【もちろん小説に限る】
自分が知る限りだと今日現在で同氏名義での小説発行作品数は、51。
厳密には、本編を加筆修正して改題されたものがあるので50作品ということになる。
ただし、彼が原作を担っている少女漫画作品はカウントしない。
その中で自分は25作品を読破したので、現時点における彼の作品をちょうど半分読破したことになる。
しかし、彼の作品は全て単独作品ではなくシリーズ化しているものも多く、なかには一つのシリーズが11巻まで達している作品もあることから気持ち的には大半を読破した感覚ではいるつもり(笑)
もちろん読破までは、最低でも半年以上先のことになると思うけれど、その時はその時でコメントしようと思っている。
(半年以内かもしれないくらいだけど、出来れば新刊の発行が自分のペースに追いつかないことを期待?)
【なお書き】
お断りとなるが、前回(過去ログ)とコメントがたくさん重複することもあると思うし、個人的な目線で語らせていただくことを改めて申し添えておこう。
【好き嫌いは勿論誰にでもある】
同氏の作品には、むちゃくちゃ大きな特徴があって、専門的またはアカデミックな大きなテーマが縦軸にあるところに、謎解きベースで話が進むケースと物語ベースで話が進むケースまたはその両方があるケースの3パターンとなっている。
さらには、同時進行で複数の現場のストーリーを展開しつつ、前段中段で築いた伏線を終盤又はラストでバッチリ回収するのも非常に特徴的なのだ。
今まで物語型のミステリーばっかり読んでいた自分にとって衝撃的で、これまで終盤ギリギリに伏線なくクライマックスを持ってきたり、極端な進行を進めがちなミステリー作品しか読んでいないから、彼の作品にはあっという間に引き込まれてしまったワケだ。
【中でも数学色とミステリー色が弱いほうが面白い】
「ヘンたて」シリーズや算法帳シリーズ、「JSS進学塾」シリーズ(スピンオフ作品の西川麻子シリーズを含む)などは、ところどころ解説図があるものの、数字やパズルを文字だけで謎解きさせようと表現するため、まともに作品中の謎解きに参加しようという気は起きない。
だけど彼の作品は、そんな謎解きに参加しなくてもアッと驚く展開が待っていて痛快に主人公が(原則として)解決してしまう流れが面白い。
もちろん今流行の半○直樹のような強烈なキャラたちがメインのストーリーを繰り広げているわけではないが、自分としては同氏の作品の方が読みごたえがあると思っている。
(池井戸潤氏の作品もいくつか読んだが、読んでいくうちにどれも現在の時代劇だと思ってしまい、ここ数年では一切読まなくなった。)
【物語風のストーリーはどうか?】
ここに属するものとして、SF作品である妖怪課シリーズ、学園物の舞台監督(ブタカン)シリーズ、単発作品の「双月高校、クイズ日和」、「東京湾 海中高校」が挙げられる。
これらは推理に至らないで展開を楽しみながら読み進めるだけなので、脳も負担がかからないため読みやすい。
だけど、ストーリーそのものに興味が沸く沸かないということもあり、好き嫌いが分かれる。
個人的には、ブタカンシリーズは舞台に興味がないこともあって読みにくく、逆にSF感がとっても面白い妖怪課シリーズと単発だが「東京湾 海中高校」は夢中になって読んだものだ。
【ゴリゴリのトリックミステリーはどうか?】
前述の「ヘンたて」シリーズ、「算法帳」シリーズや「JSS進学塾」シリーズを除けば、「猫河原家の人びとシリーズ」および「死体ミステリーシリーズ」、そして単発の「悪魔のトリック」や「霊視刑事夕雨子」がこれに属する。
このうち死体ミステリーものは過去ログでバッチリ語っているので割愛するが、「猫河原家の人びとシリーズ」は登場人物にクセ強を取り揃えすぎていることに加え、面白いんだけど特徴的なキメ台詞がチョット萎えたな(笑→特に3作目)。
単発の2作品「悪魔のトリック」や「霊視刑事夕雨子」は、いずれも主人公が刑事であるなかでSFが絡むという斬新な流れなのだが、自分が読みながらにして期待を裏切ってくる展開でやはり心が引き込まれた作品たちとなった。
いずれも続編が可能な展開なので、ぜひとも続けてもらいたい2作品だと強く述べたい。
【バイオレンス作品もあるのだけど】
ここに属するのは今のところ、「希土類少女(レアアース・ガール)」、「家庭教師は知っている」、「二人の推理は夢見がち」の3作品が該当するのかな。
最前者のものはSFではあるけれど強烈なバイオレンス要素があることを過去ログで申し上げているので割愛するが、読みたい方は正直なところ、同氏の作品として最後の最後で読んで欲しい。
なぜなら架空の話なのに脳みそに強く何かが刻まれてしまうからだ。
(もう出だしから最後までなんだ。でも化学が好きでなくても読み続けられる展開も引き込まれるのよ。)
その点、中後者のほうは暴力がほとんど出てこない同氏の作品において珍しくバイオレンス要素が盛り込まれているが、前者のレアアース・ガールに比べたらホントにかわいいレベルなのでご安心を。
でも中後者作品とも終盤からラストまでは、ハラハラドキドキすること間違いない。
特に「家庭教師は知っている」のほうは、これまでの青柳碧人作品と異なるタッチが、より展開を複雑化させてラストをびっくりさせることだろうと思う。
特に「家庭教師・・・」というものは・・・・
こちらの作品、自分の中で最も展開に驚いたものの一つ。
なぜなら、多くの青柳碧人作品に携わっているほど、こうなる展開が全く想像もできなかったからだ。
だから、今のところの青柳碧人作品におけるNo.1ミステリー小説だと断言したい。
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【その他】
「判決はCMのあとで ストロベリー・マーキュリー殺人事件」という単発作品がある。
これは、ある意味作者の願望が主人公に乗り移っているようなストーリーではないかと思ったほど読者も引き込まれる作品だ。
もちろん現実離れした縦軸なのだが、SFではないところもイメージしやすくて、展開も面白かった。
かといって今の世相を面白おかしく変換させながらストーリーが続くので飽きずに読めるところも評価したい。
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【現時点での高評価作品】
死体シリーズの「むかしむかしあるところに、死体がありました」を評価基準の90点として、他の作品を評価させていただくと、過去ログから変わらず最高評価作品は「東京湾 海中高校」の98点と評価している。
同作品は限りなくSF感が少なく、なおかつ現実ではあり得そうなSFなのでイメージしやすいし、こういう論点や学園内の展開が引き込まれやすい自分にはぴったりハマったんだな。
次点は「霊視刑事夕雨子1 誰かがそこにいる」の97点、第三位は妖怪課シリーズの96~92点と評価していて、すべてSF作品となった(笑)
ちなみに妖怪課シリーズは、必ず順番通りに読んでいただきたい。
5作品あるので「朧月の河童→箱女→夢のあと→綾志別の暗闇→雪の夜」とお願いしたい。
妖怪なんか興味がなくても人間としての感情が揺さぶられる展開が実に面白いとオレは思っている。
なお、綾志別編はちょっと強引かつ終盤の流れが個人的に気に入らないんだけれどww。
というのも、綾志別編(雪の夜)のほうは作者の強い思想も交じったり、
「えー?そうなっちゃう??」
というものだったりすることが・・・ちょっとねぇと評価。
まあ展開的に続編も続けられる可能性を残しているけれど、恋人の存在を鑑みるとちょっと難しいのかなぁ??
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【あとがき】
一番の大物であって彼の代表作である「浜村渚シリーズ」が全くの手つかずなのに10巻まで揃えてあるオレ。
もし、一冊目で挫折したどうしよう・・・という不安と葛藤が、同氏の作品を読み進めていながらにして渦巻いてるという。
算法帳シリーズのように、ゴリゴリの数学ミステリーが前面に出てきてしまったら、読み続ける自信はないだけに・・・・
出だしの1話ぐらいは読んでおくべきだったかなぁ?
(手あたり次第、古本屋からかき集めていると同じ作品を買ってしまったりする。まあ古本だからダメージも少ないけれどwww)