▲広重 富士三十六景〈伊豆の山中〉頂いたポストカードより
昨日は三菱東京UFJ銀行 貨幣資料館へ
〈広重 富士三十六景〉を見に行ってきました。
富士の三十六景といえば北斎の〈富嶽三十六景〉
(1833年)となりますが、
広重も後年、横絵の〈不二三十六景〉(1852年)と
竪絵の〈富士三十六景〉(1859年)の
二つの連作を発表していました。
今回の展示は後の〈富士三十六景〉の方の展示でした。
想像するに多分この二つの三十六景連作は、
北斎富嶽三十六景の大ヒットに影響されて、
版元からの依頼で制作されたんだと思われますが…
実際はどうだったんでしょうか?
一度ヒットした北斎の連作を、
20年近く経っていたとはいえ
同じテーマで新たに制作するというのは、
広重には結構プレッシャーがあったんじゃないでしょうか?
しかし実際に広重の富士三十六景を見てみると、
そんなことは大した問題では無かったように思われました。
東海道五十三次のスタイルをしっかり受け継いで、
豊かな彩色と情景の描き込みで、
完全に広重独自の富士三十六景を描き上げていました。
▲左/北斎〈神奈川沖波裏〉 右/広重〈駿河薩タ之海上〉
それでもさすがに若干の影響を受けたんでしょうか…
それとも北斎へのオマージュでしょうか?
〈駿河薩タ之海上〉という一枚は、
北斎の富獄三十六景〈神奈川沖波裏〉の大波を連想させて、
思わずニッコリとしてしまいました。
あと広重の作品は、関東一円の風景を抜けだしていて、
信州諏訪や塩尻峠、驚きは、
伊勢二見が浦から見た富士まで描かれていました。
興味を持たれた方は、
7月10日まで入場無料で見られますので、
是非もう一つの富士三十六景を
ご覧になってみて下さい。