アメリカ映画。2004年の作品です(コチラ→)。クラッシュとは衝突、崩壊という意味で、複雑に入り組んだ差別の実態を描いた作品、とでも言ったらいいのでしょうか、とにかくすごい映画です。
舞台はロサンゼルス。交通事故のシーンから始まります。調査する黒人刑事の顔が微妙な表情を見せたとたん、前日のシーンになります。
夜の街を、若い黒人2人が自嘲をこめて、黒人差別的なブラックジョークを次々に吐きながら歩いています。ついで、同じ往来で、セレブの夫婦が女性差別的言葉を発しつつ歩いてきて、次第に口げんかになるシーンに変わります。と、その妻のほうが黒人二人を見るなり、夫の腕を組みます。そして、先の黒人男性がその様子をすかさず見て取るやいなや、彼らに銃を突きつけて車を奪います。
重病をわずらっている父親を抱えて途方にくれている、差別主義者の白人警官が、親身になってくれない病院の事務員に業を煮やし、たまたま出会った、テレビ関係の有名人らしい金持ちの黒人男性の妻を夫の面前で性的に侮辱することで、鬱憤を晴らそうとします。
妻を救えなかったその黒人男性は、周囲の隠された差別意識にイライラが募り、一方、ペルシャ系の白人の一家は、イスラム教徒差別に神経を逆撫でされるような日々を送っています。彼らとかかわるのが、前科者らしい白人男性。すっかり更正しているのに差別を受けます。
最初の若い黒人男性2人がひき殺しそうになるのが中国人。くだんのセレブ夫婦の家にいて、セレブの妻から差別されているのが、南米生まれらしい家政婦。人種の坩堝といわれるアメリカでの、人びとの偏見と愛憎を描いた作品です。脚本のすばらしさに舌を巻きます。
最後には、お互いは奇跡的につながっていて、いろいろつらいことはあるけれど、結局は神の加護とか仏教の慈悲の心とかいったものに包まれている、という印象を与えるので、かろうじて悲劇にはならずにすんでいます。どのできごとも緊密に絡み合っていて、会話一つ一つもいいかげんなものがなく、息をつかせません。映像も的確です。
それにしても、アメリカは病んでいます。でも、アメリカ映画はすばらしい! 感動というより、ほとほと感心しました。ところで、カナダのデビッド・クローネンバーグ監督の同名の映画もあります。こちらもとても面白い映画でした。
舞台はロサンゼルス。交通事故のシーンから始まります。調査する黒人刑事の顔が微妙な表情を見せたとたん、前日のシーンになります。
夜の街を、若い黒人2人が自嘲をこめて、黒人差別的なブラックジョークを次々に吐きながら歩いています。ついで、同じ往来で、セレブの夫婦が女性差別的言葉を発しつつ歩いてきて、次第に口げんかになるシーンに変わります。と、その妻のほうが黒人二人を見るなり、夫の腕を組みます。そして、先の黒人男性がその様子をすかさず見て取るやいなや、彼らに銃を突きつけて車を奪います。
重病をわずらっている父親を抱えて途方にくれている、差別主義者の白人警官が、親身になってくれない病院の事務員に業を煮やし、たまたま出会った、テレビ関係の有名人らしい金持ちの黒人男性の妻を夫の面前で性的に侮辱することで、鬱憤を晴らそうとします。
妻を救えなかったその黒人男性は、周囲の隠された差別意識にイライラが募り、一方、ペルシャ系の白人の一家は、イスラム教徒差別に神経を逆撫でされるような日々を送っています。彼らとかかわるのが、前科者らしい白人男性。すっかり更正しているのに差別を受けます。
最初の若い黒人男性2人がひき殺しそうになるのが中国人。くだんのセレブ夫婦の家にいて、セレブの妻から差別されているのが、南米生まれらしい家政婦。人種の坩堝といわれるアメリカでの、人びとの偏見と愛憎を描いた作品です。脚本のすばらしさに舌を巻きます。
最後には、お互いは奇跡的につながっていて、いろいろつらいことはあるけれど、結局は神の加護とか仏教の慈悲の心とかいったものに包まれている、という印象を与えるので、かろうじて悲劇にはならずにすんでいます。どのできごとも緊密に絡み合っていて、会話一つ一つもいいかげんなものがなく、息をつかせません。映像も的確です。
それにしても、アメリカは病んでいます。でも、アメリカ映画はすばらしい! 感動というより、ほとほと感心しました。ところで、カナダのデビッド・クローネンバーグ監督の同名の映画もあります。こちらもとても面白い映画でした。