東京五輪開会式に出席し、これを通じて強制動員被害者賠償判決などの韓日の懸案の解決の突破口を見出そうとしたのだ。しかし、菅首相は・・・

2021-06-16 07:57:34 | これからの日本、外国人の目

韓日略式会談拒否、「外交の門外漢」菅首相にはね返るか

登録:2021-06-15 03:39 修正:2021-06-15 07:02
 
日本、韓国の再三の「和解メッセージ」をまたも拒否 
両国関係の改善よりも国内保守世論を意識したか 
韓日関係の悪化は国際社会に「日本のせい」との印象残す
 
文在寅大統領と日本の菅義偉首相//ハンギョレ新聞社

 日本の菅義偉首相が、英国のコーンウォールで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて行う予定だった韓日首脳の「略式会談」に応じないという外交的欠礼を犯していたことが明らかになり、その背景に関心が集まっている。新型コロナウイルス対応問題などで政権支持率が30%前半にまで急落した中、韓日関係改善よりも韓国に敵対的な国内保守世論を優先した対応と解釈される。

 韓国政府は、昨年9月の菅首相就任以降、一貫して両国関係の改善に向けて繰り返し和解の手を差し伸べてきた。昨年11月にはパク・チウォン国家情報院長らが菅首相と会談し、東京五輪の開催の成功に向けた韓国の協力の意思を明らかにしており、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も今年の3・1節記念演説で「易地思之(相手の立場から考える)の姿勢で膝を突き合わせよう」とし、「韓国は東京五輪の開催の成功に向けて協力する」と和解のメッセージを発している。

 文大統領は今回の略式会談を通じて、7月末に開かれる東京五輪の開会式に出席しうるという意思を伝え、関係改善の糸口を見出そうとしたという。安倍晋三前首相が2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪開会式に出席したため、その返礼として東京五輪開会式に出席し、これを通じて強制動員被害者賠償判決などの韓日の懸案の解決の突破口を見出そうとしたのだ。しかし、菅首相はサミット直後の日本の記者たちとの懇談会で、「韓国には、元徴用工問題について解決策を提示することを再度要求する」という冷ややかな反応を示すにとどまった。就任直後から維持してきた「韓国は日韓関係を健全な関係に戻す契機を作ってほしい」という強硬な立場は少しも変わっていないのだ。

 これをめぐって日本では、菅首相はこれまで韓日首脳会談の前提条件として韓国政府の善処を求めてきただけに、韓国が日本に納得しうる解決策を示さない中で会談に応じるのは難しかったという分析が出ている。実際に日本のメディアは、今回のサミットを前に、韓米日首脳会談または韓日首脳会談の成否をめぐり、「政府が調整中」とする記事を相次いで発表していた。重要な外交決定を下す前に、関連情報をメディアに流して世論の動向を見守っていたわけだ。その後、茂木敏充外相はサミットの日程が始まる直前の11日の記者会見で、韓米首脳の接触は行われるのかとの問いに対し、「今回の日程を見てみますと、空いている時間というのはかなり限られております。そういった中で、お互いの都合等々を考えて、どういったバイ会談(二者会談)等入れるか、それはまさに今後調整していくということで、今の時点で決まっているものはございません」というあいまいな反応を示していた。結局、日本の最終判断は「会わない」というものだった。

 略式会談に応じなかったとの指摘に対し、日本は「事実に反する」と反発した。加藤勝信官房長官はこの日午後の定例記者会見で、「一方的な発信は極めて遺憾であり、直ちに韓国側に抗議した。今回のサミットではスケジュールなどの都合により、韓日首脳会談は実施されなかった」と釈明した。会談が不発に終わったのは「故意」ではなく「時間不足」のためだという説明だ。しかし、少しの儀典のミスも許されない「首脳外交」において、約束された会談が双方の了解なしに取り消されるのは想像しがたい。しかも菅首相は13日の日本の記者との懇談会で、文大統領が前日に二度も自分に近づいてきたということを明らかにしている。韓国政府高官は「時間がないので10分でも30分でも状況に合わせて実施しよう」と実務レベルで合意していると繰り返し明らかにしていた。

 そのため、アジアからは日本が単独で参加してきたG7サミットという国際舞台で、菅首相は文大統領と顔を合わせたくなかったのだろうと指摘する声もある。実際に日本経済新聞は13日に、日本が「ゲスト国として韓豪印を呼ぶのはいいが、G7の枠組み拡大には反対だ」と主張したと報じている。日本は、米国のドナルド・トランプ前大統領が昨年6月に、G7に韓国などを入れて拡大する計画を明らかにすると、韓国はG7諸国と「対中、対北朝鮮政策が異なる」として強く反対している。

 だが、今回の外交的欠礼は菅首相にブーメランとなって返ってくる見通しだ。7年8カ月にわたる長期政権を維持し、日米同盟の強化などの多くの成果を残した安倍前首相とは異なり、菅首相は日本国内でも「外交の門外漢」として知られる。安倍前首相は、日本による「ホワイト国」からの韓国の排除と韓国による韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定で関係が破局へと向かっていた2019年11月に、ASEAN+3首脳会議の開かれたタイのバンコクで、文在寅大統領があいさつの後にソファーへと導くと、11分ほど自然に歓談に応じている。これとは対照的に菅首相は、初めて臨む本格的な多国間外交の舞台で、米国などのG7の首脳に、韓日関係が改善されないのは「日本のせい」だとの印象を残してしまった。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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