フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

変性意識の共有

2013年09月12日 20時00分11秒 | 社会・政治・思想哲学

 前回のブログで、変性意識の定義をした。もう一度言うと、変性意識状態とは、現実世界より仮想世界に意識が集中している状態をいう。
 この仮想世界に集中している度合いには強弱いろいろある。そのため、すこしばかり広い定義になっている。だから、ここではより深い変性意識であるトランス状態に、しぼって考えてみよう。
 まず、トランス状態に陥らせる古典的な方法は、音楽と舞踊である。特に、太鼓のようなリズミカルな音楽に合わせて、手を叩いたり足踏みをしたりする。
 原始宗教においてはシャーマンが先頭を切ってトランス状態になっていくと、それに従うように周りの者たちもトランス状態になっていく。

 興味深いことは、世界中の多くの原始宗教において、これに似た儀式がある。それには、何かしらの意味があるに違いない。
 一番もっともらしい説は、音楽と舞踊によってトランス状態になり、一体感を得て、共同体の団結を深めていくという考え方である。

 このような音楽と舞踊の儀式の名残は、日本にもまだ残っている。例えば、


  

 この動画を見て、高揚し一体感を感じたとしたら、あなたも音楽と舞踊によって軽いトランス状態になったといえるだろう。
 
 私は原始宗教においてこのような儀式が必要だった理由について、共同体の団結を深めていくと考える説が妥当だと言った。
 それを裏付ける人類の歴史がある。
初期の人類である狩猟民族は、他の部族との戦いの連続だったそうだ。数十人の小集団で狩りをしながら移動し、戦争を繰り返していた。そのときの死者の13~5%は、他の部族に殺されたと推定されている。
 こうした激しい戦争は、2万年前の氷河期の終わりごろまで続いた。
氷河によって地表がおおわれ、乏しい食糧をめぐって部族どうしの戦闘が日常化していたため、1万年前に農耕が始まるまで、人口はほとんど増えなかったという。
 つまり、このことは生き残るために、戦闘能力を高め、集団が強く団結していなくてはならないことを意味している。
 そして、より強く団結するには、他者の感情を理解する共感能力が必要とされる。 この共感能力を高めるために、音楽と舞踏が使われるのである。
 
 さらに、最近の研究で人間の共感能力について、ミラーニューロンという神経が発見された。この神経は、他者の行動を理解し、その行動を真似ることのできる神経だといわれている。
 最初にシャーマンがトランス状態になる。そして、他の者たちが、ミラーニューロンにより、シャーマンのトランスを真似て変性意識状態になる。つまり、変性意識の共有が行われるのである。
 言い換えれば、シャーマンの神秘体験について、他者が引き寄せられるように神秘体験の追随が行われる。
 このようにして、共同体の結束を固くしていくのである。 
 ちなみに、日本型の口寄せ巫女としてのシャーマンは、この儀式とは少し意味が違うので、後で別に検討しようと思っている。 

 現代においても、このような変性意識状態を利用して、民族の団結を行なう試みがなされている。例えば、中国の抗日ドラマである。
 中国の抗日ドラマは、極悪非道な日本軍が中国人を虐殺し、それを中国共産党が正義の味方になって助けるというジョークのような内容のドラマである。
 しかし、このドラマによって中国人たちは、抗日というキーワードのもとに、民族の団結を強めている。
 ドラマも仮想世界であるから、変性意識状態である。その意識下で、日本は悪だという洗脳がされているのである。
 
 今、洗脳という言葉が出た。そう、この変性意識と洗脳は切っても切れない関係にある。 つまり、変性意識下で洗脳がなされるのである。
 この洗脳の仕方について語る前に、変性意識と身体の恒常性維持機能(ホメオスタシス)の関係について言及しなければならない。
 それについては、また後で説明しよう。 

 


 

 

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