日本は1948年5月に平和憲法を持つようになって以来、日本の武力は自分を防御するためだけに使うという「専守防衛」の原則を維持してきた。

2022-01-25 12:19:40 | これからの日本、外国人の目

日本、専守防衛の原則破りついに

「敵基地攻撃能力」を手に入れるか(1)

登録:2022-01-25 06:43 修正:2022-01-25 07:21
 
[敵基地攻撃能力をめぐる60年にわたる議論] 
 
1956年「先制攻撃も自衛権の範囲に含まれる」主張 
曖昧な立場を取ってきた日本政府 
安倍元首相時代に攻撃能力の確保に踏み切る  
岸田首相、北朝鮮の極超音速ミサイル発射に 
「見過ごすことはできない」と演説 
一方では「強硬ではなく緩和外交を展開すべき」
 
 
金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長が今月11日、国防科学院で行った極超音速ミサイル試験発射を視察したとし、「極超音速滑空飛行戦闘部は1000キロ先の水域に設定された標的に命中した」と、「労働新聞」が12日付で報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 「北朝鮮が繰り返す弾道ミサイル発射は断じて許されず、ミサイル技術の顕著な向上を見過ごすことはできません」

 今月17日午後2時、日本の国会。同日、通常国会の開会を知らせる施政方針演説を行った岸田文雄首相が強調したのは、日増しに高まっている北朝鮮のミサイル脅威だった。ちょうど同日、演説が始まるわずか5時間前の午前8時50分と54分、北朝鮮は再び2発のミサイルを発射した。今月に入って5日、11日、14日に続く4回目の発射だった。

 北朝鮮が最近連続して発射したミサイルのうち、2回(5日と11日)は日本が大金を投じて構築したミサイル防衛(MD)システムでは事実上迎撃が不可能な「極超音速ミサイル」であることが明らかになり、安全保障をめぐる日本の不安は以前とは比べものにならないほど高まっている。これを表すかのように、岸信夫防衛相は18日の記者会見で「北朝鮮は(ミサイル)発射形態の多様化など、急速かつ着実に関連技術の運用能力や向上を図ってきている。一連の弾道ミサイル発射を含む北朝鮮の軍事動向は、わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威だ」と述べた。もし、実際に北朝鮮のミサイルを日本が誇る2重ミサイル防御システムのイージス艦とパトリオット(PAC)3を通じて迎撃できなかったらどうするのか。残る選択肢は相手の攻撃原点を打つ能力を持つことしかなくなる。岸田首相は同日の演説で、こうした覚悟を示すかのように、日本が敵の基地を直接打撃できる「いわゆる『敵基地攻撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と述べた。

 時期をほぼ同じくして、韓国でも日本のこうした動きと酷似した場面があった。北朝鮮が今年、相次ぐ発射で高度化したミサイル能力を備えているという事実を立証したことを受け、韓国の「保守」も同じ声をあげ始めたのだ。国民の力のユン・ソクヨル大統領選候補は、北朝鮮が今年に入って2度目のミサイルを発射した11日、対北朝鮮「先制攻撃論」を取り上げた。ユン候補は「マッハ5以上のミサイルが発射され、(このミサイルが)核を搭載したとすれば、首都圏に到達して大量殺傷をするのにかかる時間は1分以内」だとし、「キルチェーンという先制攻撃しかこれを防ぐ方法がない」と述べた。

 これを通じて分かるように、ユン候補の「先制攻撃論」と日本が推進する「敵基地攻撃能力」保有は本質的に同じ話だといえる。北朝鮮と中国の核の脅威が現実化し、北朝鮮のミサイル能力が高度化したことで、以前とは質的に異なる安全保障上の不安を感じるようになった日本と韓国の保守が同じ方向に動き始めたのだ。

 
 
米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相は今月21日夜10時から約80分間にわたりオンライン首脳会談を行った=首相官邸ホームページより//ハンギョレ新聞社

 相手を先制攻撃できる兵器を持つことに何の憲法的制約もない韓国と違って、日本では敵基地攻撃能力の保有問題をめぐり、過去60年以上にわたり論議を繰り広げてきた。日本は1948年5月に平和憲法を持つようになって以来、日本の武力は自分を防御するためだけに使うという「専守防衛」の原則を維持してきた。

 そのような日本で、敵基地攻撃能力に関する初めての論争が始まったのは1956年だった。 冷戦時代、東西両陣営間の対立が激しくなり、相手が日本を攻撃するためにミサイルを発射することが火を見るよりも明らかなのに、日本が専守防衛の原則にしがみつき、手を拱いていても良いのかという指摘が出た。これに対し、鳩山一郎元首相(1883~1959)は衆議院内閣委員会で「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思う。そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきだ」と述べた。「座して自滅を待つ」のは到底ありえないことだから、日本も敵の基地を攻撃できるという見解を示したのだ。しかし、その後も日本政府は「適基地攻撃能力を保有することは法理的には可能だが、その能力を持つことはない」という中途半端な立場を維持してきた。(2に続く)

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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