。

質と量

2012-06-15 13:54:25 | Weblog
 質と量は相容れない。文字通り質的に異なる概念だ。しかし質の違いは客観化しにくいので強引に量に還元されることが少なくない。知力は試験の点数で、番組の良し悪しは視聴率で、病気は検査値で測られる。
 科学は数式化されることによって大いに発達した。単純なものなら数式化できる。落下運動はその典型で、微分・積分によって速度と距離が算出できる。一方、複雑なものは数式化できない。たかが変化球でさえ数式化できない。かつて科学者がボールが曲がることは物理法則に背き、恐怖心が生む錯覚に過ぎないと主張した時代があった。ボールが曲がることを証明したのは数式ではなく、実際に投げられたボールが並んだ杭の左右を通過したという事実による。
 質の違いの分らない人は数字しか信じない。そんな人は質を無視して量だけで決める。視聴率信仰もその一例だ。視聴率の高い番組は良い番組としてスポンサーに高く売れる。視聴者の質は問われない。その結果として民放ではくだらない番組ばかりが増え続ける。
 医師も数値に捕われる。やれコレストロール値だ、血糖値だ、と数値ばかりを見る。数値を正常化することよりも症状の改善のほうが重要なのにその認識は乏しい。数値信仰は本末転倒になることが多い。

白と黒

2012-06-12 15:24:19 | Weblog
 白と黒の間には無数のグレーがある。それを白か黒しか認めない二分割思考法で処理しようとすれば矛盾に陥る。
 安全と危険の間にはグレーゾーンがある。絶対に危険なものはあり得るが絶対に安全なものはあり得ない。従って安全という言葉は比較的安全という意味でしか使えない。
 大飯原発はどれくらい安全だろうか。10点満点で評価すればせいぜい1点か2点だろう。それを安全と言い切ることは論理的には不可能だ。従って大飯原発をどうしても再稼働させたいのなら実験的に稼働させてみるしか無い。
 実験ならば検証が不可欠だ。検証して初めて実験の成否が判定される。政府は検証されたくないから安全と決め付けて恒久的稼働を図ろうとしているのだろう。そうでなければ電力が不足する夏場だけの臨時稼働で充分な筈だ。日本は済し崩しの多い国だ。憲法を一度も改正しない国は世界中探しても殆んど無かろう。マスコミの空騒ぎのせいで生まれたダイオキシン対策法は明らかに科学的に間違った悪法だが一向に見直しの話は出ない。一旦決まったことが見直されないことは極めて危険なことだ。見直されなければ改善されることは無い。済し崩しには如何なる正当性も無い。

対症療法(2)

2012-06-12 15:10:11 | Weblog
 自動車が動かなくなった場合、どこが悪いのかを調べるだろう。少なくとも「タイヤが動かないのだから」という理由で車軸の周辺ばかりを調べるのは余程の阿呆だけだろう。
 医療ではこんな馬鹿げたことを専門家がやっている。高血圧症の人には血圧降下剤を飲ませ、糖尿病患者の血糖値を下げ、風邪の人には解熱剤を処方する。これらは自動車が動かない原因をタイヤのせいにするのと同じ愚考だ。高血圧も血糖値も発熱も病気の原因ではない、結果だ。結果に対して手を施しても何の効果も無い。中でも風邪に対する解熱剤は最悪の対症療法だ。発熱は正確には病状ではない。病原体と戦うために免疫機能が働いて体温を上げているのだから、熱を下げることは利敵行為にしかならない。
 急性疾患と慢性疾患とでは対処する方法が異なる。急性ならとにかく今を乗り切らなければならないから多少危険なことであろうとも、毒を以て毒を制する覚悟で臨まざるを得ない。手術は本来、危険な行為だ。手術の失敗で死んだ人を私は何人も知っている。それでも手術に踏み切るのは、手術をしたほうが生存の可能性が高いほどの緊急事態だからだ。
 慢性疾患の治療に緊急性は無い。従って長期に亘って漫然と毒物を処方することは犯罪的行為とさえ言える。

EBM

2012-06-12 14:51:00 | Weblog
  EBM(Evidence-Based Medicine)という言葉がある。根拠に基く医療」という意味だ。この言葉が注目されるのは、現在の医療では根拠に基かないオカルト的な医療が横行しているからだ。
 2008年にアメリカで10,000人の糖尿病患者を対象にして調査したところ、血糖値を正常化したグループよりもやや高めにしたグループのほうが死亡率が低かった。2010年にイギリスで50,000人を対象にした調査でも「血糖値を正常値近くまで下げると死亡率が上がる」と結論付けられた。これ程までに明確な証拠が提示されているのに、日本では一向に治療方針の見直しがされていない。
 アメリカでEBMが広がった理由は皮肉なことに国民皆保険制度が無いからだ。医療保険は民間の保険会社が請け負っているが、保険会社は支払額を減らしたいので治療や薬の有効性を厳しく問い、それが結果的には誤った治療方法を暴くことに繋がった。
 日本は多分、世界一薬を無駄遣いしている国だ。効果を検証せずに効かない薬・危険な薬を投与し続けている。これは厚生労働省が健康保険を管轄しているせいだ。資金が不足すれば消費増税や保険料の値上げで賄おうとする。お役所らし過ぎる無謬神話が健在なので治療方針が間違っているとは全く考えない。これが日本の硬直化した医療制度を支え、慢性病の患者は飲まないと悪化すると信じて延々と毒物を飲まされて寿命を縮めている。国民を早死にさせ、かつ国民の経済的負担を大きくしている誤った医療は早急に改善されねばならない。
 

君が代(2)

2012-06-08 15:24:56 | Weblog
 5月8日付けの記事で「君が代」の英語表記を途中まで発表したが、途中でやめることは精神衛生上、良くないようで、就寝直前に続きを思い付いて安眠を妨げることが何度かあった。この際、完成させることで安眠を取り戻そうと思う。
 `Kiss me girl, you're the one. Cheer your knees, yeah cheer your knees. Thousand rain, it seems not. It was not told now retained. Calls came no, moves soon mad end.'
`It was not told now retained. Calls came no, moves soon mad end.'の2節を新たに作った。意訳すれば「伝わっていなかったことが今、記憶された。神の声は届かず、間も無く愚かな結末へと向かう。」となる。
 僅か2節だが前の節はそれなりに上手くできたと思っている。後ろの節は文法的に無理があるし内容も今イチだ。早く完成させようと焦ったから消化不良の状態だ。いずれ作り直すかも知れない。

安全圏

2012-06-08 15:08:05 | Weblog
 普天間基地の辺野古沖への移設は見直すべきだ。沖縄県民なら当たり前と思うことを今更書くのは国際情勢が変化しているからだ。
 アメリカにとって主な仮想敵国はイランと中国と北朝鮮だろう。米軍基地は世界中に散在しているからこの3か国からミサイル攻撃を受ける可能性がある。中でも最も危険な国は北朝鮮だろう。国内の権力争いの主導権を握るためにミサイル攻撃をするという狂気の沙汰もあり得る。その場合、沖縄の基地は近過ぎるので迎撃することは難しい。
 今アメリカがグアムやオーストラリアの基地を充実させようとしているのはこんな事情からだ。グアムやオーストラリアは安全圏として評価を高めている。勿論、北朝鮮が自力開発を諦めて中国かロシアからミサイルを買えば必ずしも安全圏とは言えない。それでも至近距離にある沖縄よりはずっと安全だ。
 南沙諸島の領有権問題もあり、しばらく米軍基地が無くなっていたフィリピンから米軍基地の再開を求める声も出始めている。安全で必要性の高い新基地を作るためには、危険で必要性の低い基地を廃止する必要がある。米国の軍事費は無限ではなくあくまで国家予算の一部だ。普天間はリストラ候補地だ。
 絶対にやってはならないことは普天間基地の固定化を日本が支援することだ。アメリカは普天間基地の補修に200億円を掛けてその内90億円を日本に負担させようとしている。1円たりとも出すべきではない。老朽化した基地の補修はアメリカの義務だ。米軍を甘やかさなければ自ら出て行ってくれるだろう。