電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

郵政改革に寄せる関心が高くない訳

2004-10-16 23:32:51 | 政治・経済・社会
 朝日新聞の小泉内閣の支持率調査で、新内閣で一番力を入れてほしい政策課題を選んでもらったところ、「年金・福祉問題」が52%で最も多く、「景気・雇用」28%、「外交・防衛」9%が続き、「郵政改革」は2%で「憲法改正」(5%)よりも少なかったという。 それで、朝日新聞は、「郵政民営化」を重視した小泉政権を批判しているようだ。しかし、私にはこの結果が最近違って見える。

 首相は新内閣を「郵政民営化実現内閣」と称し、郵政事業の民営化に協力することを入閣基準とした。こうした手法に対しては、「評価する」が37%、「評価しない」が42%で、否定的な見方がやや上回った。
 内閣改造の「目玉」とされた郵政民営化担当相を竹中平蔵経済財政相が兼務したことには、39%が「良かった」と肯定的に受けとめ、「そうは思わない」(26%)を上回った。


 ここから私の考えたことは、ひょっとしたら、世論は、「郵政民営化」を簡単にできることだと考えているのではないかということだ。つまり、いま、一番困難な問題が、「年金・福祉問題」だと言うことだと思う。その効果がよくわからないのだが、既に、国立大学の法人化が進んでいる。これも、一種の民営化だ。国鉄の民営化、電電公社の民営化、専売公社の民営化、すべてそれなりにうまくいった。だから、「郵政民営化」なんか、簡単ではないか、ということの表れではないだろうか。竹中さんは、「郵政民営化」の推進者だ。

 だから、世論は、小泉首相がことさら「郵政民営化実現内閣」ということを評価しないのだと思う。もっと外にもやることがあるだろうというわけだ。小泉さんは、これができるのは私だけだと言っている。確かにそうかもしれない。しかし、景気がある程度上向きかかった今となっては、そんなに困難でなくなったのではないだろうか。ダイエーの取り扱い方を見ても、そのことがわかるような気がする。ダイエーを再生機構と銀行団に任せてしまった。竹中流の不良債権の処理が、山場を迎えたと言える。

 そんなことを考えていたら、中井浩一さんが『徹底検証 大学法人化』(中公新書)という本が店頭に並んでいたので、買ってきた。私が先ほど、よくわからないと言った問題を真正面から取り扱ったものだ。「郵政民営化」の影に隠れているが、これもまた小泉内閣の「構造改革」の中の一つに違いない。なぜ、これがそんなに問題にされないのかよくわからない。帯に「百年に一度の大革命か? 百年に一度の大失敗か?」とある。おそらく、どちらかだと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする