共同通信発の「義務教育費制度堅持で一致 文科相と日教組委員長」という記事によれば、「中山成彬文部科学相は7日、文科省で日教組の森越康雄委員長と会談し、三位一体改革で削減・廃止対象となっている義務教育費国庫負担制度を堅持していくべきだとの認識で一致した」とのことだ。かつて対立していた、日教組と文部省が今は手を取り合って、共同歩調をとろうとしている。また、全国の知事の中でも、「義務教育費国庫負担制度」に賛成している知事の方が圧倒的に多そうだ。
「三位一体の改革」が提案され、教育の中にも地方分権化の流れが出てきたとき、前河村建夫文部科学大臣は「義務教育の改革案」を出し、広く国民に意見を求めた。ある意味では、これは「三位一体の改革」に対する文科省の対案だともいえる。改革案の「4 国による義務教育保障機能の明確化」で、次のように述べている。
「三位一体の改革」というのは、小泉内閣の規制の撤廃と地方分権化の一環として行われているものだ。しかし、小泉内閣から具体案が出たわけでなく、巷でよく言われる「丸投げ」に近い形で提案された。そのため、全国知事会を初めとする地方6団体側も智恵を絞ったはずだ。これに対して、各中央省庁側も抵抗を見せた。その結果、各省庁の大事な予算にまで触れることになった。特に、文部科学省では、従来から、何時教科書の有償化行われるかわからないという不安がささやかれていた。
そういう背景を考えれば、文科省がいわば積極的に教育改革を打ち出し、教育の地方分権化を積極的に打ち出した意図はわからなくはない。「義務教育制度の弾力化」の中で、「国民に共通に必要とされる確かな学力、豊かな心、健やかな体を養うという義務教育の役割を再確認し、学校教育法や学習指導要領を見直し、義務教育の9年間で子どもたちが身に付けるべき資質・能力の最終の到達目標を明確に設定する」と言っているが、昨年度の初めに、「学習指導要領」は「最低基準」と言っていた頃と比べると、相当踏み込んでいる。
文科省は、「我々は、首尾一貫している」といっているかもしれないが、こうした動きを見ていると、小泉内閣の「三位一体の改革」というのは、相当な効果があったのかもしれないと思えてくる。少なくとも、今の文科省は教育の地方分権ということに反対しているわけではない。むしろ積極的であるかにさえ見える。この点では、大西宏のマーケティングエッセンスの「『郵政民営化』の巧みな戦略」という記事に納得する。しかし、もちろん、これは方向だけなので、その中身は、不明であり、これからが問題である。
さて、細田官房長官は8日午前の閣僚懇談会で、国と地方の税財政を見直す三位一体改革に関して、「地方からの補助金改革案について、検討結果を28日までに提出していただきたい」と述べ、地方6団体案を尊重することを改めて強調し応じられない場合は「(地方案で)提案されている廃止額に見合う代替案の考え方を説明していただきたい」と求めたという。これに対して、朝日新聞の朝刊(10月9日)によれば、文科省は義務教育費国庫負担金など1兆1千億円あまりの削減案に対して代替案を提示しない方針だという。これまでの積極的な教育の改革路線に自信があるのだろうか。それとも、「義務教育は国が」ということに誰も反対しないと思っているからだろうか。
「三位一体の改革」が提案され、教育の中にも地方分権化の流れが出てきたとき、前河村建夫文部科学大臣は「義務教育の改革案」を出し、広く国民に意見を求めた。ある意味では、これは「三位一体の改革」に対する文科省の対案だともいえる。改革案の「4 国による義務教育保障機能の明確化」で、次のように述べている。
国の義務教育に関する基準を必要最低限のものとなるよう見直し、義務教育をできる限り地方が創意工夫を生かして実施できるようにする。
義務教育の根幹(機会均等・水準確保・無償制)を支え、国の責任を果たすため、教育費が十分に確保され、かつ、地域間の格差を生じることがないよう、義務教育費国庫負担制度については、財源保障としての役割を明確にし、地方の自由度を高める観点から更なる改革を進める。
「三位一体の改革」というのは、小泉内閣の規制の撤廃と地方分権化の一環として行われているものだ。しかし、小泉内閣から具体案が出たわけでなく、巷でよく言われる「丸投げ」に近い形で提案された。そのため、全国知事会を初めとする地方6団体側も智恵を絞ったはずだ。これに対して、各中央省庁側も抵抗を見せた。その結果、各省庁の大事な予算にまで触れることになった。特に、文部科学省では、従来から、何時教科書の有償化行われるかわからないという不安がささやかれていた。
そういう背景を考えれば、文科省がいわば積極的に教育改革を打ち出し、教育の地方分権化を積極的に打ち出した意図はわからなくはない。「義務教育制度の弾力化」の中で、「国民に共通に必要とされる確かな学力、豊かな心、健やかな体を養うという義務教育の役割を再確認し、学校教育法や学習指導要領を見直し、義務教育の9年間で子どもたちが身に付けるべき資質・能力の最終の到達目標を明確に設定する」と言っているが、昨年度の初めに、「学習指導要領」は「最低基準」と言っていた頃と比べると、相当踏み込んでいる。
文科省は、「我々は、首尾一貫している」といっているかもしれないが、こうした動きを見ていると、小泉内閣の「三位一体の改革」というのは、相当な効果があったのかもしれないと思えてくる。少なくとも、今の文科省は教育の地方分権ということに反対しているわけではない。むしろ積極的であるかにさえ見える。この点では、大西宏のマーケティングエッセンスの「『郵政民営化』の巧みな戦略」という記事に納得する。しかし、もちろん、これは方向だけなので、その中身は、不明であり、これからが問題である。
さて、細田官房長官は8日午前の閣僚懇談会で、国と地方の税財政を見直す三位一体改革に関して、「地方からの補助金改革案について、検討結果を28日までに提出していただきたい」と述べ、地方6団体案を尊重することを改めて強調し応じられない場合は「(地方案で)提案されている廃止額に見合う代替案の考え方を説明していただきたい」と求めたという。これに対して、朝日新聞の朝刊(10月9日)によれば、文科省は義務教育費国庫負担金など1兆1千億円あまりの削減案に対して代替案を提示しない方針だという。これまでの積極的な教育の改革路線に自信があるのだろうか。それとも、「義務教育は国が」ということに誰も反対しないと思っているからだろうか。