アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

アイヌの美しい手仕事展

2024-12-30 23:33:37 | 映画とドラマと本と絵画

  12月の中頃、豊田市民芸館で開催していた「アイヌの美しい手仕事」を見に行ってきました。

  厚司のみ撮影可能。点数が多く、様々な模様と素材の衣装を見ることができました。

   厚司といえばオヒョウ、と思っていましたが、オヒョウだけではなくイラクサで織った素材も。チェーンステッチのようなステッチが施されています。

  藍染の布は、本州からもたらされたもののよう。農業には携わらなかったアイヌにとって、木綿布は暖かくて柔らかい貴重な素材だったと思います。

  撮影はできなかったのですが、同じアツシでも、袖口とか、肩あたりにだけ、花柄のも綿か絹の端切れが使われているものもありました。それも、本州や大陸との交易品として入手したもので、たぶん若い女性たちの衣服になっていたのだとお思われます。布だけでなく当然糸も、赤や青の染め糸が使われていました。

   女性たちの手によって生まれた衣装の数々。美しい。刺繍の模様にはそれぞれ祈りや呪文が込められているそうなのですが、模様の配置や選ぶ布、糸などは女性たちの好みに任せられていたのではないかとおもう。パッチワークのようなアツシは、きっとセンスのいい女性が部落内にいて、彼女のもとにみんな相談に行っていたのではないかしら。木綿や絹の端切れはものすごく大事なものだったに違いないから、どの布をどの部分に持ってくるかについては、きっと悩んだと思います。

   撮影はできなかったけれど、酒箸もたくさん展示されていました。神との供食の折に使われたという長い立派な木箸。アツシ同様、様々な模様が彫り出されていますが、なかには、狐の顔とか動物の頭が浮き彫りされたものも。作る人の技の見せ所として競って派手なものになっていったのかも。

   面白かったのは、首飾り。大きくて丸くあざやかな色の石は、ロシア圏や中国からもたらされたものらしいのですが、中央のペンダント?部分には、刀の鍔とか箪笥の金具が使われているのがありました。貴重な金属に精巧な細工を施したものなのだから、飾り物にしたくなって当たり前かも。

   数か月前から「日本残酷物語」全5巻をちょうど読み進めているところだったので、北海道開拓にまつわるアイヌの人たちの悲惨な歴史に触れたせいもあって、彼らの日常生活に使われていた衣類や道具類が、単なる興味深い工芸品ではなくて、悲劇の色合いを帯びたものとして一つ一つが胸に迫りました。

 

  たまたま、最近読んだ学習漫画。中世以降、和人の力が北海道に徐々に及ぶようになり、何度も大きな抵抗運動が起きました。明治政府の世になってからは「北海道旧土人保護法」の成立によって強制的に日本人化させられました。彼ら独自の風習や儀式の禁止、狩猟やサケ漁なども禁止され、そして強制移住も。アメリカンネイティブと同じ運命をたどっています。

  この日のランチは豊田市駅近くのミネットで。友人に勧められていたフランス料理屋さんです。

   コールラビと大根のポタージュ。

   ポテト、生ハム、チコリのグラタン。

  カモロースのロティとヤマゴボウピュレ。

  どれもおいしかった。バターや生クリームがきつく感じはしないか心配でしたが、そんなことはなく完食。店内の雰囲気も感じがよくて、帰り際には、店主であるシェフが奥様と二人で見送ってくれました。いつもこうらしい。

  野菜料理のおいしいレストランはうれしい。また行きたい。

 

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映画「山の教室」

2024-12-27 14:33:53 | 映画とドラマと本と絵画

   「国民がみな幸福になること」を国是としているブータンの映画。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%B3_%E5%B1%B1%E3%81%AE%E6%95%99%E5%AE%A4冒頭は草原で歌う女性のうしろ姿。草原に広がる歌声が美しい。

  主人公は、まったくやる気のない若い男性教師。ブータンの首都に住んでいます。奨学金をもらうための義務なのか、教師として5年勤めなければならないのに、4年でギブアップ。教師には向いていないとあきらめ、オーストラリアへの移住に夢をはせています。家族は年老いた祖母だけ。

  しかし政府の要請には逆らえず、残り1年の教職の仕事は勤め上げるしかありません。そんな彼に与えられた任務は、ブータン一小さくて貧しい村、ルナナの学校に冬がくるまで赴任すること。長時間バスに乗りガサという村につきます。そこで村の村長の代理だという男性とその助手らしい男性が、ラバ?に荷物を積んで待っています。主人公は、彼らとともに、この場所から7日間かけて村まで歩きます。

  峠で行われる、旅の無事を祈るためのささやかな祈りの儀式。村人が敬虔な祈りをささげるのを主人公は意に介さず、先に進みます。道なき道を進んでようやくたどり着いたのは、標高4500m、人口56人?の寒村です。村人総出で出迎えて、新任の教師を歓迎するのですが、当の本人にはありがた迷惑。長いこと使われていなかった教室は汚く、窓ガラスの代わりに「伝統紙」が貼られています。教室に併設された彼の住居も同様に粗末。近代的な生活が当たり前の都会で暮らしていた彼には到底耐えられない環境です。すぐに、彼は村長に職を退くことを申し出ます。

  村長たちは、教師を「未来を拓く(だったかうろ覚えですが)人」として尊敬しています。子供たちに教育を施すことが、村の明るい未来につながるとかんがえるのでしょう。その教師に村を出ると言われた村長たちは、落胆しますが逆らわず、彼を町へ送る手はずをと整えます。

  ところがその後、子供たちとかかわるにつれ、彼らの純朴さに次第にひかれていき、彼は冬が来るまでこの村にとどまることにします。ノートすらないので、窓ガラス代わりの紙をはがして、子供たちに配り、街の友人に頼んで、教材や遊び道具、歯ブラシなどの日用品まで送ってもらいます。こうして村になじみ、子供たちとの交流を重ねるうちに、貧しいけれど素朴で心豊かな山の生活が次第に彼には大事なものになっていきます。

   冒頭に出てきた女性は、村一番の歌い手。彼女は彼に、「ヤクに捧げる歌」を教えてくれます。西洋の音楽しかしらない彼には、伝統的なブータンの旋律がしだいに耳に心地よく響き始めます。

   学級委員の女の子が、とてもかわいくてほほえましかった。村の女性たちのはにかみ方、笑い方が素朴で、好感が持てました。もしかしたら彼らはほんとにルナナ村の住人なのかも。昔の日本の女の人たちも、こんなだったと思われました。

   映像がしっかりしていて、退屈するところがありませんでした。必要最低限の内容だけをお互い口にし、あとは表情やしぐさで補っているところが、環境は過酷ではあるけれど、刺激の少ない穏やかな暮らしをし続けてきた村人たちならではの態度なのだろうな、と思わせてくれました。

   ただし、村を囲む山々は温暖化の影響で雪がぐんと減り、村人がじわじわと危機感をもち始めている様子も、ちゃんと描かれていました。秀逸な映画でした。

 

   

   

  

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本日、守綱寺のまちかど朝市に出店します。

2024-12-24 00:40:51 | アンティマキの焼き菓子とパン

  またまた告知が遅くなりましたが、寺部の守綱寺の絵本読み聞かせの会・冬休みお楽しみ会に出店します。お楽しみ会は本堂で。まちかど朝市は、浜縁にて開かれます。

  お持ちするのは、穀物クッキー4種とザクザククッキー、みそ味の米粉ビスコッティ。

  ほかには、シンプルだけどおいしい乳製品卵不使用のアップルパイを持っていきます。

  もっといろいろお持ちしたいとお思っていたのですが、シュトレンの注文をこなすのに忙しくて、タイムリミットとなりました。

  飛騨のあいいろパン工房さん、旭のいのはな農園さんと一緒に出店します。空飛ぶ羊の品も委託販売するそうです。

  お楽しみ会の時間は、10時半から11時半。わたしは10時半少し前に到着の予定で出発します。12時ころまでいる予定です。

  今夜もとても寒いので、明日の朝が思いやられます。しばらく前までの稲武の普通の冬の気温なのですが、このところ暖冬が続いたので、寒さがひとしおこたえます。では、おまちしています。

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