中国政府と、実際に顔を合わせる中国人を区分できる知性を持った若者たちも多いと思う」と話した。大学生のヨ・グンホさん(24)は「個別の中国人に対する偏見と差別につながってはならない」と話した。

2022-02-12 09:40:22 | 中国を知らなければ世界はわからない

韓国の20~30代「度を越した中国」にネガティブな認識高まる…

「嫌悪助長は警戒」

登録:2022-02-10 10:36 修正:2022-02-10 11:10
 
 
4日午後、北京の国立競技場で開かれた2022北京冬季五輪の開会式でチマチョゴリ(韓服)を着て髪にテンギ(リボン)をつけた女性が、開催国の国旗掲揚のために中国の五星紅旗を運んでいる=北京/聯合ニュース

 2022北京冬季五輪での偏向判定をめぐる議論で、韓国社会の反中・嫌悪感情に火がついた。オンライン空間を中心に、中国にネガティブな反応を示す20~30代の世論が目立つ。既成世代は「公正性に敏感な若者世代が不公正な中国に腹を立てた」というような単一の解釈を出している。しかし、こうしたネガティブな認識はここ10年間、学校やオンライン、日常生活など様々なレベルで徐々に積み重なってきた結果だ。解決策も単純ではない。大統領選挙を控えた政界が公正言説を掲げ、下手に反中・嫌中感情に便乗したり、けしかけたりする行動を警戒する声が専門家と若者世代内部から出ている。

 本紙は9日、20~30代の若者10人に緊急インタビューした。公正性以外に、様々な要因が中国に対する認識を左右していた。中国によく出張に出る会社員のLさん(32)は、大学生の時から中国人に対する否定的な感情を持つようになったと話した。当時Lさんが通っていた大学は、中国人観光客が訪れる主要名所だった。学校前の店は中国人向けのコスメショップや服屋に変わった。中国人たちは随時キャンパスに入ってきて学生たちにカメラを向けたという。Lさんは「図書室で勉強も落ち着いてできなくなって、中国人は『度を越した人たち』だと認識するようになった」と語った。

 韓国国内の大学が中国人留学生を大勢誘致し、キャンパス内で彼らとのトラブルが頻繁になったことも影響を及ぼしている。キム・グァンオクさん(25)は2019年、「香港民主化ポスター毀損事件」を目の当たりにし「中国が中国(らしい行動を)した」と思ったという。延世大学に通うJさん(22)は「中国人と一緒に寮を使っていたが、彼らが自己中心的だと思うようになった」と話した。

 個別的経験や印象批評に基づいたものだが、このような認識は習近平体制の中国で強まった中華民族主義・愛国主義、新疆ウイグル・香港で起きる反人権行動、台湾への武力示威などに吸収され、「反中・嫌中」の様相を呈し始めた。

 大学生のイ・ホビンさん(25)は「中国が胡錦濤時代の穏健路線から習近平の『国家夢』、すなわち自国中心主義に移行する時期に、若者の間で中国のイメージが無礼で攻撃的な国として固まったようだ」と話した。大学で中国語中文学を専攻したパク・チユンさん(31)は「中国に勉強に行った時、『私は私の中国をとても愛している』という言葉を口にする中国の若者たちの中華思想に驚いた。国際舞台で利己的な中国政府と、キムチを『泡菜(パオツァイ)』と主張して自国の文化にしてしまう『文化工程』を試みる中国人が、私の目には同じに見える」と語った。

 グローバル化したK-POP・ゲームの領域も、中国に対するネガティブな認識を持たせる「プラットフォーム」となった。Lさん(29)は好きなK-POPグループで中国人メンバーが人気を得てから自国に帰る姿を見て、「中国人は利己的だ」と思ったという。Lさんは「多くの中国出身のアイドル歌手が、韓国で有名になっておいて、自国に帰ると中国共産党を称賛する書き込みをSNSに掲載するのを見て、中国に対する失望感につながった」と話した。大学生のソ・ソンジュンさん(25)は「リーグ・オブ・レジェンド(オンラインゲーム)をしていると、中国ユーザーがトロール行為(ゲームで参加者に迷惑をかける行為)をする場合が多い」と話した。

 昨年11月、ソウル市立大学中国語文化学科のハ・ナムソク教授が現代中国学会・国際秋季学術大会で発表した「韓国の若者世代のオンライン反中感情の現状」によると、2018年の韓国の若者の中国に対する好感度は、日本に対する好感度の2.83点(5点満点)より低い2.14点だった。中国に好感を持てない理由としては「(教養のない)中国人」(48.2%)、「独裁と人権弾圧」(21.9%)が多かった。現代中国学会の学会長のウォン・ドンウク東亜大学国際学部教授は、「THAAD(高高度防衛ミサイル)事態後、中国の報復行為や香港の民主化運動に対する弾圧などの人権問題、『武漢肺炎』と名付けられたパンデミック、キムチや韓服をめぐって起こった中国の若者ネットユーザーの行為などが増幅され、若者世代は特に激しい反中感情を示している」と指摘した。

 ただ、政界が若者層の反中感情に便乗し、解決策を提示せずに中国に対する嫌悪を煽って利用する行動に対しては、若者たちも警戒した。フリーランサーのキム・ボギョンさん(30)は「国民の力では反中感情を選挙戦略のカードとして利用しようとしており、与党はこれを悪材料と思っている状況が理解できない。中国政府と、実際に顔を合わせる中国人を区分できる知性を持った若者たちも多いと思う」と話した。大学生のヨ・グンホさん(24)は「個別の中国人に対する偏見と差別につながってはならない」と話した。

 専門家は、政界はもとより、反中感情を拡大再生産する中国と韓国のメディアのあり方を指摘した。ウォン・ドンウク教授は「大統領選の局面で反中感情を利用して票を得るやり方は、究極的に大衆交易で得てきた利益に甚大な損傷を及ぼすことになる。政界やメディアが非常に冷静に対応すべき事案だ」と述べた。さらに「一般大衆の感情を煽るのではなく、韓中国交正常化30周年を迎え、光と影を冷静に観察し、望ましい関係を構築すべき時」だと述べた。世宗大学中国通商学科のチェ・ピルス教授は、「メディアは両国のネットユーザーの過剰な意見を書き写し、感情を刺激している」と語った。

イ・ウヨン、コ・ビョンチャン、ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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