フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

テント内の寒い夜

2011年09月30日 08時34分20秒 | 登山

 そろそろ夕方の4時になろうとしている。雨は少しずつ弱まってきている。まだ日は暮れていないが、気温が下がってきてかなり寒い。
 明日の朝、この秋一番冷え込みで、富士山に初冠雪が観測されることになるのだが、この時点ではそうなるとは、夢にも思っていない。
 
 どこにテントを張ろうかなと周りを見渡す。どこもかしこも笹に覆われている。
 仕方なく登山道近くの笹の上にテントを張ることにする。笹が突き抜けてテントを破らないように、まずテントシートを広げその上にテントを張る。
 雨にぬれて重くなったザックを室内に入れ、雨具と登山靴を脱いだ。登山靴から信じられないほどの湯気が出ている。マンガみたいに。
 室内に入り、ザックの中身を全部出す。想像以上に中身が濡れている。寝袋も少し湿っている。ザックカバーは長時間雨にさらされると、完璧に雨をしのぐことはできない。
 室内は笹でふかふかしているものの、すわり心地が悪い。
 友人から借りてきたモンベルのエアーマットに空気を入れて膨らませ、その上に腰を下ろす。
 
 さっきから、体の震えが止まらない。長時間、雨に濡れて歩いたからだ。疲労もかなりある。
 もちろん、着替えはない。持ってきたものをほとんど全部着ている。タオルで体中をふくが気休めにすぎない。
 アンダーアーマーのインナーとモンベルのウイックロンの長袖、それからユニクロのフリース。どれも速乾性で乾きは速い。だから、着ながら乾かす。
 
 体を温めるため、お湯を沸かしカップラーメンをつくる。
 カップラーメンの出来上がるのを待っている間、ゆでたまごの殻をむく。
 体がブルブル震えている。低体温症になりそうだ。あまりに震えが止まらないので、山の中で死ぬのかなと、不安になる。
 

 ゆで卵を食べてると、カップラーメンが出来上がった。
 ゆっくりカップラーメンを食べた。
 温かいのを食べたおかげで、すこし震えは止まる。
 疲れたときは沢山食べるべきではない。疲労回復の能力が低下する。最低限、栄養のあるものを少しだけ食べれば良い。
 
 湿った寝袋の中に入った。なかなか体が温まらない。猫のように丸くなって、体温を維持する。
 よっぽど疲れていたのか、すぐに、ストンと眠りに落ちた。

 何時か忘れたが、途中、寒くて目が覚めた。
 携帯ラジオをつける。バート・バカラックの特集をやっていた。
AMにしてはなかなかいい番組。
 いろいろいい曲が流れたが、クリストファー・クロスの歌うニューヨーク・シティ・セレナーデに心を奪われる。バート・バカラックが作詞作曲していたとは知らなかった。

 曲を聞いていたら、今この瞬間に激しい恋に落ちているような錯覚に陥る。おかしな感覚である。
 切ないが、孤独ではない。心に愛情が溢れてくる。

 朝の4時頃に、寒すぎてもう一度目が覚める。衣服はもう乾いているが、寒い。アホみたいに寒い。
 もう寝ていられないので起きる。濃い目のコーヒーを作って、ゆっくり飲む。体が温まりほぐれてくる。まだ暗いが、雨はすっかり止んでいる。今日は晴れそうだ。よし大丈夫だ。体の方も十分な休息をとったから調子がいい。
 今日は最高の日になりそうだ。


  

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