ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

シネマ『ハンナ・アーレント』

2014-01-06 18:26:52 | シネマ
脚本、監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ。ドイツ・ルクセンブルク・フランス。114分。

1960年初頭、大学で哲学を教えるハンナはエルサレムでナチス戦犯のアイヒマンの裁判を傍聴。
アイヒマンは怪物ではなく、ただ平凡な男で大量のユダヤ人を虐殺したことになんら罪の意識もなく、
法律に従って命令を下しただけだと言ったことに衝撃を受ける。
彼女は依頼されていたその裁判レポートをニューヨークの新聞社に送る。
それを読んだ編集者たちはこのような原稿は多くの人たちの反感を買うかもしれないと掲載することを反対するが。
編集長はただ一点、戦時中、ユダヤ人を強制収容所に送るのにユダヤ人のリーダーが協力していたという記述を削除するように求めた、
が、ハンナはそれは事実だと告げ、拒絶。編集長はそれもまた一つの見解だと英断、そのまま新聞に掲載してしまう。
案の定、強制収容所から命からがら逃れ生き延びた人たちをはじめ、多くの人たちの神経を逆なでしてしまい、
誹謗、中傷、抗議の渦中に巻き込まれる。
しかし、ハンナは屈せず、全体主義の下では人々は善か悪か、美か醜か、考えることをやめてしまう、
ただ命令に従うか否かの選択があるだけだと、学生たちを前に説くが。
どんな嫌がらせや抗議にも負けず、大学からも追放されようとしても負けず、信念を貫く、鉄の意志を持ったハンナの姿に
圧倒された。ずっと親友だった男に理解してもらえず、彼女は友達の選択を誤ったと自嘲するシーンが印象的だった。