名古屋市の文化財保護室の方たちが、古墳時代の染めの実験をしてみたいというので、先日どんぐり工房で、一緒に草木染めをしました。
名古屋市東部にはたくさんの古墳があり、大きいものでは長さ100mに及ぶ東海地方最大のものもあるそう。狭い地域に、数百年の間、前方後円墳、円墳、方墳、ホタテ貝型墳そのほか、さまざまな形の古墳があって、古墳の展示場ともいわれているのだとか。
でも、文字のない時代なので、染色していた事実は予想できているそうなのですが、どんな方法でどんな色を染めだしていたかは不明。もちろん染め材料もわかりません。
だから、濃染処理や媒染になにをつかったかもわからないので、とりあえず、想像できることをやれる範囲でやってみようということになりました。
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こちらは、ゴバイシ。ヌルデに生息する虫こぶです。わたしの家の敷地内のヌルデが大きくなってきたので、去年ひょっとしてついているのではなかろうかとおもってよく見たら、いくつか見つかりました。今年はさらに成長しているので探してみたら、期待にたがわずけっこうの虫こぶが見つかりました。
この虫こぶ=ゴバイシは、いつも染色にしか使わないのですが、タンニンを多く含んでいるので、お茶ガラ同様濃染処理に使えるとどこかで読んだ記憶があり、用意しました。ほかに、保護室の方たちの要望で豆乳も準備しました。
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染め材料には、クリの茎葉とクチナシの実を。クリは縄文時代からあったものだし、クチナシも古墳時代にはあったとされているものだそう。
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媒染剤には、染料店から購入した灰汁の濃縮液と、保護室の職員が作ったわら灰の汁、それに古墳群周辺の場所から採った土3種類を使いました。
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3種類の土。色がだいぶ違います。一番赤いものが一番鉄分を含んでいそう。
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水で溶かすと、色の違いはさらに歴然としています。
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さて、染め布ですが、木綿が日本に渡来するのはずっと後代のこと。絹は中国朝鮮からも入ってきているし、弥生時代だったか古墳時代には、養蚕技術を習得し、国産の絹も生産されていたとか。でも、絹を着られるのは身分も高い人のみ。庶民は、フジ蔓、カラムシ、楮、シナなどの草木から繊維をとって衣服に仕立てていました。麻でもぜいたくなくらいだったのではないかとおもいます。
で、この日使ったのは、絹と、とりあえず手に入る麻。
保護室の方たちが木の使い捨てスプーンを細工して作ったのは、古墳の形。
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写真にはとりそびれましたが、前方後円墳型を作って板締めした方もいます。
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こちらはクチナシ。あざやかです。堅牢度は低いのですが、美しい。
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クリの茎葉。
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濃染処理の方法(無濃染も含めて)、布(絹か麻か)、染め液(クチナシかクリの茎葉か)、媒染(灰汁濃縮液、わら灰汁、3か所の赤土)の違いに分類。番号・記号をつけました。
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布に記した印に沿って、分類。
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左がクチナシ。右がクリの茎葉です。
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クリの茎葉は、特に麻が反応しにくかった。豆乳処理もゴバイシの処理もうまくいきませんでした。
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土3種の媒染による色の違いは結構わかりましたが、一般の鉄媒染液に浸したときのような、グレーやオリーブ色にはなりませんでした。鉄分のほかの雑多な成分がおおいのでしょう。
赤土なら結構鉄分があって、鉄媒染が簡単にできると思っていましたが、そうはいかないということがわかりました。泥染めができる場所はそうそうそこらにあるわけではないのだな、と納得。古墳時代の染め実験、わたしにも勉強になりました。
名古屋市東部にはたくさんの古墳があり、大きいものでは長さ100mに及ぶ東海地方最大のものもあるそう。狭い地域に、数百年の間、前方後円墳、円墳、方墳、ホタテ貝型墳そのほか、さまざまな形の古墳があって、古墳の展示場ともいわれているのだとか。
でも、文字のない時代なので、染色していた事実は予想できているそうなのですが、どんな方法でどんな色を染めだしていたかは不明。もちろん染め材料もわかりません。
だから、濃染処理や媒染になにをつかったかもわからないので、とりあえず、想像できることをやれる範囲でやってみようということになりました。
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こちらは、ゴバイシ。ヌルデに生息する虫こぶです。わたしの家の敷地内のヌルデが大きくなってきたので、去年ひょっとしてついているのではなかろうかとおもってよく見たら、いくつか見つかりました。今年はさらに成長しているので探してみたら、期待にたがわずけっこうの虫こぶが見つかりました。
この虫こぶ=ゴバイシは、いつも染色にしか使わないのですが、タンニンを多く含んでいるので、お茶ガラ同様濃染処理に使えるとどこかで読んだ記憶があり、用意しました。ほかに、保護室の方たちの要望で豆乳も準備しました。
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染め材料には、クリの茎葉とクチナシの実を。クリは縄文時代からあったものだし、クチナシも古墳時代にはあったとされているものだそう。
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媒染剤には、染料店から購入した灰汁の濃縮液と、保護室の職員が作ったわら灰の汁、それに古墳群周辺の場所から採った土3種類を使いました。
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3種類の土。色がだいぶ違います。一番赤いものが一番鉄分を含んでいそう。
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水で溶かすと、色の違いはさらに歴然としています。
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さて、染め布ですが、木綿が日本に渡来するのはずっと後代のこと。絹は中国朝鮮からも入ってきているし、弥生時代だったか古墳時代には、養蚕技術を習得し、国産の絹も生産されていたとか。でも、絹を着られるのは身分も高い人のみ。庶民は、フジ蔓、カラムシ、楮、シナなどの草木から繊維をとって衣服に仕立てていました。麻でもぜいたくなくらいだったのではないかとおもいます。
で、この日使ったのは、絹と、とりあえず手に入る麻。
保護室の方たちが木の使い捨てスプーンを細工して作ったのは、古墳の形。
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写真にはとりそびれましたが、前方後円墳型を作って板締めした方もいます。
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こちらはクチナシ。あざやかです。堅牢度は低いのですが、美しい。
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クリの茎葉。
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濃染処理の方法(無濃染も含めて)、布(絹か麻か)、染め液(クチナシかクリの茎葉か)、媒染(灰汁濃縮液、わら灰汁、3か所の赤土)の違いに分類。番号・記号をつけました。
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布に記した印に沿って、分類。
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左がクチナシ。右がクリの茎葉です。
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クリの茎葉は、特に麻が反応しにくかった。豆乳処理もゴバイシの処理もうまくいきませんでした。
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土3種の媒染による色の違いは結構わかりましたが、一般の鉄媒染液に浸したときのような、グレーやオリーブ色にはなりませんでした。鉄分のほかの雑多な成分がおおいのでしょう。
赤土なら結構鉄分があって、鉄媒染が簡単にできると思っていましたが、そうはいかないということがわかりました。泥染めができる場所はそうそうそこらにあるわけではないのだな、と納得。古墳時代の染め実験、わたしにも勉強になりました。