チケットを頂いたので、最終日前日でしたが
〈片岡球子展〉ゆっくりと鑑賞してきました。
珠子さんは日本画家としては超有名人ですから、
美術書や複製画等でその時々見ていましたが、
年代ごとに系統立てて沢山の作品を観るのは
初めてだったので大変楽しめました。
片岡球子展の作品を通して観て感じたことは、
その才能が五〜六十歳代になって
一気に爆発していたことでした。
それまでの作品にも所々に
その鬼才の一端は感じられますが、
それでもその作品は、
あくまでも日本画の世界の作品でした。
▲初期の作品〈枇杷〉1930年
が、四十歳代後半を境にその画風は
これが日本画!?というくらいぶっ飛び始めます。
画材も果てはボンド・油彩まで使われ、
作画には、あらゆる試みがされているようでした。
その作風は「ゲテモノ」とまで呼ばれていたそうですが、
それはある意味狭い日本画の世界のことで、
芸術の世界全般で見れば、
時代の自然な流れの中にある作風として
日本画の殻を破ろうという姿勢は、
十分理解できるんですけどね…
▲六十歳過ぎてからのライフワーク〈面構(つらがまえ)シリーズ〉
五十歳代であの火山シリーズの激しい色使い・
デフォルメでその才能を開花させ、
六十歳代で面構シリーズの超ヘタウマ絵で
その評価を不動のものにされたようです。
※ただ個人的には、表現・画風が
また日本画にいくらか回帰し始めた
八十歳代の作品(富士に献花・春の富士等)の方が
好きなんですけどね…
▲八十五歳の作品〈富士に献花〉1990年
そして八十歳代の作品で
少し落ち着きを取り戻すのですが、
これがまた九十歳になると
また別な意味でぶっ飛んでいて、
〈面構 一休さま〉の鶴と海老の絵には
思わず吹き出してしまいました…
何なんでしょう?この突き抜け感は…?!
ただ、決して技術を前面に見せる
作風ではなかったけど、
「かいて、描いて、描きぬく勉強」、
「私も写生を生命にする」という
基本を大切にする姿勢が
珠子さんのモットーでした…
しかし、五十歳以降に大爆発して全盛期を迎え、
百歳近くまで独特の感性と情熱で
作品を描き続けたパワーには、
只々ビックリ!只々尊敬です!!
● 片岡球子展