ウクライナ、バフムトで反撃に初めて成功…
ロシアも一部後退認める
ウクライナ軍の大反撃に弾みがつく見通し
ウクライナ軍とロシア軍が6カ月以上すべてをかけて戦っているウクライナ東部のバフムトで、ウクライナ軍が初めて反撃に成功した。英国が長距離ミサイルに続き長距離攻撃用のドローンの供与を決めたことで、ウクライナの春季大反撃に弾みが付くものとみられる。
ロイター通信などの報道によると、ウクライナ地上軍のオレクサンドル・シルスキー司令官は15日(現地時間)、テレグラムを通じて発表した声明で、ここ数日間、バフムト方面で自国軍がロシア軍を追い出す戦果を上げたと主張した。シルスキー司令官は「バフムト方面のわが軍の進軍は、バフムト防衛に向けた攻撃の初の成功例」だとしたうえで、「この極めて厳しい状況でもわれわれが前進でき、敵を破壊できることが過去数日で明らかになった。われわれは敵より少ない資源で戦いながら、敵の計画を台無しにすることができる」と強調した。
ウクライナ軍の作戦参謀は同日の戦況ブリーフィングで、「ロシア軍が強力な砲撃を前面に押し出し、バフムトの西端にあるイバニウシケ(Ivanivske)村への進撃を試みているが、この村への接近には失敗した」と述べた。ウクライナ軍は詳細な戦況を公開せず、バフムト北部地域と南部地域で進撃に成功したとだけ発表した。
ロイター通信によると、ロシア軍もバフムト北部から一部後退したことを認めており、ロシアの傭兵集団ワグネル・グループの設立者エフゲニー・プリゴジン氏は「ロシア正規軍がバフムト北部と南部から一部撤退した」と述べた。
ウクライナ東部ドンバスの要衝地とされるバフムトでは、ウクライナ戦争最大の戦闘が6カ月以上続いている。ロシア軍は昨年10月頃からバフムトを包囲し、ワグネル・グループをこの都市占領の先鋒隊として投入しており、同グループは自分たちがこの都市全体の約95%を占領したと主張している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、英国ロンドンでリシ・スナク首相と会談し、200キロメートル以上の長距離攻撃が可能なドローンなどの軍事支援の約束を取り付けた。英国は先週、西側諸国の中で初めて射程距離が250キロメートルを超える長距離ミサイル「ストームシャドー」を供与した。ゼレンスキー大統領はこれに先立ちイタリア、ドイツ、フランスも訪問し、さらなる軍事支援を約束された。ゼレンスキー大統領はこの日、キーウに戻る列車で撮ったビデオ演説で「新しい軍事支援とともに帰国する。戦線により強力な新型兵器を投入し、わが国民をよりよく保護できるようになった」と述べた。
ロシアは英国の長距離兵器供与に強い反感を示した。クレムリン(大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は「我々は(英国の軍事支援を)極めて否定的にみている。これは『特別軍事作戦(ウクライナ侵攻)』に大きな影響を及ぼすことはできないだろう。さらなる破壊をもたらし、ウクライナにとって事態はさらに複雑になるだろう」と主張した。
ロシア国防省は、英国が支援した長距離ミサイル「ストームシャドー」を同日初めて撃墜したと主張したが、詳細な状況は明らかにしなかった。国防省は前日、ウクライナ軍が同ミサイルで東部ルハンスク州の産業施設を攻撃したと主張した。
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