伊勢原あやめ園のあずまやで 絵を描いている方が居た
素晴らしいスケッチで 思わず声を掛けた
あやめも連作が効かないで 休耕にしている部分もあって少し寂しい
そんなことを きさくに教えてくれた
スケッチ画 完成されたものを数枚見せてくれた
市展にも入選しているんですよと また 2.3枚見せてくれた
そのうちの コピーを見て えっと息を飲んだ
彼の功績を伝えている大手新聞に 名前などが紹介されている
彼は末期がんだった
もう手術も間に合わず 病院に居ることが多いとのこと
それでも残された時間は 少年の頃より続けている画の制作に励んでいる
病院内では 油絵では匂いが迷惑掛けるため パステル画にしている
桜の画を描いていたら 入院している患者が数名見に来たそうだ
そこまで来ている死に直面して これを受け容れ明るくしているとのこと
確かに 語るそのお顔は 柔和に悟られているものだった
病院内でも その明るさが 他の人に生きる勇気を与えているらしい
若い娘さんも 親に迷惑ばかり掛けてと沈んでいた
桜の画を見に来ませんかと誘ったら 来たそうだ
今は親に迷惑を掛けても仕方ないこと 良くなったら親孝行するのだよ
こう言ったら笑顔を見せてくれたと言う
生きる希望を貰ったと帰っていった
母校の小学校に 桜の樹が植えられている
ソメイヨシノの寿命は60年 長くて100年 人間と同じだねと笑った
その100年近い老木が 見事な花を咲かせている
どっしりと根を構え 花を一面に広げた枝に咲かせている
この桜を描いて 小学校に寄贈した
学校では 「生きる」 をテーマに 生徒に話を聴かせた
家に居ても 病院に居ても 時は同じ
それなら 外へ出て こうして好きな画を描くことが 意義ある過ごし方だと言う
家族も 病院も 外出を許している
最近は がんの終末期は 治療しないことが認知されてきた
痛みは最小限 抑えるが あとは本人の好きなことをさせよう
それが人間の尊厳を保った 死に方だと思えるようになってきた
ホスピスは こうして 出来るだけ人間らしく 穏かな最後を過ごさせる
家族も本人も 悲しみの度合いは 軽くなるだろう
あと何日生きるか 余命が見える中での過ごし方 胸に沁みる
新聞のお写真は 少しふっくらとしていた
もう食べ物も そんなに入らないと言う お会いしたお顔はやつれていた
それでも私に語る その声は 明るさを秘めていた
いつまで花を描けるか
その先にあるお別れ
奇跡の快復を願いながら 教えられた感謝を私は心に描いた
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