先週中ごろ、4年ぶりに京都大阪の旅に出ました。
このところ、名古屋の繁華街に出ることすら億劫になり、遠くへ行きたいと思うものの、交通機関を使っての遠出は、途中の駅での雑踏や乗り換えの煩雑さがいやで、なかなか踏ん切りがつきませんでした。でも、とにかく日を決め、一部同行する人も決め、後に引きにくいような状況を作り、出発の日を迎えました。
朝6時50分。稲武どんぐり温泉発の快速稲武便に乗り込みました。このバス、昨年から運行の始まった、稲武・豊田市駅間の直行便。市街地の高校に通う学生のために運行しています。これまでは、市街地の高校に通うには下宿生活が必須だったのですが、この直行便のおかげで1時間ちょっとで市街地につけるため、下宿の必要がいちおうなくなったのです。
私が乗ったバスには、高校生3人、大人は私ともう一人。ほぼノンストップなので、足助病院経由の便よりはるかに速い。快適でした。でも、想像通り、あまり利用客がいないようなので、いつまでこの路線が続いてくれるのか、心配になりました。
久々の名古屋駅。新幹線の表示がわかりにくくてあたふた。のぞみに乗り込み、やっとおちつきました。ところが京都駅に着いた途端、南北をまちがえて反対側に。おまけに観光客らしい人の大半が外国人であるのにもびっくり。彼らに好まれそうな土産物店が前にもましてできていて、さらにわかりにくくなっていました。
そして極めつけはコインロッカー。コインを入れれば閉まるロッカーではなく、IT化されていて、閉め方がわからない。自動販売機みたいなところで、操作しないとしまらないのです。しかも、ぼやぼやしていると自分がいれたロッカーのナンバーが消え、元に戻ってしまいます。わたしとおなじくITロッカー初体験の初老の夫婦とはちあわせしたので、さらに複雑な様相を帯び、最後は私たちのような客のためにときどき見回りしているらしい管理人が操作してくれたので、やっと無事に荷物を預けることができました。その間約20分。だいぶ時間を食いました。
教訓。日進月歩のIT化にはついていけなくて当然。できないからといってあわてないで、わかる人が来るのを気長に待とう。
京都在住の友人と烏丸御池で待ち合わせ。いっしょに、東洞院のビルにあるオーガニックレストラン・びお亭へ。
こちらは私が京都にいたころからあった小さなレストラン。健在であることネットで知り、なつかしくて訪問。あいかわらず狭いお店でしたが、昔と違って昼前からお客でいっぱい。最近のオーガニックブーム・マクロビブームにちゃんと乗れたお店の一つだったようです。ランチは870円。おからの春巻き定食を頼みました。味はまずまずでしたが、玄米ご飯はちょっとぼそぼそが気になりました。
食後、友人といっしょに四条を抜けて松原通へ。友人はしきりに近頃の京都の変貌ぶりを慨嘆。錦通りの端を通った時、「話の種に、錦の変わりようを見て」というので、ほんのしばらく歩きました。
平日の昼間、暮れでもないのに、たくさんの人が行きかっています。そのほとんどが外国人。西洋人も多いけれど、飛び交っている言葉は中国語のほうが多そう。通りの両側の店は、生鮮食品店だけではなく、スイーツの店や土産物屋が目立ちます。四条通は、あまりに人の数が多いので、歩道を広げたそう。かといって、道全体が広がったわけではないので、必然的に車道が狭くなり、以前から渋滞気味のこの通りはさらに渋滞がひどくなったといいます。
私が京都にいた最後のころ~今から10数年前は、京都人気が落ちていたのだったか、観光客相手の店の経営がずいぶん苦しくなったと聞いていたようにおぼえています。それが息を吹き返し、街並みも、看板やネオンなどはずしてあちこちきれいになったと、ニュースでは見聞きしていたのですが、住人の感想はまた違うようです。
ただわたしは、以前は「いちげんさんおことわり」といわんばかりのそっけないかまえの老舗だったのところが、店頭からも品物が見えるように配置し、ちょっとのぞくだけでも歓迎されそうな雰囲気に変わったのは、喜ばしいことだな、と思えました。
松原では、織物愛好家の友人行きつけの糸屋・金の羊へ。自分独自の織りができるようになるのは先の話ですが、材料はいろいろそろえておきたくてふたかせ、太めの糸を購入。
その後、昔すんでいた東山三条あたりから新門前通りを歩き、染司吉岡の実店舗へ。暖色系と寒色系の種々の色合いがとてもきれい。ふだん、絹より綿での染色が多いので、ここまで鮮やかな色が出ません。それに、色の出し方も洗練されているのでしょう。店主の吉岡氏の本、また買おう。
川端通りを南に下り、喫茶フランソワへ。
昔たまに利用したことのある老舗喫茶店です。ある時期、頻繁に通った名曲喫茶・ミューズはなくなり、そのほかいろいろ消えた店の多い中、こちらは残っていました。
友人とは四条京阪で別れ、大阪の友人宅へ。友人とは、この10年毎年数回稲武まで来て、料理講習の講師を務めてくれているChieさん。いまはだし料理研究家として活躍しています。
この日の彼女のふるまってくれた手料理のかずかず。さかなも野菜も、定期的にトラックで行商に来る人たちから買った新鮮な材料です。魚は瀬戸内のある島から、野菜はオーガニック栽培の農家から。こういう便が普通に来るのは、街ならでは。うらやましい。
質のいいアボガドが手に入るところが見つかったからと、作ってくれた一皿。うえにのっているのは、味噌仕立てのあんです。こういう食べ方ははじめて。よくあっていました。
素材の持ち味を大事に引き出すChie さんの料理、やっぱりおいしい。稲武での彼女の教室、秋には開催の予定です。